書きたいという気持ちは性欲に似ている。
夢の中で、私は絵を描く人だった。
それは禅画のように何か意味が込められたもので、でも漫画に近いもの。美少女のシルエット。儚い色。
私は夢の中で青年だった。僧のように頭を丸め、袈裟のようなものを着ていた。そして、固いベッドの上にいる。もしかすると、何かの病気をして入院していたのかもしれない。
スケッチブックを広げる。母親は「そんなくだらない絵ばかり描いて」と私を叱っている。それでも私は、食事を取るのも忘れてスケッチブックにかじりついている。
少女の手足を細い線で描く。現実の私は漫画なんて下手くそなのに、すらすらとペンは滑り、画用紙の上に少女の姿が現れる。
そこに、蝶をべた塗りで散りばめていく。少女の無垢な体を穢すように。
描いているうちに、私は自分が勃起していく感覚がわかる。現実では女性の私に、そんな器官なんてついていないのに、ありありとわかる。やがて、描いているうちに射精してしまう。夢精みたいに。
とにかく夢中になってしまうこと。寝食を忘れて、やらずにはいられないこと。お金のためでも、他人のためでもなく。その欲求は、性欲によく似ている。夢の中で青年だった私にとっては、それはイラストを描くことであり、現実の女の私には、文章を書くことなのだろうと思う。
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