サーレマー島からタリン大学学生寮入寮へ
8月24日 晴
朝5時半に目が覚めるとコテージの窓外はもうすでに白んできていた。1時間ほどベッドでぐずぐずしていたらやっと朝日が昇ってきたのでその写真を撮りに屋外へ。シャワーを浴びて歯を磨いて、9時過ぎにSさんと一緒にコテージを後にする。10時40分クレッサーレ発のバスまでまだ時間があるのでレンタカーで近所を見物に。途中数十頭の白牛を見たので車から降りて写真を撮っていたら、ズンズンこちらに向かってきて驚いたので車に乗ってそこから逃げる。
その後アーヴィクヌルガという地区の古民家ホテルに立ち寄ったらSさんの知り合いのオーナーがいて、ホテルの建物を見せてくれた。そこからは一路クレッサーレのレンタカー屋さんに向かうが、運悪く途中で右前輪がパンク。一瞬途方に暮れるが、通りがかりの親切なエストニア人女性のお手伝いもあり、なんとか自分たちでタイヤを交換。大急ぎでレンタカー屋まで辿り着き、そこからはレンタカー屋さんに送ってもらって、発車5分前にクレッサーレのバス停に到着できた。
2時間ほどバスに揺られていたら昨日とは逆方向でムフ島のKuivastuからフェリーに乗る。フェリーで食べたボルシチは非常に美味だった。
午後2時25分にタリンのバスセンター到着。Sさんと別れを惜しんだ後、20分ほど歩いて前日まで止まっていたCenter Hotelへ荷物を受け取りに行く。そこから徒歩5分のタリン大学寮まで荷物をゴロゴロ転がして行き、入寮手続きを行う。寮母さんのトリストは英語でのコミュニケーションはまあまあだが、とても親切。とりあえず最初の週はホステル仕様の一階に住まわされた。
夕方、キッチンで隣の部屋に滞在しているトルコ人のMに会う。彼はラトビアで教師をしていたそうだが、この夏はサマースクールの担当者としてタリン大学で過ごしていた。でもそれも今度の金曜日で終わるので、今は次の仕事を探しているそうだ。彼の去ったキッチンで僕は一人、サーレマー島で買ったOyakata Noodle Miso Ramenをすする。さすがにAjinomotoの製品、美味しい。今日はこれで早く休むことにする。
P.S. サーレマー島でのパンク事件の記憶が鮮烈だったので、加筆しておく。
時刻は大体9時20分。アーヴィクヌルガからクレッサーレまでの約30分のドライブのちょうど半分くらいのところで、周りにはのどかな牧草地の広がる、まさしくMiddle of Nowhere。楽しく会話していたら、運転していたSさんが「何か変な音しませんか?」という。僕も同意して停車して車をチェック。案の定、右前輪が見事にパンクしていた。Sさんがレンタカー屋のレイモンドに連絡するが、迎えに来れるのは10時過ぎだと言う。10:40クレッサーレ発長距離バスの時刻には間に合いそうもない。いきなり絶望。バス便の変更も考えた。
ただ以前、アメリカのニューイングランドで主張中にレンタカーを借りた時にも、パンクしてタイヤ交換して運転を続けたことがあった。その時の記憶を頼りに車のハッチバックのトランクの底のハンドルを上げると、ありました、替えのタイヤが。で、一緒に入れてあったジャッキを取り出し、Sさんに車を少し移動してもらって、ジャッキで持ち上げる。成功。前輪が浮かぶくらいまで持ち上げて、前輪を外そうと思ったのだが、パンクしたタイヤを固定してある5つの六角レンチのサイズが合わない。そんなバカな?でも何度レンチを当てても合わない。レンタカー屋のレイモンドに連絡するが、要領を得ない。再び途方に暮れる。
そこに偶然通りがかったエストニア人の女性。聞けば何か馬関係のコンテストの審査員として会場に赴く途中だという。彼女は親切にミニバンを止めて必要な工具があるか探してくれた。が、無い。本当に有り難いが、無いものは無い。お礼を言って、レイモンドを待つことにするか?ただここでSさんが、彼女にレイモンドにエストニア語で状況をもう一度説明してくれないかと頼む。親切な彼女は快く電話してくれた。短い電話の後、彼女はスクリュードライバー(なぜかタイヤ交換キットに入っていた)を取り出すと、パンクしたタイヤの六角ネジ(大きすぎて交換キットのレンチでははまらなかったもの)をいじり出す。そこでうかつな僕もやっと気づく。ああ、この大きすぎる六角ネジはネジではなく、ネジキャップだったことを。彼女はレイモンドと話して、それに気付いたのだ。なぜドライバーが一緒に交換キットに入っていたのかを考えるべきだったのだ。僕が彼女からドライバーを受け取り、すべてのネジキャップを外す。中からは、持ってる六角レンチにぴたりとハマる本当の六角ネジが顔を出した。で、レンチでネジを外そうとするが、ネジは固く締まっていて右にも左にも回らない。どっちに回すのかも分からない。少し困ったが、こういう時には友達に聞くべき。僕の友達はChat GPTだ。聞いたら簡単に答えてくれた。
思いっきり体重をかけてレンチを回したらネジが動いた!タイヤが交換できたので、エストニア人の女性にお礼を良い、レイモンドに再度連絡して現地で待機してもらうことにして、出発する。僕たちのレンタカーは僕の交換したタイヤでいきなり時速120キロで田舎の一本道をぶっ飛ばす。(正直、僕はここでちょっと引いた。)でも長距離バスの出発時刻になんとか間に合いそうだ。絶望が希望、歓喜に変わった瞬間だった。
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