MOOCsについて
私がオンライン修士課程を履修するきっかけは、MOOCsの1つであるCourseraで、TESOLのプロフェッショナル認定コースを受講していたことでした。
このMOOCs(Massive Open Online Courses、大規模公開オンライン講座)では、米国のハーバード大やMIT、英国のケンブリッジ大をはじめ、世界中の様々な教育機関が原則無料で講座を公開しています。EdXやCoursera、FutureLearnが主流かと思います。
日本の場合はJMOOCで、東京大学や京都大学の講座が提供されていますね。
こういったMOOCsをはじめとしたデジタル化の流れは、こちらの書籍で学べます。
JMOOCはわかりませんが、EdXやCourseraでは、各大学がオンラインで提供している修士課程も検索できます。(さすがに修士課程は学費が発生します)
こういったプラットフォームの誕生を見ると、学びの質が、時代によってどんどん変化していっている印象を受けます。
例えば、少し前までは、有名大学の授業どころか、高等教育機関の講座にアクセスできる人は限られていました。費用だったり、能力だったり、知識だったり偏差値だったり地理的なものだったりと、アクセスするには様々な制約があったわけです。
しかし、今やこういったフィルターが取っ払われて、学びたければ無料でどんどん学べる仕組みができたんですね。
知識の価値はなかなか下がりませんが、知識を提供する価値は、以前ほど高くないのかもしれません。
前述のTESOLのプロフェッショナル認定コース(アリゾナ州立大学提供)は、大体1コース6週間で、トータル8コースありました。1コースを修了するには、各週最後のテスト(選択式)とコース最後にある試験(選択式のものと記述式)に合格する必要がありましたが、いずれも選択式はコースで学んだ内容の確認ですし、ノートを見返しながらできますので、ちゃんと受講すれば簡単に満点が取れるものでした。
問題は、記述式。出されるTaskはやりがいがあるんですが、これ、Peer-review(学習者同士の相互評価)なんですよね。
はっきり言って、結構適当にされました。誰かの課題をレビューしたら、必ずコメントでフィードバックを返さないといけないんですが、これが"Good"とかの一言だったり、逆にちゃんと読んでもらえなくて「合格にしたけど、これ書けてないよ」とか言われて嫌な気分になったり・・・。自分がしっかり取り組みさえすればいいのですが、Peer-reviewで得られる質は低かったです。
ともあれ、大変でしたが、中身はとても充実したものでした。
プロフェッショナル認定は有料なんですが、コース単発は無料です。その割には充実しています。
自分で学ぼうと思うと、体系的に学べなかったり、どこから手を付ければいいかわからなかったりするものですが、コースは動画でのレクチャー(長くても10分程度)と、関連文献と、確認テストとエッセイが基本で、中身もどんどん繋がっていきます。
では、オンラインで受けるのと、実際に対面で受けるのは、どう違うのでしょうか。
私見ですが、1つは前述の「peer-review」に関わる部分だと思います。つまり、「フィードバックの質」です。
前述のコースがpeer-review制をとっていた理由として、大学だけでは、全世界から集まる何千という受講者に対応しきれないから、ということが考えられます。
一方、現地生の場合、志望理由書と最終学歴の成績等で選ばれた人たちが学んでいて、受け入れられる人数にも限りがあります。その分、先生や学生同士で、対話を通じて自分の理解の軌道修正をしたり、議論でアイディアを洗練していく機会が保証されています。
そうやって学びと理解を深めていくのですが、MOOCsでは、なかなかここまではできません。
単に覚えるだけ、新しく知るだけなら、MOOCsで事が足りてしまい、わざわざ高い学費を払って高等教育機関に行く必要はなくなってしまいます。
一方で、質の高い学びを得たいモチベーションがある人、その知識を使って新しい何かを生み出したい人のみが、大学や大学院で学ぶようになるのかもしれませんね。
余談ですが、フィードバックのタイプについては、UCL教育研究所(IoE)・Diana Laurillard先生のTeaching as a Design Scienceという本で紹介されています。
大学院の講義で1章読んで、とても面白かったので、本で購入しちゃいました。誰か日本語訳してくれはれんやろか・・・
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