エストニアでの企業訪問
9月27日金曜日 雨
午前7時。雨が少しあがっていたので、その合間をついて散歩に行く。オドリオル公園から海沿いの道に出ると、フェリー埠頭に巨大なクルーズ船が見えた。そちらの方に向かって歩いていくと、P&O Cruisesの旗艦、ブリタニアの巨躯が見えてきた。後で調べてみると、長さ330メートル、総デッキ数15層、定員3,647人の乗客と1,350人のクルーを乗せて、バルト海クルーズの途中でタリンに寄港したらしい。ただ、これも後で聞いた話だが、以前はバルト海クルーズといえばタリンを経由してサンクトペテルブルグまで行くのが定番だった。ウクライナ戦争の関係でロシアに行けなくなったのでクルーズ客が激減し、観光産業に依存するタリン市の経済にも打撃を与えているらしい。
寮に帰ってサクッとシャワーを浴びたら42番のバスに乗って、教育学部修士プログラムの企業訪問に行く。今日の訪問先はTeliaというIT企業のエストニア本社。彼らの先進的な人材開発プログラムを勉強しに行くという目的だ。午前10時前に建物の玄関に着くと、留学生とエストニア人の大学院生を合わせて25人くらいが集まっていた。今日の見学はエストニア語が中心だ。
14階の会議室に行って今日の講師にヤノさん(日本人のような名前だが、れっきとしたエストニア人)のお話を聞く。混沌としたVUCA時代に対応するために、自律、リーダーシップ、チームワークと未来志向のスキル開発の4つを柱として、教育学の最新理論も多数取り入れながら、現在の形になったそうだ。今なお年々修正・変更していて、新しい試みも意欲的に取り入れている。例えば「ファックアップ・トーク」、これはそれぞれの失敗談を共有することで再発防止やチームとしての意識向上に繋げる。S. Wheelanの統合グループ開発モデルなども実践的に導入しているし、それらを「4E(Envision, Engage, Enable, Exucute)」とか「Dare、Care、Simplify」のような平易な言葉にして浸透を図っている。講演は質疑応答も含めて2時間以上にわたり、その後は一階の社員食堂でランチをとりながら、さらにお話をお伺いした。
僕たち留学生組はそこから一緒にバスとトラムを乗り継いでキャンパスに戻る。グループ課題の見学会レポートの内容をブレインストーミングして、作業を分担した。僕は2番目の「対象企業で提供されている人材開発機会とその対象ターゲットを特定化し分析する」という項目を担当することになった。グループ内での締切は日曜の夜だ。
ミーティングの後キャンパスでぶらぶらしていたら、日本語を勉強しているエストニア人学生やタリン大学に留学している日本人学生にあった。エストニア語の勉強法について聞いてみたが、近道は無いとのこと。地道に会話相手や発音練習のパートナーを探して継続的に学習せよ、とのことだった。雨も結構降っていたのでそのまま寮に帰り、本を読んだりして午後・夕方をゆっくり過ごす。