お父さん
お父さん、大好きだった。
数年前、大病を患って闘いながらも家族に愛されて旅立った。
お父さんのお通夜の時、白杖をついた初老の男性が訪れた。誰も知らない人だった。
男性が言うには、お父さんに救われた。と。
お父さんは、小さな町の教育長をしていた。
その時に、男性は、教職員をしていたそうだ。
ある日、事故にあい、視力を失う。
そして、職も失うことになったそうだ。
それを知ったお父さんが、教員が教職を失うなんてダメだ!と、色々なところに手を回し、どのような形かはわからないが、教職に戻れたそうだ。
男性は、いつか感謝を伝えたかった。
と、何もしていない私達遺族に頭を下げていた。
お母さんが、あ〜、なんかそんなこと聞いたことあるかもなぁ。と、つぶやいていたのが印象的だ。
お通夜、お葬式と時間を重ねて行くうちに、あらゆる所からお父さんの色々な話を聞いた。
そして、思った。
こんなに愛の溢れる、強くて優しい人の子どもだったんだ。
誇らしい。
お父さんは、子どもの頃から理由はよくわからなかったが、私の自慢のお父さんだった。大好きだった。亡くなった時は火葬されるのが嫌で、こっそり家に連れて帰ろうかとも思った。さすがにこの時は、亡くなったショックと、寝れてない、食べれない疲れで、脳みそがバグってたんだと思う。
お父さん、そんなあなたの娘の仕上がりは、ごめんなさいとしか言いようのない仕上がりです。
なんの努力もせず、どうしていいのかもわからず、酒を煽る日々。酒を煽るのは、あの頃のお父さんと同じだけどね(笑)
情けない話、酔わないと自分の殻から出ることができずに、素面の時は、常識人の仮面を被って過ごしています。
今までの堕落した日々が許されるのであれば、残された時間、少しでもお父さんに近づけるように、今を生きる子ども達のために、精一杯、尽くしたいな。
何よりも尊い、世の中の子ども達の笑顔のために、生きてもいいですか?
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