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腎臓の病気 慢性腎不全の話
急性と慢性の違い
腎臓では、血液から老廃物をこし出して体外に出すという大きな働きがあることをお伝えしてきました。そして、その機能が全う出来なくなる腎不全についても、急性の場合については昨日書いた通りです。
その一方で、慢性腎不全とい名前がありますが、これは急性の腎不全とどこが違うのでしょうか。
私たちに直接関係してくるところでは、急性腎不全は適切な治療を受けることが出来れば回復の可能性が見込めるのに対して、慢性腎不全では回復が期待できない事、この点に尽きるのではないでしょうか。
もちろん名前が示す通り、急性は短い間に急激に悪くなって腎不全になるのに対して、慢性の方は何年もかけてゆっくりと進行していく病態ですから、その点を考えても、大きな違いがあることは明らかです。
慢性腎不全の特徴
先に書いた通り、慢性腎不全は長期間にわたって徐々に悪くなっていく病態です。その期間はというと、長ければ数十年かけてゆっくりと進行していくと言われています。そして、徐々に腎臓の機能が失われていき、老廃物を血液からこし出す能力が元の元気な時の状態に比べて30パーセント以下になると、もはや体内の状態をうまく維持することが出来なくなってしまいます。そうなってしまった状態が慢性腎不全なのですが、ここまで来てしまうと回復の見込みはなくなってしまいます。
腎不全も末期のところまで進むと、血液から老廃物をこし出す能力は元の15パーセントにも満たない状態になってしまいます。これでは生命が危険にさらされることになりますので、やむを得ない対処として、人工透析であったり、場合によっては腎移殖を考えたりすることになります。
キーワードとして、最近では慢性腎臓病(CKD)をよく見かけるようになってきました。
処置として何をするか
慢性腎不全の場合、先行する生活習慣病などの病気が必ずありますので、先ずそちらへの対処が重要になってきます。具体的には、先行する生活習慣病の治療を行なうことになりますが、これによって多少は腎機能が回復する場合もあります。しかし一定以上の状態まで悪化している場合は、回復の見込みは無いと考えた方が良いでしょう。
また、先行する以外の病気による合併症が起きないようにするなどの処置も必要です。そのためには、薬物治療や食事療法は欠かせません。しかし、それ以外にも重要なことがあります。それは、腎臓にこれ以上の負担をかけないようにすること。ですから、日常の生活自体にも気を配る必要が出てきます。
食事療法としては、いろいろな食事制限が出てきますので、人によっては味気なく感じるかもしれません。しかし、ご自分の生命にも関わりかねない状況なので、これは遵守していただくしかないでしょう。具体的にはカロリーや水分摂取を適切に制限すること、カリウムやリン、塩分、タンパク質などの摂取量の制限などになります。また、水分摂取の制限は必要ですが、かといって脱水症になってはいけないので、その辺りのバランスにも注意が必要です。
人工透析についてのデータを少し示しておきます。
2019年の時点で人工透析を導入している患者さんは、全国で33万人あまりいました。その内訳ですが、導入する理由として最も多かったものが、糖尿病性腎症で全体の39パーセントほど、次いで慢性糸球体腎炎の26パーセント弱、第3位が腎硬化症で11.4パーセントとなっていました。
腎硬化症や人工透析、腎移植については、後日改めて書くことにします。