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あの日のこと③

この日は暑くて、全員、Tシャツだったりサンダルだった。
私はTシャツにスニーカー。
彼はTシャツにサンダル。
みんなラフな格好をしていた。

私はアルコールの力を借りないとろくに話せない。
ぐるぐる考えすぎて、黙りこくってしまう。
彼も酔わないと敬語が抜けなくて、人懐っこいくせにシャイで繊細な感じの人だった。

2人でお酒を飲みながらポツポツおしゃべりをしているうちに、彼も酔って気が緩んできたのか左太腿に右足を置く感じで脚を組み出した。サンダルの脱げた裸足の右足の裏がこっちを見てる。綺麗な足の裏。ずーっとこっちを見てる。
私はすでに酔っ払っていたんだと思う。
こっちを見てる右足の裏を触りたくなった。
なんのことはない。
ただの変態。
ふと会話が止まり、彼は何を見るでもなく、誰と話すでもなくぼんやりと正面を見つめてお酒を飲んでいた。
私は手を伸ばした。
人差し指の先で、ゆっくりと、彼の右足の裏の足の指の付け根から踵まで触った。

え?

彼が驚いたように振り向く。
目が合う。
私は、何もしてないよ…と、無言で目を逸らす。
彼は何も言わず、さっきと同じ様に正面を見つめてお酒を飲む。

また、指先で彼の右足の裏をゆっくりと触る。
彼はチラッと目だけで私を見て、目が合うと正面を見る。
私は目を逸らす。

私は面白くなってきて子どもがいたずらを楽しむかのよう繰り返し触った。

彼はゆっくりとお酒を飲みながら、そっと笑っていた。

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