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エジプトでCELTAを受けてきた③

2024年8月4日から約4週間、エジプトはカイロにある語学学校International House CairoでCELTAを受けてきました。

前回の記事はこちら↓

この記事では、いよいよ始まった授業と、受講仲間の様子について書いていこうと思います。


最初に:CELTAについて

CELTA受講に際しては教授経験は必要なく、18歳以上で英語力の基準(CEFR C1)を満たしていれば、誰でも受けられます。どちらかというと、今から教師になる未経験者向けの資格です。

それを踏まえると、10年以上英語を教えている自分には向いていないではないか?とも思いました。でも実際は全くそんなことはなく、むしろ受けて自信がついたと思います。

(1)合格の条件

CELTAでは試験があるわけではなく、以下の全ての基準を満たせば合格できます。

①出席率100%(無遅刻・無欠席)
②6時間の授業実習(2つの異なるレベル対象に行うこと)
③6時間の授業観察実施
④4つのライティング課題でPass

1番大事なのが、②授業実習④ライティング課題です。
特に授業実習では、後述するInput Sessionで学んだことを生かせていないと、容赦なく"Not to standard(標準以下、不合格)"の評価が下されます。

(2)CELTAの合格率

CELTAの合格スケールには3種類(Pass、Pass A、Pass B)あります。以下のCriteriaが設定されています。

CELTA Syllabus and Assessment Guidelines(p.14)より

基本的に指導教官の指導に沿って、リフレクションを生かして取り組めば、不合格になることはまずありません。ただし、様々な理由から途中で辞退する人は一定数いるみたいです。

参考までに、2020年〜2022年の合格率は以下の通り。(世界平均)

【2022年】Pass:65.0%、Pass A:5.6%、Pass B:24.5%、Fail:0.4%
【2021年】Pass:64.5%、Pass A:5.7%、Pass B:25.6%、Fail:0.3%
【2020年】Pass:64.6%、Pass A:6.5%、Pass B:25.1%、Fail:0.3%

Cambridge English Language Assessment Grading Statisticsより抜粋

こんな感じで、ほっとんどの受講者がPassです。そして、Passで全く問題ありません。地獄のCELTAを生き抜いた勲章みたいなもんです(笑)

では何が違うかというと、私がお世話になった指導教官が言うに「CELTA終了後にどれだけのサポートが必要か」だそうです。

「もしも採用の面接官がCELTAでの成績を聞いてきて、Pass AやBじゃないと採用しないとかぬかしたら、その面接官はCELTAのことを何も知らないってことよ。そんなとこは自分から辞退しなさい」って言っていたのが印象的でした。

では、そんなCELTAの中身を紹介します。

授業の流れ

前半(9時~13時)はInput Sessionと呼ばれる講義中心、後半(14時~18時)は、受講者による模擬授業と振り返りです。

Input Sessionでは、ただじっと座って話を聞いていることはなく、指導教官からガンガン意見を求められ、受講者同士での話し合いが求められるので、気が付いたら時間が過ぎていてお昼になっていたことがほとんどでした。

このInput Sessionがまた面白くて、受講者が生徒役になり、教師役の指導教官が、その日学ぶ授業フレームワークや指導技術を使いながら授業を進めます。

その後、授業の流れを振り返って、何をしていたか、なぜその順番なのか、何を目的にその活動をするのか、などを受講者同士で議論します。

この流れで終えた初日の次の日から、最初の授業の流れをがっつりメモしていたら、「今はメモじゃなくて議論の時間よ」なんて注意されてしまいました。

でもすぐ忘れそうだったので、活動の合間に少しずつメモをして、忘れないようにInput Session後の休憩中にノートをまとめていました。

ちなみにですが、私はiPadでGoodNoteというアプリを使ってノートをとっていました。ハンドアウトも写真を撮って埋め込めるし、教材もPDFにして読み込めるので、すごく便利でした。指導教官にも「タブレットでメモをとる受講者」としてすぐ覚えてもらいました(笑)

(午後の模擬授業(授業実習)については、次の記事で詳しく書きます。)

受講仲間の様子

地域的なこともあり、中東出身者が多かったです。

エジプト人が4名のほか、パキスタン、シリア、リビア、スーダン、イギリスから2名、カナダ、そして日本(私)の12名でした。
(CELTAは最大受講者人数が12名までと決まっています)

欧米組と私以外のメンバーはみんなアラビア語話者でしたが、休憩時間も含め、みんな英語で会話していました。(もちろん、アラビア語話者同士でも)

わかってはいましたが、アラブ系の人たちは本当によく喋ります
あと仲間意識が強く、親身になってくれるので、現地生活で困った時や、授業実習で生徒について学ぶ時、あとご飯を買いに行くときなど、色んな場面ですごく助けてくれました。

楽しかったんですが、1つだけほんとーーーーーーに困ったのが、全く人の話を聞かない指導教官の指示も聞かない、課題の提出にしても、レッスンプランの書き方にしても、指示や例があるのに読まない。「これ読んだらわかるよ」って言っても読まずに聞いてくる。

まあ、読むより聞いた方が確かに速いんですが、こっちも同じくやることてんこ盛りなので、あまり余裕がないわけです。でも「ちょっと待って」って言っても聞いてくれない(泣)

さすがに困って指導教官に相談したら、隣の部屋を空けてくれたので、本当に集中したい時はそこにこもるようにしました。笑

ちなみにですが、この「話を聞かない」「指示を読まない」というのは、CELTA受講において大きく響き、何人かのメンバーは初回の授業実習で注意されていました。(詳細は次回の記事で)

指導教官について

International House CairoのCELTAは、イギリス人とエジプト人の2名が中心になって運営されていました。Input Sessionは、基本交互に担当されてました。

イギリス人の指導教官は、これまでにロンドン、タイ、トルコなどでもCELTAを教えてきた方でしたが、エジプト人指導教官はとても信心深いイスラム教徒で、午前のInput Session後、教室の片隅で絨毯を敷いていつもお祈りをされていました。

外を歩くときは、ニカブ(目元をあけて顔を覆うヴェール)を付けられていましたが、講義の時は生徒の声が聞こえないから、と外しておられました。

(ニカブについてはこちら。)

もちろん2人ともプロフェッショナルなんですが、お互いが母国語でない言語の英語でのコミュニケーションになったため、エジプト人指導教官とは時に意思疎通が難しい時がありました。(そんな時はconfirmationとして何度も確認しに行きました)

でも典型的?なエジプシャンでホスピタリティがあり、Input Sessionの担当外の日には、手作りのコシャリを受講生みんなに振る舞ってくれたり、ケーキを焼いてきて受講生に配ってくれたりしました。ナッツやフルーツもくれて、私が食べ方を間違えて爆笑されることもよくありました。

ケーキ1つでお腹いっぱいになって勉強してたら、「だめ!もっと食べなさい!」と言われ、追加で2個食べ(させられ)たのも、いい思い出です。笑


次の記事では、いよいよCELTAの中核ともいえる授業実習(Teaching Practice)について紹介していきます。

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