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お腹の中の君に会えるのを待ってる

39週の妊婦健診が終わった。
NSTでは張りはほぼ無いが胎児は元気そのもの。毎回ドキドキしている体重増加も問題なし。内診にて子宮口もかなり柔らかくて3センチ開いてきていると言われた。

「とても順調ですよ。いつ陣痛が来てもおかしくありません。でも、いつ陣痛が来るかは神様しかや 分からないからね。」

内診後、医師から言われたこの言葉がとても興味深かった。
出産はどう始まるか誰も分からない。それは長男の時に身をもって体験しているから、より納得出来るなと思えた。


予定日を超過してヤケクソになったあの日

長男は予定日超過からの41週1日に産まれた。破水から始まり、12時間程度の分娩時間だった。

彼の出産の前々日にあった、40週6日の妊婦健診の際に、週明けには入院して出産をしましょう。入院の準備をしてから来てください。と次回の予約日を取りながらさらりと伝えられたあの時。頭が真っ白になったことを覚えている。予定日を過ぎていても出産への心の準備なんて全く出来ていなかった。

毎晩寝不足を増悪させる徐々に強くなる前駆陣痛、友人からの出産確認のLINE、出産時の痛みへの恐怖、産徴を期待しながら深まる夜を何事も無く超えて落胆する朝。
自分で望んで妊娠したのに出産はただただ恐怖でしか無くて。妊娠を取り巻く様々なことに対して精神的にボロボロな状態だった。

そんな中で突然告げられた出産日へのカウントダウンの開始は、さながら死刑宣告のように感じた。
いま思えばマタニティブルーを極めていたな、と笑い話に出来るのだが、当時の私は未熟すぎてそんな風には到底思えなかった。

その夜、夫に出産予定日が決まったことを泣きながら伝えた。私の精神状態が正常ではないことを悟った彼は、翌日すぐに里帰りしていた実家まで来てくれた。
何としても陣痛を起こしたくて、2人で調べて散歩をしようということになった。予約日より前に何としても陣痛を起こしたくて馬鹿みたいに自然公園をただひたすら歩いた。時計を見たら半日くらい歩いていた。悲嘆から開き直って最早ヤケクソだった。

晩御飯を両親と夫と食べながら陣痛を待った。でも何も起こらなかった。
今日はダメそうだね、と翌日仕事がある夫を見送り、いつものように就寝の準備をした。


始まりは突然に

日付が変わる頃、多量に漏れたような感覚で目が覚めた。布団を見ると薄らピンク色した液体で濡れていた。しかも止まらない。
これが破水か、と気がつき産婦人科に電話するとすぐに来てください、と。慌てて両親を起こして産婦人科まで送ってもらった。その間にも羊水流出は止まらず、体液の大量流出からか出産への恐怖からか、終始悪寒が止まらなかった。

内診にて破水確認され、即入院となったが微弱陣痛が続いたために、朝から促進剤を使用して出産することとなった。もう怖いなんて言っていられず、産むしかなかった。
夫に破水からの入院になったことを伝えた。自宅に着いたばかりとのことだったが、立ち会いのためにすぐに戻ってきてくれた。

結果、促進剤の効きが良かったからか、破水した日のお昼に無事長男を出産することが出来た。破水から約12時間後のことだった。その日は奇しくも入院予約していた日でもあった。
出産は何があって、どう始まるか分からない。そう身をもって知れた日だった。


君のペースで出ておいで

第2子ともなると、出産の流れはある程度分かるからかマタニティブルーになることもなく、のんびりとした日々を送っている。
出産のためには陣痛は不可欠であるため、陣痛が起こらないことには産みたくとも産めない。それこそ陣痛がいつ起こるかなんて神様しか知らない。
私に出来ることはリラックスした日々を過ごしながら、陣痛促進と体力維持のために軽い運動を続けることだけ。

万が一予定日超過しての予約入院になっても今回は落ち着いていられるだろう。痛みへの恐怖は少し残っているけれども、それよりも喜びの方が大きいからだ。
助産師さんが帰り際に声をかけてくれた、「待っているからね。」という言葉がとてもありがたいなと思った。
私もお腹の中の君に会える日を楽しみにしながら待っているよ。


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