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【新代表取締役社長インタビュー】効率重視ではなく、社会のために良いことが正しいと言える世の中を目指して


◎はじめに

こんにちは、ベンチャーキャピタルMICです。私たちモバイル・インターネットキャピタル株式会社(以下MIC)は、1999年の創業時からデジタルテック領域においてリード投資を基本とし、シリーズAを中心とするオールステージにて、スタートアップへ投資支援活動を行う独立系のベンチャーキャピタルです。

今回は、先日6月7日付けで前任の海老澤(新取締役会長)からバトンを受け取り、代表取締役社長へ就任した元木へインタビューを実施しました。VC業界に足を踏み入れる前は何をしていた?MIC入社の経緯とは?新代表として就任するまでのキャリアをひも解きます。

元木 新(もとき あらた)/代表取締役社長
(経歴)
NGB(株)にて、電器・情報分野の特許/論文情報を利用した調査コンサルティングに従事。技術の先行例調査、特許権侵害防止調査、最先端技術の動向/情報の収集・分析、知財戦略の構想策定・実行支援のコンサルティングを経て2011年6月MIC参画。ForbesJapanが選ぶ2018年/2021年「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」に選出。Japan Venture Awards2018(JVA2018)ベンチャーキャピタリスト奨励賞受賞。

◎前職で取り組んだ知財領域

ーーもともとは、VCへ就職しようとは考えていなかったそうですね?

そうですね、VCに興味を持ち始めたのは社会人として働き始めて2~3年たった頃ですね。それまでは、むしろVCを知らないに近かったので。

大学卒業後は日本技術貿易、現在のNGBに入社しました。専攻としては、ソニー、キヤノン、東芝みたいな大手メーカーに進むのが王道だったんですけど、エンジニアという職業にあまり興味が持てなくて、代わりにコンサルに惹かれたんです。

ただ、マッキンゼーみたいに大企業と対峙して経営戦略を考えるコンサルではなく、テック寄りの仕事がしたいと思ったんです。それも、単なるテックでは面白くない、知財領域(特許)に進もうと思ってNGBに入社を決めました

ーー知財(特許)に着目したのはなぜですか?

青色発光ダイオード(LED)で有名な日亜化学という会社があるんですが、私の故郷である徳島の会社なんですね。当時、日亜化学に在籍して青色LEDの開発をした中村修二さんが、正当な発明報酬をもらえてないことで裁判を起こしてメディアでも取り上げられていました(※)。

そういうのを目の当たりにして、学生ながらに特許のパワーを実感したことが大きいですね。技術立国日本を支えるには、特許と言う領域は貢献しがいのある領域なんじゃないかと思いました。特許を守ることが「日本を作っていく」ということにつながるんじゃないかと期待しました。

※1993年に世界に先駆けて高輝度青色LEDを開発。実用化した高輝度青色発光ダイオードの発明により、赤﨑勇・天野浩とともに2014年にはノーベル物理学賞を受賞。

ーー「日本を作りたい」という思いからNGBへ入社したわけですね。

当時、小泉首相が「知財立国日本」みたいなワードを出していたんです。それに一定の感度を持っている学生はなびくわけで、僕はそれでなびいた1人なんです(笑)

選択肢としては、特許事務所にいくとかメーカー知財部にいく等、いくつか選択肢がありました。ただ、小さい事務所では出来ることが限られますし、メーカーだと製品が限られます。日本を支えるのはそういうことではない、日本を支えるのは総合的に日本の技術をサポートしている会社だと思ってNGBへの就職を決めました。旧社名が日本技術貿易=「日本の技術を貿易する会社」ですからね。あらゆる日本の技術を貿易する役割を担えるんじゃないかと思いました。当時もいまも、「知財の総合商社」ってNGBぐらいしかないんですよ。世界で見てもこの分野でTop3に入る会社です。

◎VC業界への転身

ーー希望通りNGBで働く中で、VCという仕事に興味を持つようになったのはなぜですか?

NGBに入ってよかったのはあらゆる分野の技術に携われたことです。特許やIT技術面、エレクトロニクス、メカニカル系を経験し、まさに技術の1000本ノックでした。ありとあらゆる技術の説明を受けて、次々にソリューションを提供するので、本当に楽しかったですね。

色々な先端的なものが見えて楽しいと思って取り組んでいましたが、3年目~5年目あたりで次第に「そうは言っても特許のことしかやってないな」と思うようになって、「技術は色々あるけれどそれをどう広めていけばいいのか」と考え始めたんです。企業って色々なことやらないといけないですよね。知財に限らず、他に戦略やファイナンス色々ありますよね。それを0から10まで全部見えるのはどこだろうと考えた時に、ちょうど先輩の話しからその存在を知っていた「ベンチャーキャピタリスト」が思い浮かびました。

0の立ち上げから10のIPOまで見ることができるっていうのは、銀行でもコンサルでもなくVCだろうと思いました。今あるものを横に動かすのではなく、0から1を立ち上げて10までもっていきたかったんです。例えるならば、NGBは5の部分の1000本ノックが受けられて楽しかったけど、今度は「0から10の1000本ノックを受けたい、全体を見たい!」となってしまったんですね。

ーー自分を追い込みたくなった…物凄いマゾみたいですね(笑)

確かにそうかもしれません(笑) 名前も「新」なだけに、新しいことを立ち上げてやっていきたい、新しいことに触れていたいというのが常にあるのかもしれません。名前の通り、活きていますね(笑)

初めは国内VCではなく米国VCへの関心が中心でしたが、とにかく凄い世界があるなと思って海外VCに憧れつつ国内VCを調べる中で、徐々に就職してみたいと思うようになりました。

ただ、2008年はリーマンショックで日本も海外のVC業界も打撃を受けていました。その時期にファイナンス業界への就職は厳しく、一度仕切り直してVCへの転職を準備するためにビジネススクールへ通うことにしました。キャピタリストになることは決めていましたので、「地方活性」「リスクマネー」「特許」というキーワードで論文も書いていましたが、いま思えばあの時期に転職しなくて良かったと思っています。

◎MICを選んだ理由

ーー数あるVCの中でもMICを選んだのは、なぜですか?

正直、当時は選べる環境ではありませんでした。門戸が開いてない中でもどうしてもVCになりたかったので、とにかくそれを叶えてくれる場所があれば行きたかったというのが実情です。当時のMICが、キャピタリストとしては素人の私を拾ってくれたことは、とても感謝しています。もちろん、これまでの経験を通じてMIC側にも貢献できると思って入ってます。

ーーMICに入社当初の職場環境は実際にいかがでしたか?

これはですね、今いるメンバーに「恵まれているよ」と声を大にして伝えたいですね。当時は、NGBでやっていた若手のころと変わらず、案件の1000本ノックでいつまでも終わりがない、地獄みたいな感じでした(笑)

ある案件では、具体的な説明はないまま「お前やっとけ」と指示を受け、やり方はわからないから、まずは自分でやってみて取り組んでみるんです。ものすごく効率は悪いですよね。そのあと、「なぜできない?」の繰り返しで…これも時代ですね(笑) だからといって、今のメンバーにそうしようとは全く思わないけれど、とにかく当時といまの雰囲気は全然違いましたね。その分、鍛えられましたかね。

◎代表就任への想い

ーー最後に、MIC新代表としてメッセージをお願いします。
日本を支えるVCとして、MICはこれまで25年間にわたり、多くの起業家と共に挑戦し成長してきました。今後も私たちは「日本をつくる」気持ちを胸に、デジタルテクノロジー領域への投資を継続し、起業家と共に未来を創り出す支援を提供していきます。新しい時代においても、リスクマネーの提供やバリューアップ支援において、常に誠実で真摯な姿勢を貫きます。
これからもMICは、起業家に寄り添いながら、より良い世界を目指して共に歩んでいきます。皆様のご支援を心よりお願い申し上げます。

ーーありがとうございました!別途、前任海老澤との対談企画も予定しておりますので引き続きよろしくお願いいたします。

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◎モバイル・インターネットキャピタル株式会社
モバイル・インターネットキャピタル株式会社(以下MIC)は、1999年の創業時からデジタルテック領域において、リード投資を基本とし、シリーズAを中心とするオールステージにてスタートアップへ投資支援活動を行う独立系のベンチャーキャピタルです。投資先のスタートアップへの支援の一環として、事業会社との事業連携などオープンイノベーションにも注力中です。各分野に明るいキャピタリストがおりますので、事業相談や出資相談などお気軽にご連絡ください。

Photo&Writing BY Saki Ariga/MIC Communication Manager


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