オマージュについての考察
※注意※
まず はじめに、
今回の記事は私素人の個人の見解であり"感想"です。
そして、かなり思想的な表現が多く入っている考察になります。
ですが、
実際のジャンプの漫画家さんの証言やジャンプ編集部の方のお話などを基に、前後の文脈判断をして結論を出しております。
こういう考え方もあるんだ…という感覚でお読みいただけると幸いです。
今回は私の思う『オマージュとは何なのか!?』、そして
『他作品の引用・参考』に関してアイデアをまとめたので
お話させていただきます。
<ポイント>
◆オマージュについて研究する人は世間では本当に少ない
→ワンピースを考察する人のほとんどはオマージュの
ことを理解していないし調べていない
◆オマージュと言われているものの大半は
「見た目の類似」で判断されている節がある
▶作者のさじ加減で似る・似ないは変わっている
▶似すぎると"パクり"とも呼ばれ、受け取り方は人それぞれ
→そもそも"オマージュ"は技法・技術ではないし、
実体のよく判らないものである
◆"オマージュ"とは「尊敬や敬愛を示すこと」であり『捧げる』もの
▶"オマージュ"と呼ばれているもののほとんどは「アレンジ」である
▶アレンジの他に"モデル""モチーフ""パロディ""トレース"が
オマージュを示すために使われることが多い
→漫画家の皆様は「好きのものを好きなように描いている」
◆集英社の中であれば、作品間の引用においては許容範囲が広い
▶同じ出版社内の作者間の著作権問題はほぼ全く起きていない
→ジャンプの長い歴史は漫画家にとっての『パンク・レコーズ』
◆作者同士で仲が良いとか尊敬している等の証言をアテにしない
▶公表されていないだけで面識がある可能性は高い
▶直接会ったことがなくても担当編集同士で連携を取り、
編集部を通して作者間でやり取りしている可能性が極めて高い
→そもそも「影響を受けた」「尊敬している」の一言は本当に必要ですか!?
◆ジャンプ編集部では既存の作品を研究し、マネることを奨励している
▶どの作品も「好きな物の"闇鍋"」でできている
▶そっくりそのまま描かなければ大丈夫という考え
→新しいアイデアは既存のアイデアの"掛け合わせ"である
◆作品をマネる、オマージュを使うことのメリット
▶創作できる量が増えてスピードが上がる
▶余計な展開を省き、設定の矛盾・破綻を防ぐ
▶『好き』というエネルギーが作品を魅力的にする
▶作者独自のアレンジがその作品に深みを持たせる
▶参考元が分かれば他者から的確なアドバイスを受けやすい
▶"孫悟空"に憧れた少年達はその影響を受けて漫画家になり、
彼らが描いた作品にまた新たな読者が憧れる…
→『オマージュ』は作者の個人レベルの愛情表現だけでなく、
ジャンプの歴史を支える『伝統』であり『魂の継承』も兼ねる
これまで私は断片的にコチラのnoteやXで
尾田先生がワンピースの作中に見せる
"他作品がモデルorオマージュされたであろう"キャラクターについて発表してきました。
私が明らかにそうだというものに限定してのオマージュ考察ではありましたが、それ以降、自分が漫画家なるつもりで実際にその現場を志す方々の目線に立ち調べていました。
その中で様々なことが見えたのと、私の中の『他作品の引用・参考』に対する考え方が大幅にアップロードされたので、ここに記させていただきます。
少し、こちらの記事で触れましたが、
今回はその全容をまとめてしまおうと思います。
コチラもぜひご覧ください。
(※下の方にも同じ記事のリンクを貼っておきます)
なお、
『エニエスロビー編とスラムダンクの関連性』については
衝撃的な結論に至りましたので
今は記事にするのを差し控えさせていただきます。
もし、Discordにアカウントを作られている方は
下記のリンクからご覧いただけるかもしれません。
<はじめに>
私はXにて『他作品の引用』やオマージュに
に関するアイデアをいくつか発表しました。
こういうご意見をたまに頂きます。
こういったリプをたまにいただきます。なんともツッコミどころがあるのは置いておいて、
まとめますと、これまでにこういったご指摘を受けてきました。
・尾田先生は天才だからそんなことしない
・一致する点としては不十分すぎる
・尾田先生と関係のない先生の作品はオマージュの対象じゃないだろう
・それはただのパクりではないか
・他作品からの引用なんてありえない
・漫画よりも小説や映画、神話等から探したほうがいい
・尾田先生に失礼
・自分の承認欲求が強すぎる投稿が気になる
一番下に関しては 発見当時(昨年の秋)はまだ
オマージュの多さを発見したばかりで
「考察や展開予想に通ずるのではないか!!?」
…という興奮が入り混じっていました。
今はというと、皆さんへの落胆の気持ちが強く、
それが投稿に表れていると思ってください。
ちょっと…ガッカリしています。
…それも そのはずなんですが、
私は
我々"読者"と漫画を含めた"制作者"の間に
何とも言えない"隔たり"があるように感じました。
俗にいう「プロとアマチュアの間の"大きな壁"」というヤツです。
音楽や絵画、神話や宗教の有識者の方々からも
いくつか ご指摘をいただきましたが、
皆さんは本当にその…
「週刊少年ジャンプ」に関わる方…なんでしょうか?
…読者としてではなく です。あるいは実際に
ジャンプ編集部の方、あるいはジャンプで連載されている漫画家の方と面識がある方なんでしょうか?
他に言えば、
その人自身が例えば音楽や映画、ドラマ等のエンタメ業界でお仕事されていたり、アーティストの方かそのような方とお仕事をされていたり、芸術・創作の世界で名が知れているか 実績があったり、大学(准)教授、大学院で研究している等の、第一線に近いところでの経験からのお話でないと、どうしても確証を感じることはできません。
ただ、そういう方なら大半は私にもっと参考になるアイデアを頂けるはずなんですけどね。
私は
・実際のプロの漫画家や専門家の実話・解説
・ジャンプ編集部発刊の書籍やXのアカウントの内容
・"マンガ家 尾田栄一郎"についての情報 等から
少しづつ収集することで今回の結論に至りました。
引用の方法や技術に関しては以前から考えは変わっていませんが、"法則"というか、その"意図"のようなものに最近気づかされることが多くありました。
それは我々が日常で知り得ない、その世界に踏み入れて初めて知ることができる知識。ワンピースの世界で表すと"覇気"みたいな知る人のみぞ知り得るもの。
その存在を確信しての今回のお話です。
ただし、信憑性に関しては結局のところ私の見聞と分析によるもので、
逆に 素人の私自身にも
いろいろ返ってくるお話でもあり
信じられない場合は構いません。
「そりゃ ごもっとも!!」
…という話なので、ご感想はお任せしますし、
もし参考にしていただければそれは幸いだな…といった所です。
前置きが長くなり申し訳ありません。
それでは参ります。
<常識を疑う>
まず、私のところによく来るご意見です。
改めて問いたい。そしてもう一度書きます。
もっちー先生は集英社の関係の方なのでしょうか!?
この方は直接ジャンプ編集部の方のお話を聞いてご意見を述べられているのでしょうか?
そういったお話はもっちー先生の口から聞いたことがありませんが。
これは中傷ではなくあくまで個人の見解です。
もっちー先生はキャラクターの"見た目"でオマージュかどうかを判断されています。
「オマージュ=モデル」という感じです。
他作品を引用する方法は様々で、「モデル」や「モチーフ」「アレンジ」、
そして悪質でない限り「パロディ」そして実は「トレース」も許容されています。
その中でおそらく「モデル」のみをオマージュの技法として考えられているのが現状だと思われます。それはどの方の考察を見ても同じ傾向にあります。
分からないから、分かっているけど視聴者に披露しても伝わらないからこれは誰から見ても確実にそうだ…というものにしか断定されていません。
そもそも、私は『オマージュ』についての捉え方は皆さんとはかけ離れていて、もうこの言葉を極力使わないようにしています。
皆さんが使っているからその言葉を使っているだけです。
どうせ誤解されることは理解したし、"オマージュ"ってそもそも何なんだろう…ということを深く考えて調べた人は少ないと思います。
改めて言及しますが、
「モデル」、見た目や設定の一致だけがオマージュの方法ではありません。
そして、私が出した結論としては、
オマージュはする"行動・行為"ではなく、
まさに対象者に尊敬の心を『捧げる』ものだと私は考えています。
それを読者や漫画家以外の人にも分かるように「あえて」描いていることもあります。
逆に大半はバレないように描かれていて明言されることはありません。それはその漫画家さんが尊敬する先生方、例えば尾田先生の画を見れば鳥山先生はきっとこれまでの経験で"自分の影響を受けた"と一目ですぐ気付くからです。
そういえば、この意見が特に多かったような気がします…
…じゃあ、
アナタ達が読んでいるのは一体何なんでしょうかね!?
漫画ですよね!?
漫画家の皆さんが努力して描いてくださった漫画ですよ!?
いろんな芸術に触れて教養を蓄えることは大事なのは当然として、
漫画について知識と理解を深めるのが一番の正攻法じゃないでしょうか!?
ワンピースの考察って、
『漫画作品の考察』ですよね!?
……なんか間違えてますか!?
それと、逆に言わせていただきます。
アナタ達に足りていないのは漫画の歴史、そして一番足りていないのは
「『少年ジャンプ』の歴史」 です。
<オマージュとは>
オマージュは技法・行為ではなく、対象に尊敬の心を『捧げる』ものだと考えています。
「既存作品の描写・セリフ・設定などを、引用する・まねる・似せる・匂わせる・彷彿とさせる、といった形で行われる。」…という点で「表現方法」と記されてはいますが、
これらはつまり厳密に言うと『アレンジ』やそれに近い方法です。
「アレンジ」のほかの他作品を引用する方法は様々で、「モデル」や「モチーフ」、そして悪質でない限り「パロディ」そして実は「トレース」も許されています。トップ画像はトレースに近いアレンジだと私は考えています。
ルフィと悟飯、エースとピッコロのポージングをそれぞれ3D化させトレースして引用されていると考えています。
そこからエースとルフィの体型や性格、その時の状況や心情を考えてアレンジが加えられているように感じます。
<集英社の力>
”パクり”うんぬんの話について。
日々 私が"オマージュ元やモデル"として取り上げるのは
・ドラゴンボール ・るろうに剣心
・NARUTO ・ジョジョの奇妙な冒険
…等、現時点では主に 週刊少年ジャンプのこれまでの作品に限定しています。それは、
同じ"集英社の作品"の範囲なら
ある程度の許容範囲で他作品の展開や画、設定をマネることはさほど問題ではないと思ったからです。
もし仮に、何か問題になる恐れがあればそこには担当編集がいて、編集長もいます。本当に何か問題が生じたらそこは集英社の専属弁護士などが対応するでしょう。
とはいえ、著作権の問題についてはネットやニュースで話題として取り上げられることもあり、そこから打ち切りや絶版になってしまった例もあって私の憶測の範疇を出ない話です。
ですが、
そもそも それ以前に 漫画家の皆さんはそれがバレないようにする技術や表現があったり、もし判明したとしてもそれを楽しむ要素として考えていらっしゃると信じていますし、実際 そのようになっているはずです。
なので、ジャンプで連載中の作者の皆さんはジャンプや他の集英社の作品からのアイデアの引用や参考、トレースに関してはある程度 容認(黙認!?)されていると考えていいと思っています。
パクりやトレースが問題で実際に絶版になった事例はあります。
「ちはやふる」でおなじみの、末次由紀先生もその1人です。
ですが、所属出版社を越えたトレースだったために大きな問題となった。そう考えています。
というか、出版社やジャンルの垣根を越えた時に著作権問題や訴訟が発生していると思います。あとはよっぽど作者の間で人間関係の問題が起こっているか…その危険性がある場合は担当編集が許可取りのために奔走する…そういった感じみたいです。
逆に、集英社では 過去の作品を資料としてどんどん利用していくのが
ジャンプでより良い作品を作り上げるより良い手段として奨励しているようにも感じています。
イメージするなら
"集英社は漫画家にとってのパンク・レコーズ"といった感じです。
ちなみに、著作権問題の観点で他社の事例を取り上げて反論をいただいたことがありました。でも、よく考えてください。
『友情・努力・勝利』
の言葉を掲げる週刊少年ジャンプです。
しかも何よりも『友情』が先頭に来ています。お伝えしていませんが、このことについてご意見を頂いた時「ジャンプを読んで一体何を学んできたんだ!?……」と、とても残念な気持ちになりました。
<マンガ家はマンガで語る>
マンガ家の皆さんはどうして"マンガ家"を目指すようになったのでしょうか?
(子供時代を想像してカタカナ表記にしました。)
鳥山先生のようなお金の事情があった先生方も例外でいますが、
大半の方々は"憧れ"が大きな志望動機だとは思いませんか?
特に子供の頃に大好きなマンガを読んで
「僕(私)だって少年ジャンプで マンガを描きたい!」
と思ったはずなんです。
私は 井上先生が
手塚賞の審査員をするにあたって寄稿された 下のこのコメントが好きです。
表現はたしかに不適切極まりないです。
でも、マンガ家の先生方の多くは子供の時に、きっと 好きな作品のキャラクラーを何度も描いたり、好きなシーンの模写を何枚もしていたでしょう。
・終わってしまった作品の続きが描きたい
・活躍しなかった脇役を活躍させたい
・主人公と友達になりたい
こういった想いを当時抱いきながら絵の練習をしていた先生方も 多くいらっしゃるんではないでしょうか!?
そこに
「〇〇が好きで、〇〇先生の影響を受けました」や、
「〇〇先生を尊敬していて、〇〇のオマージュをしています」という
わざわざ言葉にして我々読者に伝える必要があるでしょうか!?
そもそも、
・公表されていないだけで実は面識がある可能性は高い
→デビュー前に修行の一環としてこっそりアシスタントに行ったことがある可能性や先生同士や関係者の伝手を利用して、あるいは新年会・忘年会等で会ってる可能性もある。
・担当編集同士で連携はすぐに取れる
→編集部を通して作者間でやり取りしたり、伝言は確実に伝えられる
上記のような環境下にあるわけなので、いくらお互いに多忙な状況であっても同じ集英社なんだからある程度の挨拶等はできないわけがありません。
先に言っておきますが、一般の企業や我々の環境に照らし合わせて意見はしないほうがいいです。マンガ家さんの意向を受けて対応するのが『担当編集』です。
こういった形でコメントを出されていることもあります。遊戯王×ボーボボのコラボは実際にお話をされて決められていますが、それだけマンガ家さん同士では融通が利くということと、大半は読者には『事後報告』であることを覚えておいてください。
ちなみに、尾田先生は「小さなバイキングビッケ」が好きで、
だから 海賊モノの作品を描くことを決めた…というのは有名なお話です。
ですが、
それよりも、
尾田先生が少年時代に マンガ家になりたいと思うきっかけになった「怪物くん(著:藤子不二雄A)」や尾田先生が神と仰ぐ鳥山明先生の「ドラゴンボール」の2作品のほうが 尾田先生に多大な影響を与えていると考えられます。
むしろ、私は「小さなバイキングビッケ」は
本心を隠す"カモフラージュ"だと考えています。
その理由と意図についてはいづれどこかで発表します。
<そもそも他作品引用に報・連・相は必要か>
おそらく要りません。
まず、ネームや原稿の下書きを担当編集に見せます。
その時にパクりかどうか、掲載OKかどうか判断されるでしょう。
そして場合によっては完成した原稿を編集長が確認すると思われます。
その後、製本されたジャンプを我々読者よりも早く漫画家の皆様に届けられると予想しています。
さらにその同時期に、例えば鳥山先生や秋山先生、和月先生等のOBの方々にもジャンプが届けられるていると私は考えています。
彼らはこれまで数えきれない作品を読んできた先生方で、我々読者と比べてもはるかに他の芸術作品、著書、古典作品に精通している精鋭です。そして数えきれないくらい漫画を読んできていて、場合によっては漫画賞の審査員をすることもある方々です。
少し読めば記憶の限り、どの有名な作品の要素を引用したかすぐに判別できるでしょう。だから作者がわざわざ伝える必要も、公言する必要もありません。漫画家さん同士では彼らの中の共通認識で伝わっている…そう私は考えています。
その共通認識について私のアイデアが次の通りです。
<全てのアイデアは"アレンジ"から>
少年ジャンプ編集部が発刊した「マンガの描き方」にはこのように記載されています。
NARUTOはドラゴンボールの影響を大きく受けていることが編集部の人によって示されています。
好きな物の闇鍋、私の解釈ですが、NARUTOの中にその原形をとどめていなくてもDBの要素は必ずそこにあることを意味していると私は考えています。
鍋とかラーメンのスープを味見すれば、分かる人なら何で出汁を取っているのか(鰹!?昆布!?鶏ガラ!?…)…というのが解っちゃいますよね!?
アイデアというのはいわば「既存のアイデアの2つ以上の掛け合わせ」であり、真新しいと感じるような物事も、その原理や方法をしっかり理解すれば
掛け合わせたアイデアの出どころがドコなのか…ぐらいはすぐ見当がつけられます。
つまり、
見た目は全く違っていても2つ以上の物事の共通点をしっかり分析・研究できれば
掛け合わせたモデルのうちの1人として〇〇のオマージュを利用しているということが判明します。
尾田先生の場合、1人の登場人物に4,5人くらい、下手すれば7人以上のモデルが存在するため
全く新しいオリジナルのキャラクターとしてしか世間では認識されていないだけなのです。
例えば、
「エースが赤犬の攻撃を背中で受け止める」という行動はどこから来たのでしょうか!?
可能性の話ではありますが、思い当たる人物のうちの1人は、「るろうに剣心」の『式尉』(しきじょう)という人物です。
彼はガトリングの銃弾を背中で受けているのですが、ポーズは似ていません。
ただし、リメイクされたアニメのシーンを観ると、エースと式尉の関係性はあるように感じられてしまいます。
それは尾田先生が直接、和月先生に伝えなくても、経験上和月先生は理解していらっしゃるからでしょう。
ジャンプの漫画家の皆さん、特にその参考元のモデルを描いた作者なら自分の経験と照らし合わせてそのモデルが誰なのかの見当がついているんだと思います。
<全てはアレンジ②>
さて、この世界ではどうして限界なく 新たな作品が生まれるのでしょうか?
ジャンプでは新連載が始まるし、テレビでは季節ごとに各局で新しいドラマが始まります。
作家や脚本家、新しいものを作る人たちは
どこからそんなアイデアを生み出しているのか?
…そこで必要になるのが「他作品の引用・参考」だと考えています。
まず岡田斗司夫さんのお話で重要だと感じたことは次の通り。
・アイデアは有限である
・完全なオリジナルはもはや存在しない
・アイデアとアイデアの掛け合わせ
・パクりはバレてもかまわない
・できるだけ元ネタから離したほうがいい
・表面上のものではなく、構造をマネる
こういったことはどの業界でも新たなものを作る時に活用されていることだと認識しています。
音楽の世界でいうと、
女性アーティストのあいみょんさんが ヒットすることを意識して
スピッツさんの楽曲(曲名不詳)のコード進行を基に作ったのが
「マリーゴールド」らしいです。
音楽でいう"コード進行"が
漫画や映画等の世界では"物語の構造"や"キャラクターの要素"として
各作品に反映されていると思われます。
音楽にはロック、ポップス、バラード…などのジャンルがありますが、
コード進行は1曲1曲異なります。
逆にジャンルも曲調も全然違うのに同じコード進行が使われている曲は多いです。ヒットしやすい、名曲に多いコード進行まで存在します。
漫画家が神話等の作品を履修するように作曲家はクラシックを研究します。
でも、人気の曲や自分の好きな楽曲のコード進行を使って作曲をしたりすることもあります。
漫画家が子供の頃好きだったマンガ作品や有名な漫画作品の要素を取り入れることに私は違和感を全く感じ得ません。
<作品をマネる、オマージュを使うメリット>
◆創作できる量が増えて効率が上がる
自由に描くとなると何を描けばいいか分からない…そこから進むには何か制約や道標が必要。映画やアニメよりも紙に描かれていて読み慣れた漫画の方が情報を整理しやすいのではないか?というのが私の予想です。
一方で尾田先生を含めベテランの先生方の脳内では、他作品のデータはレゴブロックのように細かく分解され収納されているイメージです。それをパクリにならないよう再構築していると考えています。だから、モデルはあるけど全ては似せない、あるいは「パロディ」としてあえて似せて描かれていると予測します。
◆余計な展開を省き、設定の矛盾・破綻を防ぐ
例えば、酢豚に入っているパイナップルはギリギリ許す人がいても、酢豚にメロンやイチゴを入れる人はいないでしょう。
でも、それらを潰してフルーツの"ソース"にしたり、パイナップルもお肉を漬ける時に使われたりします。
ジャガイモは主に"男爵""メークイン"の2種類があり、料理によって使い分けられているように思います。
こういった過去の成功例が『レシピ』となるわけですが、漫画では過去の有名作品の"画"を参考にすることによってそれが『ガイドライン』になり、それに従うことで失敗を防ぐことができます。
登場人物にある程度のモデルがいれば余計な設定や展開も追加する必要性も減り、物語の矛盾や破綻、キャラ崩壊などを起こすことが限りなく0に近づく…そう思います。
◆『好き』というエネルギーが作品を魅力的にする
例えば、"ウルトラマン"に憧れを抱いた漫画家さんが描いた
『ウイングマン』という作品があります。
ドラえもんを研究し、そのシステムを取り入れアレンジされた作品が
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』であり、
『まじかる☆タルるートくん』です。
尾田先生や彼の世代の先生方はドラゴンボールと同じくこういった作品を読んでジャンプと共に少年時代を過ごしたのでしょう。
「面白い」という感情のエネルギーはその作品の面白さに大きく反映されます。当時の感動を思い出して描かれることで、その1コマ1コマの魅力に繋がると私は感じています。
◆作者独自のアレンジがその作品に深みを持たせる
◆参考元が分かれば他者から的確なアドバイスを受けやすい
例えば担当編集や他の編集部の方々、アニメスタッフとの相談がスムーズにいくが多いように感じます。
エースとピッコロの声は同じ古川登志夫さんですが、もしエースがピッコロを参考にしているとすれば、一度演技をしたことのあるシーンを思い出しながら古川登志夫さんは演技をすることができ、とても感動的なシーンを作ることができます。
このようにオマージュ元がわかることは、特にアニメやグッズ等の制作上のメリットが多いかもしれません。
<さいごに>
ドラゴンボールは多くの人々に影響を与えており、漫画家の皆さんにおいては何度も模写をして練習し、研究を繰り返し、その経験と努力がそれぞれの作品に活かされていると思われます。
そうして彼らが描いた作品にまた新たなファンが生まれ、憧れて漫画家になりたいと絵を描き始める…そうしてまたその下の世代に影響を与えていく。
また、ドラゴンボールが生まれる前にも数多くの作品がジャンプに掲載されており、互いのアイデアを取り入れながら少年たちに夢と興奮、感動を届けてきたという歴史があります。
『オマージュ』はそういった少年ジャンプの歴史を支える『伝統』であり、『モデルの継承』を繰り返しながら多くの名作、人気作を世に生み出し、そして多くのファンを抱える現在の少年ジャンプがあるのだと感じます。
<追記>
「パクりはけしからん!!才能のない奴がすることだ!!」というような意見をよく目にします。
そんなことを言っている人は多分、本気で何か大きな作品を作り上げたことがないから言えるんだと思います。
(ちなみに私はあります。漫画ではありませんが。)
無駄に長い記事になってしまいましたが、
ご覧になり創作の意欲がもし沸きましたら、パクりとか気にせずどんどん模倣から始めて今後の人生の糧にしていただければと思います。
漫画家を目指したいと思われた方、まずは集英社を始め、
編集社のお力を借りることが一番の近道だと思います。
下記リンクは今回参考にさせていただいたジャンプ編集部様管轄の質問箱です。「漫画ってこう描くんだ!」というのがよく解ります。
ただ、現実を知ることにも繋がるので、ただ読者として楽しみたい方にはオススメしません。
そして、今後はいろいろあまり世間に広めたくない"ここだけの話"を呟いていこう…と、
サブの鍵垢をXに作りました。
https://twitter.com/OPJUMPLOVE12
ぜひフォローリクエストをお願いします✨
あ、あと、
ワンピースにNARUTOのオマージュなんてあり得ない…と言われましたが、
仲良しなんですから、もうそれ以上は話す必要もないでしょう…
「ONE PIECE (ワンピース)」©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」©和月伸宏/集英社・フジテレビ・
SPEビジュアルワークス
「DRAGON BALL(ドラゴンボール)」©鳥山明/集英社・フジテレビ・東映動画
「ボボボーボ・ボーボボ」©澤井啓夫/集英社
「遊☆戯☆王」©高橋和希/集英社
「僕のヒーローアカデミア」©堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc. 発行:集英社 『週刊少年ジャンプ』
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