【シロクマ文芸部】うかつな探偵
お題「消えた鍵」
「消えた鍵を見つけることだ」
長い沈黙を破ったのは、探偵のひと言だった。
「それがこの事件のキーになる。まずはそこから始めよう」
現場にいた関係者は一斉に頷き、部屋の中を探し始めた。
ただひとり、彼とバディを組んでいる私を除いて。
「おい、なんでおまえは探さないんだ?」
探偵は不機嫌な声で私に言う。
こいつはいつもそうだ。みんなが自分の言うことに従い、行動すると信じている。
しかし、私は違う。長年こいつと付き合ってきたんだ。さっきの言葉だって、たいした考