手放す幸せ1

手放す幸せ


フランスで暮らしはじめてからもうすぐ15年になりますが、第二の断捨離ブームが私の中で来ています。


思えばスーツケース2個と本などが入ったダンボールをいくつか郵送しただけで 始めた異国の地での生活。


最初は家具も台所用品も食器も付いているアパルトマンに住んでいたのに、それでも物が増えてしまって、家具なしのアパートに引っ越してからは、大きな家具も増えていって、どんどん引越がたいへんになってきました。


夫と出会って一緒に暮らすことになってからは、二人分の家具や家電や食器で、小さな賃貸アパートはすぐにいっぱいになってしまいました。


その後、二人で新居を購入することになり、とりあえず必要だからと揃えてきた生活に必要だった家具や食器をどんどん手放していきました。


夫も私にうるさく言われて、愛着のある家具をたくさん手放してくれました。



私が本当に好きなものを買わなかったのは、私の中でいつでもどこにでもいけるゆとりを残しておきたかったからかもしれません。


パリは大好きだったけれど、住みこなすには手強くて、おばあさんになるまでずっとシングルで生きていく覚悟はなかったし、いつでも、どこでもいけるように、物に縛られない生活をしたかったのだと思います。


日本で初めての結婚をしたとき、重くて引越に不便なマホガニーの家具を買い揃え、離婚のときにその家具がとても重荷でした。


そのとき、もう物に縛られるのはやめよう、もっと風のように自由に生きていきたい、スーツケースだけで自由にどこでも引越できるように、必要なものだけあればいいと思ったのです。


夫と一緒に新居で暮らし始めてからは、理想の家具やインテリア雑貨を探して、素敵と思うものがあってもすぐには買わないで吟味に吟味を重ねて部屋を作ってきたつもりでした。


でもそれでもやっぱり生活をしていると、物が増えていき、綺麗だと思っていたところが古くなって傷んできているのを発見したりで、理想のシンプルな暮らしをするって、絶え間ない掃除とメンテナンスの繰り返しなのだなと、そんな当たり前のことをいまさらながら噛みしめています。


最近、インテリアのブログやミニマリストさんのブログ、お掃除ブログなどを読ませていただいているのですが、日々丁寧に暮らされているご様子に、身の引き締まる思いでいます。


我が家は夫が古いものが好きなので、どうしてもお手入れがたいへんなものも多く、たくさん話し合って、彼もかなりの量を断捨離してくれました。


銀のカトラリーやお玉、燭台なども、使い勝手の良いシンプル なものに変えていっています。


物が減ると空間が増えて、部屋がとても広く感じます。


足りないと思っていた収納も、実は十分だったことに気づき、収納家具も断捨離してしまうと、床面積が増えて掃除も楽々になります。




新居に越してきてから5年ほど経ちますが、5年前に思い切り捨てたように、また5年間に溜まってきた物を今またどんどん手放していこうと思っています。


そういうわけで今、第二次断捨離ブームの真っ最中ですが、何かを手放すたびに、場所の空間だけでなく、私の心も空間も増えていって、どんどん今の私らしいものが入ってくる余裕ができるような気がしています。


フランスが大好きなので、身軽になってどこかに行けるようにということではなくて、ずっとここにいても、物の少ない部屋で暮らしたいなって思うのです。



日本での結婚生活は、時間だけでなく、心の余裕も全くありませんでした。

ただ、いつも次にすることを考えて、今を生きていなかったのです。

体調が極限まで悪くなっても、休みを取るなんて考えられませんでした。

貴重な有給休暇は、子供が熱を出したときのために取っておかなければなりませんでしたから。

そして、ある日、家庭の中に愛が全くなくなっていることに気づきました。

地位や家、美しい家具などの目に見えるものは増えていくのに、私の内部の愛は完全に枯渇していたのです。

その頃、さらに自律神経の乱れのためからの不眠はひどくなり、会社でも頭の中が霧でいっぱいのような感じで、上司の指示が的確に把握できなかったり、思い通り残業のできない私に対する、独身で自由に働ける同僚の心無い一言に、突然涙が出てくるなど、心も体も、もう限界を通り越していました。

その時、私は、自分の手を見て思ったのです。

私の手は右手と左手の二つしかないのに、いくつのものを掴もうとしていたのか。。。

自分の手をじっと見つめていると、それらを掴んで離さなかったために、本当に大切なものが手の中から滑り落ちていくのが、まるで映像のように見えたのです。

もうこれ以上続けていたら、きっと私は全てを失う。
そう思った瞬間でした。

その後、子供を連れてパリに移住することになるのですが、その話はまたいつか。。。




この記事を、noteで再アップしてからアメブロで出会った以外の方からもコンタクトをいただいて、この話の続きを知りたいと言われるようになりました。

折に触れてブログでもnoteでも書いてきたかもと思うので、過去記事の中ですでに触れているかもしれませんが、また機会があれば、この続きも書いてみようと思います。


一つ言えることは、それがどんなに素敵に見えることでも、自分が幸せでないとどんどん苦しくなってしまうということです。


キャリアもお金も家やマンションも、それがあるから幸せになれるというわけではありません。

結婚も子供も同じことで、結婚したから、子供に恵まれたから、すべてが解決するわけではないのです。


そして、ときには手放さないといけないこともあると思うのです。


手に入れたものに執着しすぎると、それが手の中で泡になって消えてしまうこともあるのだということに気づいたので、今、私はとても幸せであるけれど、そこに執着はしないようにしています。


たぶん、今あるものがなくなっても、しばらく落ち込むと思いますが、また立ち直って、幸せでいれるって思えるようになったのです。



上手に説明できないけれど、今の暮らしでは、自分にとっての優先順位がわかっているので、私にとって大切なものだけあればそれでいいと思うのです。

その中には人間関係も含まれていて、ここフランスで好きな人に囲まれて、ありのままの自分でいれるのも、いらないものを捨ててきたからだと思っています。



元記事:手放す幸せ(ミカリュス・ブルガリスの心の薬箱)
May 06, 2018 16:14:00 テーマ:断捨離

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