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2024年10月タイ旅行記⑨女性性の肯定と解放、それから朝食革命

濃い2日間が過ぎ、チェンマイ滞在も折り返し。2回目の朝。

支度の遅い私は5:50にアラームをセットし、7時からの気功ヨガへ。

ドアを開ける音で隣の部屋のお姉さまも出てきて、一緒にその場所へ向かう。
とにかく広い敷地、方向音痴の私は部屋のある建物から徒歩5分ほどの場所へ、1人でたどり着ける自信がない。

朝の気功ヨガ集合場所

当たり前のように私を毎回、敷地内の行きたい場所へ連れて行ってくださったお姉さまだが、実は一足早く今夜日本へ帰ってしまう。

ドアの音を合図に一緒に集合場所へと向かうこのルーティンも、あと何回出来るのだろうかと、少し切なくなった。

前日と同じように、各自コップに水を入れて集まる。

推定年齢75~90歳ほどの先生。
アゼルバイジャン出身で、モスクワ大学で文学や芸術を教えていたこともある、という面白い経歴の方。私たちは親しみを込めて「魔女」と呼んでいた。

東洋医学、五行の木火土金水(もっかどごんすい)各パートに対応する臓器でエネルギーを活性化させ、大切にいたわることで自身を癒していくようなヨガ。

また、朝からびっくりしてしまうくらい大胆な表現で、女性性を高らかに賛美し、肯定し、受容し、育んでいくような内容もあった。

ただ、最低限普通に生きていくために男性と同レベルの能力や働き方、体力を当然のように求められつつ、同時に産み育てる側の性としての役割を担うことも期待される現代の日本人女性には多いと思うが、自分の女性としての側面に微妙で複雑な感情を抱くメンバーは私以外にもいた。

敷地の至るところに鮮やかな花が

何故か「魔女」から私が前に出るように言われ、「お前は男か?女か?」と聞かれた。

日々複雑な想いを抱えているにも関わらず、それらすべてが吹き飛んで考える間もなく
「女!」という答えが自分の口から出てきた。

「魔女」に言われるまま、彼女の足の甲の上に私の足を重ねて、掴んだ手を引っ張り合った。私は「魔女」を信じて全体重を委ねながら、上体を後ろへと倒した。

私より身長が20センチほど低い「魔女」とのバランスが崩れ、「魔女」は少しよろけながら言った。

「お前は女だ!!」

なにをもって、私が女であるという証明になったのかは不明であるが、もしかしたらそれは、よく知らない相手を信じてすぐに全体重を預けてしまった潔さなのかもしれない。

普段、男性と同じように働き、社会生活を送っており、形は何であれいつも女性の味方でいることをポリシーとしつつも、出産経験はないしあまり自分を女性らしいとも思っておらず、性を意識しない生活をしてきたから、自分の潔さは自分でも意外であった。

「女」であると自ら宣言し、「魔女」からも認められたことで、私の中で自身の性に対するスタンスが少し変化したように思えた。

そうか、「女」なんだ。私は女でいて大丈夫なんだ。女として堂々と生きていくのは正解だし、女として人生を楽しんで良いのだ、と。

内側へと閉じており、外に出さないようにしていた
私の女性性が少しずつ開花していくように思えた。
女であることへの罪悪感、否定なんていらない。
子どもを産んでいなくても、私は女。女としての人生を謳歌しても誰にも文句を言われることはない。

メンバーの中には「魔女」から同じように聞かれた時、上手く答えられなかった人がいた。

自己の性に対して迷いがあったからなのか、社会的役割に対してのことなのか、恋愛で辛い経験をしたからなのか、わからない。

その方は涙を流しながら、私がしたように、「魔女」と手を掴み合って引っ張りっこをしていた。なかなか上手くいかず、更に涙を流しながら、長いことそのようにしていたと思う。

組み合う足の上下も「魔女」と何度か入れ替え試行錯誤し、ようやくバランスが取れた時、もう一度「魔女」は聞いた。

「お前は男か、女か?」

先ほどははっきり答えられなかったそのメンバーは、号泣しながら叫んだ。

「私は女!!女!!」

周りで見ていた私たち仲間は黙って見守っていたが、その瞬間、風船が弾けたかのように空気が変わり、順々にそのメンバーへ駆け寄りハグをした。私も少し涙が出た。

現代の日本でこんなことをしたら色々と問題になるだろう。女性性、特に性自認の問題はとてもデリケートなものだ。無理に決めなくて良いし、揺らいでも良いようなものである、と個人的には思う。しかし、時にはこのような荒療治が長い目で見れば癒しと解放に繋がることもあるのかもしれない。

広い敷地を移動し、いったん各自部屋へ戻る
レストランのある建物へ再度集合し朝食

前日もそうであったが、メニューにあった朝食は、トーストやヨーグルト、目玉焼きやオムレツといった、シンプルな西洋風のもので、タイ料理を期待していた私には物足りないものであった。

いただいたオムレツは確かに美味しかったが、正直チェンマイまで遥々来て食べたいものではない。

食べ物への執着の強い私は、ダメ元でレストランのスタッフに聞いてみた。

「他のページ(朝食メニュー以外)のものを作っていただくことはできますか?」

と思い付く限り最大限丁寧な英語を絞り出した。

旅の恥はかき捨てと言うし、カスタマイズは怖くない。

思い切って聞いてみると、案外あっさりと承知された。

じゃあ何を食べるか、が問題だが、

タイっぽくて、朝食っぽいもの

を探すと、パパイヤのサラダが目に入った。

それを1つ、あとは前日と同じように、フルーツを注文し、他のメンバーと一緒にいただいた。

非常識だとか、我が儘だとか、思われるかもしれないが、人にどう思われるかばかり気にしていたら人生楽しめない。

思い切ってチャレンジしてみて、ダメならダメで良いではないか。

自分の欲に素直になり、それを表現することは、他人に明らかな迷惑をかけない限り、認められて良いことだと思う。

パパイヤのサラダ。味付けは塩とライムがベース。
唐辛子も良いアクセントになっていて大正解!
量もたっぷりだったため、みんなで分けて食べた。


そういえば、自然豊かな敷地内ではたくさんの虫さんたちと遭遇した。

最初は心臓が止まるかと思うくらいびっくりしたが、だんだんと慣れてきて、3日も経つと虫さんとバスルームを共有出来るくらいの心の余裕が出てきた。


以下、リアルに私の使っていたバスルームにいた虫さん。


【閲覧注意】











ホテルの方によると、刺したりするような害はない、とのこと。よく見ると可愛いものです。



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