ヘルシンキ旅行最終日は美術館めぐりへ
10月27日日曜日 曇り
午前5時に目が覚めるが、意外に寝足りない感じはない。AirB&Bで見つけた宿泊先のベッドが良いのか、十分に休めた気がする。起き出して居間に行くと、自分の朝食を作っていた大家さんのキャロラが僕にコーヒーを淹れてくれた。ヘルシンキのデイライトセービング、いわゆるサマータイムは昨日で終わったらしい。おそらくエストニアもそうだろう。だから1時間睡眠時間が長かったのか。コーヒーを飲みながらキャロラとチェックアウトのアレンジをする。規定のチェックアウト時間は午後1時だが、荷物は置いておいてくれるという。昨日結構お土産を買い込んだし、ここはヘルシンキの中心部に近くて便利なので、預かってもらうことにする。午後7時の出港・6時の乗船を考えると、カンピに近いこのアパートを午後5時には出たほうが良い。シャワーを浴びて簡単に荷物をまとめ、キャロラには4時45分頃に戻ってくると伝えて、家を出る。
今日は美術館を中心にまわる予定だ。アパートの前のArkadiankatu通りを東に進み、岩の教会・自然博物館の前を過ぎて、ヘルシンキ駅の中を抜け、フィンランド最大の美術館、アテネウムに行く。チケット売り場でESN学生カードを見せたら学割がきいて、12ユーロで入館できた。ヨーロッパ人は「このカードは正規の証明書ではないからダメ」などと杓子定規なことは言わないのだ。
流石にフィンランドの旗艦美術館だけあって、フィンランド人画家の絵が多い。僕は実はフランスの印象派、特にモネの絵が好きなのだが、1階の常設展から3階の特別展までくまなく見ても、セザンヌっぽいのやゴッホっぽいのはあってもモネは無い。それ以上にフィンランド絵画を見過ぎて、ゲップが出そうになる。流石にムンクの絵は数点展示されている。
フィンランド・北欧美術を十分堪能して、アテネウムを出る。そこからさらに東に4ブロック歩いて、ヘルシンキ大聖堂に行く。手前に着くとちょうど午前11時半、大聖堂の鐘が鳴り出す。縁起が良い。一昨日前を通った時は内部を見なかったので、今日は中に入ってみる。「今日は参観日ではありません。参観者は中に入れません。」というアナウンスを聞きながら、入り口から大聖堂の中の写真をパチリ。ここはそれで満足して、次の場所へ。
そろそろお昼の時間なので、レストランを探し出す。大家さんのキャロラからは「Kappeliが良いから行ってみたら」と言われていたので、大聖堂から2ブロック半南にあるそのレストランに行ってみる。ここは小さな公園の中にあり、ニューヨークでいえばセントラルパークのTavern on the Greenみたいな感じ。掲示してあるメニューの値段もあそこ以上に良い。ちょっと手が出ないので、次に行く。
4ブロック西側に行ったところにある、高級デパートのStockmannに何かないかと思い、行ってみる。残念ながら地下の食品売り場はクローズ、最上階のカフェテリアではカナッペみたいなのが10ユーロ。これではお腹いっぱいになりそうにないので、さらに探す。iPhoneのMapsで探すと、ネパール料理のBase Campというお店が星5でコメントも良い。場所が分かりにくくてちょっと迷ったが、着いてみるとネパール人のマスターが迎えてくれた。時間は午後12時半。店内は怪しげな、いや、静かなネパール音楽が流れ、巨大なエベレストの絵が奥の壁を覆っている。アラカルトが20ユーロ、いろいろ選べる食べ放題が22ユーロということで、食べ放題にする。奥の座席を占領してiPhoneを充電しながら、4種類のカレーをナンと一緒に食べる。さすが専門店、美味しいカレーだ。カレーと一緒だと、フィンランドのお水も美味しい。2回お代わりしてすっかり満腹になったので、食後のネパールミルクティーを頂く。生姜が入っているようだ、香りが良くて身体が温まる。癖になりそう。もちろんこれも料金に入っている。
食べ放題のインド料理とネパールミルクティーで満腹になったので、午後2時過ぎに次の目的地であるヘルシンキ市美術館、通称HAMに向かう。ヘルシンキ駅のそばを通り、途中でまた自然博物館の前に来たので、少しだけ中に入ってみる。学生料金でも11ユーロなので、入り口のヘラジカの剥製を見ただけで満足して、予定通りHAMに行く。10分もかからずにHAMの北側入り口に着いた。ここではちょうど10月25日からフィンランドの画家、トーベ・ヤンソン展を行っている。彼女はあの有名なムーミンの生みの親だが、フィンランドでは絵画や壁画、フレスコ画など多彩な作品を生み出している。彼女が無名の画家だった頃からフィンランドのギャラリー界の寵児になり、後に大御所になるまでの作品が一堂に会し展示されている。彼女の自由な発想が優しいムーミン村の住民達になった過程が少しだけ理解できた。
HAMには他にも前衛的な芸術作品も多数展示されていたが、生憎そっちはあんまりよく理解できなかった。ここには映画館も併設されていてポップコーンの匂いが充満している。喉が渇いたので水分補給にFrozenを飲んだ。ファンタの味で氷に炭酸が溶け込んでいて、飲むとシュワシュワする。売店横のソファー席に座ってこれを飲みながら、日本の衆院選の結果をチェックした。そうか、自公与党は過半数割れか。石破さんも大変なバトンを渡されたものだ。というか、解散を決めたのも彼だったか? やはり伝家の宝刀は抜いてはいけないものらしい。来週は米国の大統領選挙もあるし、ヘルシンキに来ていても日米の政治関連ニュースから目が離せない。
さて、HAMのソファーで寛いでいたらもう午後4時半になった。AirB&Bの宿泊先のアパートに戻り、荷物をピックアップして大家さんのキャロラに別れの挨拶をする。「もう良い知り合いになったから、是非また来てね」と優しい言葉を頂く。ここは場所もカンピに近くで便利だし、親切なサービスも素晴らしいから本当にまた来ようと思っている。
バックパックを背負ってバッグを担ぎ、アパートのすぐ前から出ている1T番のトラムに乗って二停留所、そこで4番のトラムに乗り換えて7停留所でViking Lineのタリン行きフェリーの出るカタヤノッカ・ターミナル近くの停留所に着く。そこから歩いて10分でターミナル。出港までまだ2時間近くあるが、窓口は開いている。パスポートを見せて乗船券をもらう。エスカレータで2階に上がってしばし待つ事1時間、3番ゲートが開いて乗り込む。時間が良いのか、1000人くらいの乗客が一斉に動く。2時間半ほどの船旅なので、電源コンセントに近いテーブル席を確保して落ち着く。後はのんびり、船内の雰囲気を楽しむ、と思ったら結構周りがうるさい。小学生くらいの子供が走りまわり、それより小さい子供達の泣き声がこだまする。これは乗った場所が悪いのか?荷物を近くの人に見ておいてもらうようお願いして、船内探検に出る。お、一階下のバーではギター弾き語りの生演奏をしている。結構上手い!
なんとか2時間半のフェリー旅を乗り切り、午後9時15分タリン港到着。歩いて帰宅する。3日間のヘルシンキ旅行、お疲れ様でした!