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超異分野学会2024大阪 登壇後記

こんにちは、モバイル・インターネットキャピタル株式会社(以下MIC)です。いつもnoteをご覧いただきありがとうございます。今回は、弊社キャピタリストがイベントへ登壇致しましたのでご報告致します。


■宇宙産業の可能性についてディスカッション

モバイル・インターネットキャピタル株式会社(以下、MIC)キャピタリストの木本です。今回、MICとして初めて、リバネスさんが主催する『超異分野学会』にセッションパートナーとして参加する機会を頂き、『地球から宇宙へ、宇宙から地球へ、全世代で拓く深化の可能性』というタイトルで、素晴らしいパネラーの方々とともに、宇宙産業の可能性についてディスカッションさせていただいた。

実は、今回私自身は登壇予定はなく、下の登壇者の写真には私は掲載されていない。元々、弊社会長の海老澤が登壇予定であったが、皆さんのご記憶にもある今年もっとも厄介な台風のおかげで、海老澤は当日大阪に来ることができず、前乗りしていた私が急遽ピンチヒッターでの登壇となった。

2024年08月31日 15:10-16:00 
【超異分野学会2024 大阪・関西大会】地球から宇宙へ、宇宙から地球へ、全世代で拓く深化の可能性

パネラー: 大阪府立北野高等学校 佐々木さん、関西学院大学 岸本さん、株式会社天地人 櫻庭さん、MIC 木本
ファシリテーター: リバネス 大坂さん

https://lne.st/2024/08/02/hicosaka2024_mic/

■日本政府の動向

冒頭、本セッションのファシリテーターであるリバネスの大坂さんから、直近の政府の動向、宇宙関連の戦略、政府の方針、助成金や補助金の話などを共有され、日本政府として、宇宙産業に注力していく方向性の確認があった。

ちなみに、MICとしては、これまで宇宙に投資したことはない。

ーでは、なぜ今宇宙なのか?

https://journal.ntt.co.jp/article/19855

MICはこれまで、通信、デジタル、領域を中心に、25年投資業を続けてきた。その中で、今インフラに変化が起き始めている。
特に通信インフラ、データ処理インフラが、地上に留まらず、我々の頭上のはるか上の宇宙領域に広がりつつある。

象徴的な動きは、やはりスペースXのStarlinkであろう。衛星を介した通信インフラが突如商用化された。

また、NTTも『NTTC89』プロジェクトを発表し、宇宙分野への本格進出を打ち出した。直近では、2026年までに、成層圏でHAPSを稼働させ、既存の地上基地局を一部代替していく計画である。

さらに少し先の話にはなるものの、地上のデータセンターを衛星や月などの惑星へ移管させようとする企業やスタートアップも出てきつつある。

インフラは、地上の人々の生活を支える重要なものであり、欠かせない。これまで宇宙と一言にいっても、どこか他人事で限られた人々が盛り上がっていたり、アニメや映画の世界であったりと、どこか遠い存在であったものが、今や我々の生活に影響を及ぼしつつあり、宇宙が人々のよりより生活をサポートするソリューションになりつつあるのだ。

■登壇者コメント

ー櫻庭 康人 氏 株式会社天地人 共同創業者/代表取締役社長
上図にもあるとおり、これまでIoTセンサで監視していたものが、衛星でも監視できる世界になりつつある。
その象徴的なスタートアップでもある株式会社天地人はJAXA認定第一号スタートアップであり、JAXAからの出資も受けているが、元々は農業向けIoT監視サービスを提供していたという。
代表の櫻庭氏によると、元JAXA職員である、現CSTO百束氏との出会いが全てを一変させたつまり、天地人は、農業IoT企業から、衛星データ企業へと生まれ変わったのである。
宇宙からの衛星データと地上の気象データ等とを掛け合わせ、農地の監視や、最近では水道管の漏洩監視サービスなどを開発し、提供している。
天地人のように、宇宙業界の人物と、それ以外の人物が出会うことで、新たなイノベーションが生まれることも今後は増えてくることを期待したい。

ー岸本 直子 氏 関西学院大学 工学部 教授
一方、異分野から、宇宙業界へと転身し、今や大学の教授を務めるにまでに至った人物もいる。関西学院大学の岸本さんである。
学生時代は、京都大学文学部で考古学を専攻したところから、航空工学→宇宙へと、ご自身の興味が赴くままに突き進んできた結果、今宇宙にいます、という方である。

宇宙においては、文系も理系も関係ないのである。

岸本教授がおっしゃるには、宇宙産業には、全てが不足しているという。ヒト、モノ、カネ。。。
『モノ』に関して言うと、宇宙で使用するあらゆるデバイスや装置は、打ち上げる前にできるだけ宇宙に近い環境で試験する必要がある。その試験場が足りないという。宇宙用のデバイスや装置が高価なのは、性能が高いからだけでなくこうした試験に費用がかかるからである。

ちなみに、
宇宙で使われる多種多様な電子デバイスは、実は、地上でいう最先端の超高性能デバイス、ではない。

何より、安定性、安全性、確実性、堅牢性、が求められる宇宙では、エラーが起こりうる超高性能なデバイスよりも、絶対に壊れない、誤動作しない、信頼性の高いレガシーなデバイス(別の言い方をすれば、枯れた技術)が採用されるそうだ。意外にも、我々のスマホより古い電子デバイスが使われているようだ。

もう一つ、岸本さんが『ヒト』について、宇宙業界では人材が不足しており、他分野からの参入に期待されていた。ジェンダーバランスが取れていないことも憂慮されていたが、今回のセッションで女子高生が登壇していることには、宇宙業界の未来が明るくなると話されていた。

ー大阪府立北野高等学校 佐々木さん
前出の女子高生、ただの高校生ではない。
彼女は素粒子物理学の世界的なコンテスト初の日本チーム優勝メンバーとして選出された、若き宇宙研究者なのである。

実はこのセッションの後、スイスとフランスの国境にある研究施設(欧州原子核研究機構:通称 CERN)での実験のための渡航する予定である。そして、おそらく、今回のセッション登壇者の中で一番忙しいのが彼女であろう。

その佐々木さんは、セッションで、自らのチームが開発した、ほぼ手のひらサイズの宇宙線検出器を紹介してくれた。CERNにある研究施設の一つである一周648mもある大型加速器を使いテストするという。

経験のあるアカデミアの先生だけでなく、佐々木さんのような存在がいることで日本の宇宙業界の未来は安泰だと感じた。

■最後に

最後に、MICから。

我々MICは、研究ではなくビジネスに投資をします。

宇宙がどうビジネスになるのか。どこがビジネスになるのか。
ビジネスとは、人々の生活がよりよくなることに、人々がお金を払うことで成立する。
いつの間にか、人々が気づかないうちに、宇宙が我々の生活の中に浸透し、人々が気づかないうちに、宇宙にお金を払っている時代はもうすぐそこに来ているかもしれない、という可能性を感じる一方で、それを実現するための課題感も強く感じたセッションであった。


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