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人力車と蒸気機関車と飛行機

「4月の半ばって例年暇やもんなぁ。そろそろ作る量を減らさないとね。」と今日は控えめなラインナップだったのに、いいお天気で気温もぐんぐん上がって街も公園も人だらけだった。おかげでパンも売り切れたし、サンドイッチを作るパンもなくなくなってニーズには応えられなくなった。 でも近くにパン屋さんもカフェも増えたから、あんまり責任を感じることもない。「ミアズじゃないと!」って思っている人はそんなにいるわけでもない。 

以前僻地にお店があった時は、毎日2時間前から行列ができていた。はるばる来たのに定休日だったりすると、申し訳ないので休みの日に我が家用に焼いていたパンを「定休日のパンだからお金はいらない。」って渡していた。自宅兼店だったし、人を雇っていなかったから、自分ルール全開だった。
ニーズがあるから嬉しくて応えて、更に喜ばれようと努力してクルクルクルクル時間が過ぎた。だからお店はどんどん広がったし色んな要素を持つようになった。
あの頃はSNSもなかったし、他のお店のことは全くわからないけれど、来店客の「ミアズじゃないと!」率がかなり高かったような気がする。

訳あって街に引っ越してきて、今は「ミアズじゃないと!」率が低くても、以前よりは少しは有名になったし、観光客や、比べっこ族(パン屋巡り)のおかげもあって、お店をキープできている。
どっちがいいかとかそんな話ではなくて、人生の中に両方のパターンを味わえて幸せだなって思う。ガンガン愛を交換しながら走らせる走る人力車と、愛を燃料に走らせる蒸気機関車みたいなもの。前者は余裕がないけどアドレナリンが出て楽しいし、後者は寂しさはあるが周りの景色を見ながら夢想を楽しめる。

それにしても「ミアズじゃないと!」で溢れている時はほんとありがたかかったなぁ。もう人力車には戻れないけどね。あ、もしかして飛行機になれる日が来たりして!


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