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映画「岡本万太」試写会大成功!

11月18日月曜日 朝方少し霰、のち曇り時々晴れ
近頃のタリンはいつも曇っていてなかなか明るくならないので、僕たちが起きるのも遅い。それでもルームメイトのミトラはクルーズ会社の運営マネージャーの仕事があるので、午前7時半に目覚ましをかけ、8時に起きる。それにつられて僕も8時半頃から起き出す。まだ膝が本調子ではないので散歩を休み、シャワーを浴びる。

午前中は寮の自室でぶらぶらしていた。12時過ぎににふと、WhatsAppのメッセージをチェックすると、クラスメイトのトラルベックからのメッセージ。「今日の12時15分からエストニア語の特別授業があるのを忘れるなよ。」すっかり忘れていた。急いで準備をして、大学校舎裏側のマレ棟に向かう。5分遅れで教室に着くといつになく混んでいて、小さな226号室はほぼ満員だ。なぜ、と思ったが、アルダー先生が「今日は評点につながる小テストがあるわよ」との一言で合点がいった。授業の最後にその小テストがあったが、僕の出来はまあまあ。零点は免れそうだ。

アルダー先生のエストニア語の副詞の授業。いつ、とか頻度の副詞の使い方を学ぶ。

午後2時にこの授業は一旦終わり、授業を続けるグループと違う講義に行くグループの二手に分かれる。僕たち「教育革新・リーダーシップ」プログラムの3人は午後3時からの修論研究準備の授業に向かう。今日はメンバーそれぞれが修論研究のためのデータ収集アプローチ案をプレゼンテーションして、フィードバックをもらうというもの。僕がトップバッターで、AIを用いた教育計画・コンテントの自動生成による教育未経験者の教師化実験、というテーマを紹介する。教育科学の素人ということもあり、僕のアプローチはいつも斬新で創造的、悪く言えば突飛でツッコミどころ満載だ。だから結構時間をかけて議論できた。他のメンバーの研究トピックスは「まあそういうのありだよね」的なものが多く、参加してくれた二人の先生方もコメントがしやすそうだった。

教育学の授業の一コマ。次回の授業までの宿題は研究テーマの発表練習。

午後5時半までにこの議論中心の授業を終え、少し遅れたがBFM合唱団の練習に行く。今週木曜日に小規模の学内コンサートがあるため、指揮者のラウールも指導に熱が入っている。そこで歌うのは3曲、正確には2曲で、来年の歌唱祭で歌うLaulikとElkoor、それに拍手や身体を打ってリズムを合わせるBossa Nova without Instrumentsだ。コンサートの前にもう一度水曜日に練習できるので、僕もなんとかなりそうだ。

午後7時に合唱練習が終わり、今度はホブヤーマのコカコーラプラザ映画館に行く。今日はタリンブラックナイト映画祭(こちらではPÖFFと呼ぶ)出品作品の「岡本万太」の試写会があり、監督の真田宗仁郎さんから通訳のアシストを頼まれている。PÖFFでは試写会のことをスクリーニングと呼ぶ。7時過ぎに真田さんと映画館で落ち合うが、急いで来たために僕のボランティアIDカードを忘れてきた。スクリーニングが始まるのが午後8時15分とのことなので一旦寮に取りに帰る。

もうお馴染みのコカコーラプラザ映画館
映画館で偶然、合唱団の友人のシルヴィアにあった。彼女はエストニア映画を観にきていたが、ちょうどその主人公がいたので一緒に写真をパチリ
シルヴィアが観に来た映画はヴァリというらしい。

寮の自室で簡単にヨーグルトで夕食を済ませ、映画館にトンボ返りする。なんとか時間ギリギリに会場に入り、満員御礼の会場でOkamotoを見る。面白い!!!クエンティン・タランティーノの初期作品のような印象で(後でそれを監督に伝えたら喜んでいた)、盛りだくさんの内容だが、ストーリーの品質も芸術レベルも高い(と素人の僕でも思うほどだ)。いろいろな場面の映像が斬新で綺麗だし、脚本も難解だが面白い。役者さんの演技が秀逸で、使われている音楽もピッタリ内容に合っていて映画に没入できる。これを真田さんが3年かけて脚本、主演、音楽、そして監督を全てこなしているのだから凄い。キャストの皆さんが「真田さんは日本映画界のダイヤモンド」と評しているのも頷ける。148分のスクリーニングがあっという間に終わった。最後に真田さんの一言を僕が英語に翻訳して会場を去る。

映画「岡本万太」のポスターと宣伝文句。本当は148分の映画だ。
後ろ姿の真田監督。みんなから声をかけられていた
アルゼンチンの映画監督と女優さん。

真田さんにとっては今回の映画祭中3回目のスクリーニングだが、僕にとっては初めて見るOkamotoだ。噂が噂を呼んだのか客席も満杯で、鑑賞後の手応えも良かった。観終わってからも通りがかる人たちから次々に感動と祝福の声がかかる。日本ではまだ未公開ということだが、早くこの映画を日本の皆さんにも観てもらいたいものだ。その後はPÖFF御用達のバー、Butterfly Loungeに行って二人で祝杯をあげた。ここでも真田監督は大人気で、世界各国の映画関係者のみんなから声を掛けられた。僕も午前1時過ぎまでその会話の輪に入っていたが、流石に明日もあるのでこの辺で失礼する。大学寮までの短い帰り道を歩きながら今日の映画のことを考えていた。有意義で楽しい一日だった。

映画関係者でごった返すバタフライラウンジ
さっきのアルゼンチンの女優さんとはバタフライラウンジでまた会った。Okamoto最高、と言っていた
雨は夜更け過ぎに雪へと変わっていた。外でそれを楽しむ真田監督。


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