吉井ユウ 『青島くんは意地悪』 を読む
『青島くんはいじわる』という漫画がやたらインスタやらTwitterやらに広告が出ており(ってそれは自分が漫画ばっか閲覧してるからなんだが)気になって9話まで読んだのだが、あれ面白いな。作中でも彼氏にあたる年下の「青島くん」が9歳上の自立した「雪乃さん(多分苗字が葛木だっけ、なのはエヴァからじゃないか?肉食要素を抜いたミサトさん。仕事バリバリで芯が強くて優しいけど天然で私生活ツッコミどころ満載という定型モデル)」に乙女呼ばわりされているのだが、まあその言葉通りあれ男女逆転させたら今までのコミックの中で結構ありふれた話なんだよな。青島くんが姫系の癖のある女の子だったとして、仕事ちゃんとできる一見枯れた感じの35のオッサンと恋愛して、姫系の闇というか自分の面倒くさい内面がどこかで解れてくみたいな筋。そう考えてみると、男になってるからあんまり感じないけど、青島くん相当めんどくさい屈折した危険信号の男なんだよな。雪乃さんでなきゃ人間使い潰されちゃう感じの。男女が逆転してたら、まあそこまでのありふれた話なんだけど、『青島くんはいじわる』で面白いのは、雪乃さんの側も少しずつ変容していくというところなのだろうな。一人で生きていくことの意味とか、多様な人生経路の中で固めてしまった自分のあり方を引っ掻き回されて、ライフスタイルや自分の時間の使い方を変えていくことに彼女自身はすごく抵抗がある(そしてそれが「王子」と呼ばれちやほやされてきた青島くんにはわかんないというかむしろ新鮮なのだ。
彼は王子じゃなくてただのにーちゃんとして自分を見てくれる人でないとレンアイできないのだよね。自分をエゴ的に守るために王子キャラを作った責任は棚上げして、そのキャラが彼女の前だけでは最初から無効化されて精神的に裸になるというか)んだけど、あたかも「自然体で」変わっていくかのように彼女自身がとらえることに現段階では成功している(本当は結構青島くんにうまいことやられて変えられているが)。
青島くんの方は、雪乃さんと出会いともに過ごすことで変容しつつある自分を意識的に歓迎してるしそこの部分(俺をこんな(に人間的にマトモになるように)変えてくれた)まで含めて雪乃さんのことが好きなんだろうけど、雪乃さんの方は果たしてどうなっていくのかなというのが今後の展開できになるところ。男をマトモにバージョンアップさせたとこでお別れするって展開もありえる気がしてきたな。なんとなく、雪乃さんの方では自分が変質していくことを本質的に歓迎しているようには思えないんだよな。青島くんに雪乃さんを同じ程度にまで彼女にとって意味のある方向性に変容させていく力が無いと、これ等価交換にはならないから続いていかないんじゃ無いかという。つまり青島くんが頑張らないと二人の先はないぞ!がんばれ青島!
ともかく、最近のレディコミ見てると、今見てきたようなこういう系統と、ひたすら歳の差のあるおっさんが無垢で性格のいい年下女を私物的に愛玩するってのと、二極化してる気がするわ。で、その間の割と関係性が真っ当なところに、フラットな感じのエロコミがいる(はることか)気がする。
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