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今更ながらのファーストブック!

朝からザーザー雨でどうなることかと思ったけれど、旅行に来ている外国人のカフェ利用や、雨の日こそ来てくれる常連さんたちで今日もなんとかなった。

ずっと、売り切ることを考えて作って来て、かれこれ30年近くも経つ。お天気と相談したり、来てくれる人のことを想像したり。毎日計画表を作ってそれを考えるのが楽しみといえばそうだけど、私独特の面倒な作業でもある。でも作ったものは生き物だから無駄にはしたくない。

「フードロスを減らそう!」とか、「めっちゃ当たり前のことやん。今更何言うてんねんやろ。」って思う。それどころかそれを売り文句にしているお店もあったりする。
大きいお商売になると、ちゃんと売り切るより廃棄してしまう方が楽だったりするんだろうから、そういう言葉が生まれたんだろうけど。
経済をまわす消費社会ってどうなんだろう?って自分もお店をしながら時々投げ出してしまいたくなる時がある。

そういえば、一番最初に出版した本(ミアズブレッドのサンドイッチのつくり方 2008年出版)にパンの耳のサンドイッチのコラムを載せたのだけれど。どこかの書き込みに「パンの耳までサンドイッチにして食べて・・ご苦労なことで」と書かれていたことがあって、何もコメントを返さずに削除したことがある。
「おいしいのにわかってないなぁ。みみは捨てるものだって思ってるのかなぁ。」

今でも変わらずミアズの賄いはパンの耳のチーズトーストとサラダ。
ミアズのサンドイッチは一昔前のサンドイッチのように耳をおとして作らない。だけど一番端っこ(耳だらけのところ)は賄いにしたり、パン粉にしたりする。たまに「パンの耳は売ってませんか?」と聞かれたら販売していたけど、そのニーズが増えて近頃は店頭に並ぶようになった。それが今はベストセラー。ちゃんとしたものは全部美味しく食べられるからね。
そして、耳がついたパンで野菜たっぷりのサンドイッチは今はもうノーマルな形にさえなった。

経済のぐるぐるに巻き込まれないように、世間に交じりながらもちゃんと透明バリアをはって自分らしく実現していくと、なんとかやって来れるもの。雑踏のなかにいるからこそ誰かに見つけてもらえたらうれしいし、世の中が手強いから自分の島が居心地よく感じる。

世間や過去を基準に物事を決めていたら、そのうちチューニングが合わないラジオみたいになってきて、自分の声が聞こえなくなってしまう。
違和感にはちゃんと反応する感覚を持ち続けていたい。
誰もが気がつかなくても自分が気づいていることに道ができるから。

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