新人期間の憂鬱の先
働き初めのうちはいつだって、特に何か悪いことが起きていなくても職場に行くのが憂鬱になる。
新しく入ってきた人間としてどう見られているのか、生意気に見えないか、と自分の一挙手一投足に気をとても使う。
いつも思う。私は初めを楽しめないタイプだ。
緊張するとはまた違う。
誰にも嫌われたくなくてマイナス評価を受けたくなくて仕事できないなと思われたくなくて、新たに出会った人全員の顔色を伺って、疲れる。
同時に、いつか慣れるということも知っている。
慣れてきたら冗談も言えて手の抜き方も習得しちょっと合わない人の前での立ち回りも心得ていく。
それは分かってるけれど、慣れるまでの期間の耐え方は未だにあまりノウハウがない。
でも、考えすぎないことと時間薬なことも多く、静かに耐えるのが最短ルートだったりもする。
家に帰ってメモを見返して小さなことも全て怖がっている自分と比べて、一緒に入った人はペコペコもしてないし心が強そうに見えた。
でも、今日その人は、業務中でも帰り道でも「ミスしてないかずっと怖いです…」と言った。
先輩達が近くにいた手前、素早く手を動かしながら「分かります」と曖昧に笑うことしかできなかった私は、彼からどう見えていただろうか。
少なくとも私の感覚では、あの場で飄々と仕事をしているように見えたのは私の方だったように思う。
個人差はあれど、多分みんなそれなりに弱いのだ。
そして他人は強く見える。
私はその時、そんなにこの世界を恐れ過ぎなくてもいいのかもしれないと、少しだけ思えた。
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