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抹消されていた記憶。

先日、お酒の席で、ある知人からこんな質問をされた。
『本読みでしょ?』
数日前から興味本意で始めたこのnoteをその知人は見てくれていたのだが、感想がまさかのソレで驚いた。
私の書く内容だけでなく、文章構成や並べられている言葉にも視点を向け読んでいたのだろう。
彼はコピーライターやライターの仕事をしている。
見る人がみればわかるのだと知った。
確かに私は“本読み”だ。

学生時代は派手な服装を好み、クラスの目立つ女子(当時はギャルと呼ばれていた子たち)と連んでいた私だったが、根は図書館に通う少女だった。
頻度は減ったものの、社会人になってからも図書館通いは継続していた。
本を読んでいると別の世界にいる気がして好きだったからだ。
両親が共働きだった事もあり、小説を毎日2冊ずつ読んでいる時期もあった。
彼は、私のそのバックボーンに優しく触れた気がして嬉しかった。
隠していたわけではないが、普段私の周りにいる友人たちには、私が“本読み”であると明かした事はなかった。
図書館の職員と私しか知らない事実だ。

彼のこの発言により、ここ数年の私は別の世界にいる時間を疎かにしていた事に気付く。
長年、本を読む事で心のバランスを保っていたはずだったのだが、無意識にその術を忘れてしまっていたのだ。
この一言のおかげで私の根っこはまた顔を出し始めた。
そうして今、分厚く重なった紙を数年ぶりに捲っている。
独特の懐かしい匂いに包まれながらとても穏やかな心緒を感じる。
私の中から抹消されていた記憶を呼び戻してくれた彼には感謝だ。
なにより、このnoteを書くきっかけをくれたのもまた、彼であった。

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