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サイトカインの種類、その2

サイトカインの種類ということで、前回はインターロイキンという物質について書きました。今回は別の種類のサイトカインとして「インターフェロン」を取り上げます。

インターフェロン(略す時はIFN)は哺乳動物の体内の細胞で産生・分泌されるたんぱく質の一種で、病原体(特にウイルス)の侵入に対して抑制的に働くものとして発見されました。実際にはウイルスの複製を阻止する因子という事で、インターフェロンの名前が付いたとされています。現在では、免疫や炎症の調節、腫瘍細胞などに対する抑制といった働きも分かってきています。医薬品としては、ウイルスに対する増殖抑制効果がある事から「抗ウイルス薬」といった位置づけや、腫瘍に対する働きがある事から「抗がん剤」として用いられています。

昔はインターフェロンが発見されたことで「ウイルスに効く」万能薬のように言われたこともありましたが、例えとして挙がっていた疾患が「風邪」だったような・・・。そのころから比べると、冷静になったという事でしょうか。現在では、細胞から分泌されるたんぱく質の一種であることや免疫にかかわる働きがある事から、サイトカインのグループの一つとして位置づけられているんですね。

さて、このインターフェロンですが、その種類がたくさんあるようです。そして大きく3つのグループに分けることができます。どういった理由でグループ分けをしているかというと、インターフェロンというたんぱく質の構造的な違いや受容体との関係の辺りでの違いということでした。インターフェロンもサイトカインの一種ですから細胞間の情報伝達物質の一つですね。ということは、細胞が情報を受け取るためには「受容体」という受け取るための装置が必要になります。非常に細かい話ですが、この辺りの関係性の違いなどで分類されているようです。

1つ目のグループは、一般に「インターフェロン」といった場合にはこのグループのものを指すと言われているほど代表的なものが多いのですが、どういった種類のインターフェロンが有るかというと、IFN-α(13種類)、IFN-β(1種類 )、IFN-ω(1種類 )、IFN-ε(1種類)、IFN-κ(1種類)、このような種類が含まれます。
IFN-αはアミノ酸配列の85%以上が同じといった構造を持つのだとか。形が似ているんですね。マクロファージや血管内皮細胞などで産生されて、NK細胞やマクロファージを活性化させたり、腫瘍に対する増殖の抑制に働いたりします。
IFN-βの方もほぼ同様ということでした。
それ以外のタイプのインターフェロンについては詳細は調べきれませんでした。

2つ目のグループは、実は1種類のモノだけとなっています。IFN-γのみで構成されているグループで、T細胞やNK細胞で産生されることが分かっています。その働きもT細胞を活性化させる働きや、NK細胞を活性化させてウイルスや腫瘍細胞の増殖を抑制させるといった働きになります。このIFN-γも体表的なインターフェロンの一つですね。

3つ目のグループは、IFN-λというもので構成されています。種類としてはこのタイプ1つですが、アイソフォームというよく似た形のものが3つあるという事で、それらを一括りとしてこのグループを作っています。詳細は調べきれませんでしたが、新型コロナウイルスに関連した研究が進められているような情報が見つかりましたので、いずれ注目を集めるかもしれません。

インターフェロンは細胞単位で産生されるものですから、非常に希少なために高価なものでしたが、最近では遺伝子操作をすることができるようになったことで、大量生産が可能になりました。それぞれが持つ働きを利用して、医薬品として利用されています。


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