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FM OSAKA 55th anniversary ”1995 SIAM SOPHIA – G” at大阪城ホール 所感
2025年2月9日(日)、1990年代後半を彩ったロックバンド2組(+α)の対バンが行われた。
SIAM SOPHIA-Gを分解すると、SIAM=SIAM SHADE、SOPHIAはそのままSOPHIA、そして-Gは芸人ガレッジセールの「G」。
一見関係無さそうに見えるガレッジセールは、当時SOPHIAとテレビの企画でユニット「Gaphia」を組んでいたから呼ばれた。SOPHIAのファンからしたら、「あ〜そういうのもあったよね?」位の認識だろうか。。。
開場は15時30分、開演16時30分。先行物販は12時からだった。私は事前通販でグッズを購入していたので、先行物販では通販の無かったヒマワリを購入した。
(会場にはSIAM SHADEとSOPHIA、そしてSIAM SOPHIAのグッズブースがあるので結構大変)
このヒマワリは、夏目雅子ひまわり基金というものでチャリティーの類の1つ。癌や病気でカツラを必要とされている人達の為、SOPHIA側が物販ブースにて始めた企画で、物販にて造花のヒマワリを購入すれば全額寄付されるシステムである。
こういったチャリティーなる試みを行っているアーティストは少ないと思う。今回は物販の混雑を回避する為、事前に整理券が用意されていた。ヒマワリのを購入する列は特に分類されていなかったが、かなりの人が購入していたと思う。SOPHIAのライブで必需品とはいえ、結果的にSIAMのファンも購入する人は多かったのではないだろうか?(私もその1人)
世間では寒波が押し寄せる中、雨にも似た雪がチラホラ降り始める。開演時間ギリギリまで現地の友人達と酒を飲み、語りあい、戦闘モードに切り替えて会場入り。
席番はアリーナの東側、5列目だった。大阪城ホールはアーティストによってアリーナの形態が変わるのだが、今回は上手側の端よりだった。これまで何度か大阪城ホールでライブを観たが、今回が1番ステージに近かった。
アリーナ中央は、アップグレード席という少し値段が高いチケットを買った人用で、通常チケットはそれ以外の席、といった感じだった。
それにしても凄い人だ。それはそうで、SOPHIAは現在進行形で活動しているが、SIAMは約10年ぶりの活動、そしてライブ。世間で少しザワついたDAITAとの金銭トラブルがあり、残念ながら今回DAITAは不参加となっていた。
なのでややこしいのだが、正式に「SIAM SHADE復活」ではない。その証拠に、メンバーも「栄喜fromSIAM SHADE」といった肩書きとなっており、今日出演したアーティストも「SOPHIA」と「SIAM SHADEのDAITA以外4人」という振り分けとなる。
この辺のゴタゴタはネット記事やロックアンドリードにて詳しくインタビューされている。特にロックアンドリードは切り込んだ質問にメンバーが答えているのだが、読了した後もいかんせんモヤモヤした気持ちは晴れなかったのが正直な所。DAITAが沈黙を貫いている(そもそもインタビューする内容が無いのだが)のも一方通行だし、どうか真の和解をして再度5人でSIAM SHADE復活をして欲しい。
そんなモヤモヤした気持ちを抱えたままライブ当日を迎えたのだが、ライブを観終わった今はとても晴れやかな気分だ。勿論、問題が解決した訳ではないし、5人のSIAM SHADEを期待しているのは事実。しかし、これはこれ、それはそれ。今回はSIAM SOPHIAなのだからそれを楽しもう!という棲み分けが出来たと言ってもいい。
少し話が逸れてしまった。
前述の通り、開演時間ギリギリで会場入り。大阪城ホールは入口が広く、入場したすぐ目の前に著名人達からのフラスタ(フラワースタンド)がビッシリ並べられている。
今回も例に漏れず、LUNASEAや2組のアーティストに縁のあるフラスタが飾られていた。(ちなみに撮影OK)
手短にトイレを済ませ、アリーナ席に着く。左右や前後を見渡す限り、何となくだがSOPHIAのファンが多い印象。男女比もあるが、SIAMのファンはどことなく暑苦しい(失礼)見た目をしている人が多い。一方でSOPHIAのファンは幅が広く、見た目や年齢層もバラバラだった。ちなみにSIAMファンだからヒマワリを持っていないという事は無く、私をはじめSOPHIAではお馴染みのペンライトも持参している人が多かった。SIAMのライブでペンライトはまず見られないので(もちろんヒマワリも)、珍しい景色だった。
16時半、ほぼオンタイムでライブスタート。
まず初めに登場したのは、SIAMでもSOPHIAでもなく「ゴリエ」だ。
お茶の間で人気を博したゴリエが、令和の大阪城ホールに復活した。どこかのタイミングで出てくるとは思っていたが、オープニングアクトとは恐れ入ったといった感じだ。
バックに大会で1位を獲得した凄腕のダンスチームを従え、ゴリエ最大のヒット曲「PECORI NIGHT」を披露。華々しいオープニングを飾り、若干のMC。相方の川ちゃんも登場し、笑いを含めたMCで会場の温度を温めて一旦退場。SOPHIAが大阪のバンドというのもあるが、お笑いを交えたライブステージは時に楽しく、時に雰囲気を壊す。もちろん今回は前者で、この時点で既にSIAM SOPHIAの雰囲気は出来上がっていたと思う。
SOPHIAではお馴染みの西山オーケストラが登場、美しい旋律を奏でる生演奏の中、ついに2組のバンドメンバーが登場(舞台袖からではなく、アリーナ中央?の花道から歩いて登壇)。
挨拶はじめ、今回の企画の趣旨を説明する松岡充。他のメンバーがライブ衣装(基本的に黒い)に身を包む中、1人だけ白地のジャージにオールバックという出で立ち(ゴリエから「ブレイキングダウンに出るの?と突っ込まれていた」)。
さぁこれからライブ本番が始まるぞ、どっちのバンドからやるのか?と期待を膨らませていると、なんと最初にお互いのメンバーをシャッフルした特別バンドの演奏が行われた。
私の中でこういうセッションはライブ終盤のお祭りモードでやるものだと思っていたが、まさか最初に行うとは思ってもみなかった。
セッションバンドは2組(その名もSOPHI SHADE「読み方:ソフィシェイド」もう1組はSIAM SOPHIA)で、それぞれのメンバーは以下の通り。
SOPHI SHADE
Vo.松岡充
Gt.KAZUMA
Gt.RENO
Ba.黒柳能生
key.都啓一
Dr.淳士
SIAM SOPHIA
Vo.栄喜
Gt.ジル
Ba.NATCHIN
key.都啓一
Dr.赤松芳朋
先手はSOPHI SHADE。演奏している間、もう1組のメンバーはステージ上をウロウロ。時には一緒に盛り上がったり、仲良くフリをしたり。栄喜は特に暇なのか、ステージを降りて周りをウロウロ。私の観ていたアリーナ席のすぐそばまで黄色のマイクスタンドを持ってきて「盛り上げるから」と言っていた彼の様子は、まるで子供そのものだった。笑
SIAM SHADEのスマッシュヒット曲「グレイシャルLOVE」そしてメジャーデビュー曲の「RAIN」2曲を歌う松岡充。グレイシャルLOVEはキー下げだったが、RAINは原キーだったと思う。普段は栄喜の声で聴く曲達だが、今日は特別なメンバーで素晴らしい演奏を聴くことが出来た。
一方SOPHI SHADEは栄喜がSOPHIAの歌を歌い上げる。初期の名曲「kissing blue memories」骨太なビートが軽快な「brother&sister」を披露し、こちらも大変レアなステージを見せてもらった。栄喜が他のバンドの曲を歌うのは特に珍しいのかもしれない。
この日だけの特別バンドの演奏が終わり、会場のテンションはMAXに。ゴリエと川ちゃんのMCも挟みつつ、セッティングの為メンバーは退場&ステージ暗転。そして初めに出てきたのはSIAM SHADEだ。
「JUMPING JUNKIE」のBGMに合わせてメンバー入場、そこから一気に曲に流れ込むと、これまで和気あいあいとしていた会場の雰囲気から一変、一気にハードで熱いSIAMの空気に入れ替わった。
続けてダンサンブルなビートにKAZUMAの語りが響く「BLACK」を披露。DAITAのエモーショナルなギターをRENOはほぼ完璧に再現し、違和感は全くと言っていい程感じなかった。やはりギターの音量バランスはKAZUMAが小さい気がしたが、実際会場で聴いている分には問題ないレベルだったと思う。
いつもと少し違う、KAZUMAが歌うLOVESICK、そしてSOPHIAファンも知っているであろう有名曲、1/3の純情な感情を披露。
SIAMファンからすれば、1/3〜は定番曲過ぎて毛嫌いする傾向がある。ただしライブに来ている人は様々で、有名な曲を聴きたい人もいるはず。なのでマニアックなファンには不評かもしれないが、1/3〜は今後も披露して欲しいと思う。
そして栄喜が「SIAM SHADEにとって大切な曲です」とMCした後に披露したのは「Dear…」。この辺のセトリは聴きやすくポップな曲が続いており、普段激しい音楽を聴かないSOPHIAのファンにも受け入れやすかったと思う。
と思いきや、Dear…が終わるやいなや栄喜「こっからはSIAM流で行くぞ!」とMC。オーディエンスに「こい!こい!」と煽りまくり、披露されたのは何とAllegy!後期に発売されたアルバム「SIAM SHADE Ⅵ」に収録されているハードナンバー。アルバム曲なのでSIAMのファンでも知らない人もいるだろう。
それにしてもこんな日にAllegyが演奏されるなんて。。。まだせつなさよりも遠くへの方がやる可能性あったのでは?もしくはTime'sやwhy not?辺りをやると思っていたので、Dear…からこの流れは普通に驚いた。そのまま立て続けにD.Z.I→ドンテルという休み一切無しのスパルタライブ。SIAMファンはもちろん、SOPHIAファンにも休ませる気は全く無い、漢のセトリだった。
個人的には定番のGET A LIFE、PRIDE→PLAYERも期待していたが、ワンマンでは無いので仕方ない。計8曲、時間にしたら40分程の短いステージだったが、SOPHIAファンにも突き刺さる強烈なステージングだったと思う。
DAITAが居ない事実はあるものの、RENOは変に前に出ず、しっかりサポートに徹していた。ほぼ完璧な演奏とクオリティ、DAITAでは無いが個人的にDAITAを感じる事は出来た。
SIAMファンの中にはRENOを受け入れられない人も当然いるだろう。しかし今回含め、彼はSIAM SHADEというバンドをリスペクトし、栄喜のサポートにも帯同し、尽くして来た。DAITAが戻ってくるまで、下手の空いたスペースを埋めてくれた彼に私は敬意を表したい(例えばこれがリスペクトが感じられないサポートgtであったら、今回のライブも有り得なかっただろう)。
SIAMのステージが終わり、暗転。転換時間ほぼ無いまま、SOPHIAのターンが始まった(私はSIAMファンなので、SOPHIAについてはそこまで詳しく書けない事を前置きしておく)。
1曲目はまさかのミサイル。勢いのある軽快なロックチューンで、シングルで発売された有名曲だ。SOPHIAはSIAMほど激しい音楽性ではないが、その分ロックンロール成分が多めだと個人的には思っている。初期の頃は陰鬱とした雰囲気に松岡充が書く内面的な歌詞がマッチしていたが、ミサイルを出す頃にはメジャーを経験し、かなり音楽性も前を向いていたのは周知の事実だ。
私は初めに聴いたSOPHIAの曲が「街」でも「Believe」でもなく「please,please」だった。当時中学生だった私に、この頃の亀田誠治プロデュースサウンドが刺さり、そこからアルバム「EVER BLUE」を購入したのを覚えている。
「SOPHIAといえばマテリアル〜ALIVEだろ」という識者の意見も分かる。ただ私の入りは「メジャーに行ってからの圧倒的陽キャのSOPHIA」だったので、そちらに傾倒してしまうのは許して欲しい(ちなみにその後のWeや2007も大好き)。
さて、SOPHIAの出で立ちはSIAM SHADEと比べると幾分ポップに見える。松岡充はジャージから着替えてBelieve時代を彷彿とさせる、ボリュームのあるファーニットにへそ出し、ベルボトムのデニム。ジルやクロ、トモは赤チェックを取り入れたスタイル。都はこの中だと1番ビジュアル系らしい雰囲気だった。デビュー当時からソフビ(ソフトビジュアル)系だったSOPHIAだが、後年はメイクも薄く、ほぼビジュアル系の面影は無くなっていた。今回は少し濃い目にしてくれたのか、嬉しい限りだ。
「青い季節」、「蜘蛛と蝙蝠」と、私にも分かる曲が続いていく。SOPHIAのライブはペンライトを振るが、あまり分からなかった私は基本的に青色にしていた。会場の照明に合わせて緑にしたり、黄色にしたりしたが、合っていたのかは正直気になる所である。
「みんな持ってくれてると思うけど…」と話し出した松岡充。もちろんそこから始まる曲は「ヒマワリ」だ。先行物販で購入していたヒマワリをついに使う時が来たのだ。
曲に合わせてペンライトとヒマワリを振り、会場の景色が黄色一色に染まっていく姿は圧巻であり、どこか暖かくもあった。少しテンポを落としたヒマワリの曲にもピッタリだ。
「君と揺れていたい」「&」、そして最新曲の「あなたが毎日直面している、世界の憂鬱」を披露すると、ガレッジセールが登場。ゴリは冒頭のゴリエでは無く、川ちゃんとお揃いのチェッカーズ衣装だ。
そこで披露されたのは、Gaphiaの「I Love you,SAYONARA」だ。私はチェッカーズがリアル世代では無いし、このGaphiaのカバーもこの時初めて聴いたのだが、何故かここで涙腺崩壊し、ウルっとしてしまった。
軽快なリズムに合わせて歌う3人、楽しそうに踊る観客、そしてにこやかな雰囲気。どうにもこういうのに弱いのかもしれない。
曲前にハモリを心配していたガレッジセールだが、本番でな上手くいっていたのではないだろうか?意外に2人の歌も上手かった(失礼)。
その後、「街」「Believe」という、松岡充もMCで話していたが、「SOPHIAにとって大切な曲」で本編を締めくくり、メンバーは退場。
SIAMはMCが全く無かったが、SOPHIAは松岡充が割と長くMCをしてくれた。関西のバンドだからか、ボケとツッコミが成立したMC(松岡が他のメンバーをいじって、メンバーが突っ込む)も完成されており、東のSIAM、西のSOPHIAは伊達じゃないなぁ、と思った。
アンコールはSOPHIAが登場し、今回のライブについてMCをした後、西山オーケストラが奏でるベートーヴェンの第9に合わせて、SIAMが再登場。こちらもSOPHIAの代表曲「黒いブーツ〜oh my friend」を栄喜と共に熱唱し、ライブは幕を閉じた。ゴリエ、コラボ、SIAMと合わせると24曲、合計3時間半に及ぶ大ボリュームのライブだった。
このライブはニコニコ生放送にて中継されており、ライブ中にもバックスクリーンに度々コメントが表示されていた。賛否両論あるかと思うが、現地と一体となって応援出来る体勢については評価したい(ただし松岡がMCをしている時、次の曲は〇〇、とかいうコメントは出さないで欲しかった)。アーカイブ配信も行っているので、私のnoteを読んで気になった方は購入するのも良いだろう。今回のライブは円盤化の予定が無いので、1ヶ月しかアーカイブが見れないのが残念だ。
アンコールが終わりメンバーが退場した後、東京での追加公演が発表された。こちらも是非参加したいし、可能性が無いとは言い切れない「DAITAの復活」も心の片隅に置きながら、10月まで待ちたいと思う。
(かなり端折って書いたつもりだが、気が付くと6500字をオーバーしていた。怖いものである。セットリストはXのフォロワーさんのものを拝借しました。)
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