扇風機おばさん~The Mangoes~
2ヶ月間のフィリピン留学を終え、土曜日に帰国しました。
いや〜、辛かったです、生活が。勉強は楽しかったです。
さて、今回は私の顔面が赤く腫れ上がったことを紹介します。別に馬鹿みたいな事は一切していません。只々、運が悪い話です。
マンゴー
帰国日まで残り3日となった5月末、「何か南国を堪能しておかないとな…」と考えた私は、前日に食べたフレッシュマンゴーの味を思い出した。
日本円で約60円で買えたマンゴー、日本のスーパーじゃ高くてシカトしてしまうマンゴー。ルームメイトとスーパーに買いに行くことにした。
「うわ〜、やっぱ安いっすね〜!」
いくつかのお土産用お菓子と共に、マンゴーを爽やかに2つ購入。
やんややんやしてドミトリーに戻り、シャワーを浴びて一息ついてから、おもむろにマンゴーの皮を手で剥き、そして食らった。美味しかったので、種の周りに残っている部分も余すことなく食べた。つまり、種をしゃぶった。まじ意地汚いと思う。反省。
食べながら、
「このアホの私が、このまま無事に日本に帰国できるなんて事は、ない気がするんだよな〜」
などと、考えていた。この予感はドンピシャ的中する。
就寝時にトイレに行ったついでに、鏡で自分の口元を確認すると、何やら口唇ヘルペスの様な水泡が出かかっていた。先週1週間、ずっと風邪を引いていたので、よく寝れば治るだろうと就寝した。
翌朝、起きた時に体がひどく怠く、口周りが少し火照っている感覚があった。ヘルペスの様な水泡が少し増えていた。「最終週なのに嫌だなぁ…」と、ワセリンを塗りたくり、朝のデイリーテストだけ受け、残りの授業は1日休むことにした。それだけ体が怠かった。
昼頃に起き、鏡で自分の顔を確認すると、鼻下から顎にかけて皮膚が熱を持って赤くなっていた。なんだか、いつもの口唇ヘルペスとは様子が違うなと思った。
昼食後は、天下のGoogle先生で『フィリピン 口唇ヘルペス 薬局 薬』と延々とググっていた。すると、『口唇ヘルペスだと思ったらマンゴーアレルギー…』と書かれたブログに出会った。もしや…と思った。
もともと、アレルギー体質の私は、疲れると蕁麻疹がでたり、蚊に刺された部分が面白いくらいに腫れたりする。病み明けにマンゴーを2日続けて食べて、アレルギー症状を引き起こすことなんてお茶の子さいさいではなかろうか。『マンゴーアレルギー』を延々と調べた。発症までの期間、症状がまさしくそれだった。実際のことは、医者に行って診察してもらわなければ分からない。
しかし、「帰国まで後少しなのに、これでフィリピンの訳の分からない病院に連れて行かれて、入院までさせられたらどうしよう嫌だ。」という気持ちが勝り、手持ちのアレルギー薬を飲んだ。そして寝た。
そして、学校最終日、顔はさらに赤く腫れた。
最終日だから、マスクをして授業に出たが、2コマだけ出て早退した。いや、無理。唇を上手に動かすことが出来なくて、会話が困難だった。「最終日なのに…」と思いながら、声を掛けてくる友人達に事情を説明して、トボトボとドミトリーに戻って寝た。その間も、唇は腫れ続けた。何の罰ゲームだよ。
夕方、心配したルームメイト(看護師)が、私の代わりに氷と食べ物をモールに買いに行ってくれた。
その後、ルームメイトと私の共通の友人(看護師)が知り合いのお医者様に電話をしてくれて、私の症状と服用している薬を聞いてくれた。そのおかげで、フライトしても問題ないということが分かった。まじでお二方がとても優しくて今でも感謝が止まない。
ちんたらちんたら帰国準備して、廊下で遭遇したベトナミーズの友人にマスク剥がされて「What happened?」って聞かれてからのお別れのセルフィーして、「You should take care of your face...」ってガチで心配してもらったりもした。まじで可愛くて良い子なんだよね。前にベトナムのお金くれた。
まあ、そんなこんなで帰国。
フライト中の気圧のおかげで、顔がさらにパンパンパン子。アンパンマンなんて表現は可愛いレベル。第二の扇風機おばさん。顔の腫れは引くことを知らない果敢な精神の持ち主だってことがよーく分かった。
SIMカードを入れ替えて、速攻、成田国際空港クリニックへ駆け込んだ。
「発症から結構時間が経っているし、ここで変に点滴とか打っちゃって大変なことになるとダメだから、飲み薬だけ出しますね。地元に帰っても、まだ症状が酷かったら、救急外来に行ってください。」
そう言われ、セフレとの約束をドタキャンし、ラーメンを啜ることも諦め、新幹線で実家に直帰。新幹線の中で水を飲むのも一苦労した。こんな顔面クリーチャー、公共の場で晒しちゃいかんだろ。こんな思いがしたくて留学したんじゃないやい。涙を流すことも出来ない顔なので、一滴も涙を流していない。ハハ、どうだ、参ったろ。
「お〜、腫れてる腫れてる」
「わっ、扇風機おばさんじゃん、かわいそう」
「思ってたより、酷いな!」
「うわ…」
帰宅してすぐに、私は家族のエンターテイメントになった。
その晩、夕飯を食べてから、救急外来に点滴を打ちに行った。点滴後、先生に「あんまり変化はない様に見えますが、どうですか?」って言われて笑った。だって、個人的には上唇の腫れが少し引いて、話しやすくなったのに、見た目は何も変わってないのかよ(笑)笑うしかない。
その翌日も、顔面の腫れは止まる所を知らない様だった。しかし、冷やし中華を啜ることが出来る様になった。とてつもなく嬉しかった。
その次の日、待ちに待った月曜日が来た。かつてこんなに、月曜日が来て嬉しかったことなどあったであろうか。いや、無い。
病院では、血を3本抜かれた。じぃっと抜かれる血を見ていた。なんせ気持ちの悪い人間なので。
検査の結果、感染症ではなく、アレルギーだということが確定した。何のアレルギーなのかは、判明はしていない。おそらく、マンゴーだろうという事だった。
2週間後に、品目別のアレルギー検査の結果が出るという事だったが、私の顔面のアレルギー症状が結構酷いため、1週間後にまた来てくれと言われた。そんなにひどいんだ。びっくり。うける。
もう多分、一生フィリピンなんて行かない。私には合わない環境だった。
顔はまだ腫れているし赤い。こんなブスになっちゃうんだ、こんなの初めてって感じで毎日鏡を見ている。
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