ギグワーカーの待遇改善に見る新たな働き方の未来
厚生労働省は、急増するギグワーカーの待遇改善を目的とした新たな指針を策定する方針を示しました。この指針では、ギグワーカーに対して最低賃金の適用や有給休暇の取得を認めるなど、従業員と同等の権利を付与することが検討されています。これにより、多様な働き方に対応しつつ、企業にとってもギグワーカーとの契約がより円滑になることが期待されています。
デジタル技術の進展に伴い、ネットを介して仕事を受ける「ギグワーカー」が増加しています。米国の大手企業をはじめ、ITエンジニアやウェブデザイナー、データ入力業務を請け負う人々がその一例です。日本国内でも、副業としてギグワーカーを経験する人が増えており、その数は約275万人にのぼるとされています。
この新たな指針の策定は、ギグワーカーを法的に保護するための重要な一歩です。従来、労働基準法は正社員や非正規社員を念頭に置いていましたが、個人事業主とみなされるギグワーカーは対象外でした。しかし、実質的には企業からの指示に従って働くケースが多く、その待遇改善は時代の要請と言えるでしょう。
この新指針が企業にとって新たな負担を生むことは確かですが、同時に、日本全体の賃金上昇や人手不足の緩和にも寄与すると期待されています。ギグワーカーと企業がより良好な契約関係を築けるようになることで、労働市場の柔軟性が高まり、企業の成長にもつながるでしょう。今後、企業としては、ギグワーカーに対する適切な対応策を検討することが求められます。
欧米では、すでにギグワーカーの保護に関する法整備が進んでおり、ギグワーカーの権利が広く認められています。例えば、EUではギグワーカーを労働者として保護する指令案が採択され、米国カリフォルニア州でも同様の法律が導入されています。日本でもこの動向を踏まえ、適切な法的対応が求められる局面に差し掛かっています。