全然白くないホワイトデー〜SIDE:C〜
ヨウタとカナコちゃんとのデートから3週間くらいたってのホワイトデー。
ヨウタがカナコちゃんに告白する日だ。
今頃、アイツはカナコちゃんに電話しても繋がらなくて焦ってると思う。友達だから無視なんてできない。アイツはいい奴だから…
ヨウタに電話をかける。
「今、カナコちゃんから連絡あってさ…今日はちょっと会えないってさ。」
ごめんな。ヨウタ、俺お前に謝らないといけない。俺、お前の気持ち知ってたけど、カナコちゃんの気持ちも分かってたから…そして…
電話越しにパニックになっているヨウタ。
「ヨウタ、これからちょっと合わない?今どこにいる?」
数十分後、死にそうな顔をしたヨウタが家にきた。俺はこれから…もっとお前を絶望に落とさなけばならない。
「急に呼び出してごめんな。でも電話で話すような内容じゃないと思ってさ」
ヨウタの顔が俺に疑いの目をしている。きっとお前は「カナコちゃんと俺が実は付き合っていたんじゃないか?」そう思っているだろうな。違うんだ、そうだったら良かったのにな。
「俺さ、カナコちゃんから相談受けてたんだ。ヨウタが好きだって。」
………………………
ヨウタとカナコちゃんのデートの後、カナコちゃんからLINEがきた。
初めはハッピーな内容かと思ったけど…
俺の尊敬するタツミ先輩と付き合うとか言い始めたカナコちゃん。冗談だと思った。
ガチ?っかヨウタはどうした?
マジで意味が分からなくなって、すぐにカナコちゃんに電話した。
カナコちゃんは、ヨウタが好きだっけどデートのあとヨウタからなにもないから、脈がないと思って諦めた時にタツミ先輩と会ってそれから告白されたらしい。
おいおい…よりによってタツミ先輩かよ。どうするんだよ…
ホワイトデー当日、カナコちゃんからヨウタに「会えないって伝えて欲しい」って言われた。
そして、その友達は目の前に座っている。
………………………
「俺さ、カナコちゃんから相談受けてたんだ。ヨウタが好きだって。」
「ん」
死にそうな顔のヨウタに血の気が戻る。ハッピーエンドにしたいよな親友。わかるよ。
「え!?そうだったの?じゃあなんで今日電話出てくれなかったの?これから告白しようと思ってたのに…」
「まぁまぁ、ちょっと最後まで話を聞けって…」
「好きだったのは本当だ。だけど、ディズニーシーに行ってヨウタは何もしなかっただろ?それが決め手になっちゃったらしい。ただの友達としてしか見られてないんだってカナコちゃんは思っちゃったみたいだ」
…
ヨウタの顔が固まっている。頭回らないよな。なに言われてるか意味わかんないよな。
「そんな顔見てると言いづらいんだけど、おまえのことを思ってちゃんと言うね。自暴自棄になってたカナコちゃんを優しくフォローした先輩がいて、そのまま流れで付き合うことになったんだって。だから今一緒にいるから会えないってこと。状況わかった?要するにヨウタが奥手すぎてもう手遅れなんだよ」
…
…
…
…
ヨウタの顔から正気が抜けていくのが分かった。人が絶望する瞬間を俺は目の前でみている。楽しかっただろうな。シーの後も俺に毎日連絡してたもんな。今日のホワイトデーで決める。って気合入れてたもんな。ごめんな。本当にごめん。俺はお前の友達でいる資格なんてないのにな。
…
「こんなもの、作らなきゃ良かった…何がホワイトデーだよ…最悪だよ!」
ヨウタが手に持っていたクッキーを壁に投げる。
前日からこの日のために準備してたもんな。知ってるよ、お前の想い。
俺はそれを救って食べる。
「美味しいよ。このクッキー。もったいないから食べよう。食べてクッキーと一緒にカナコちゃんへの思いも食べちゃおう」
俺にできるヨウタへの償いとカナコちゃんへの想い。2人でクッキーを食べた。
…
…
…
…
あれから数年、何十年か。
35歳の同窓会で集まる事になった、カナコちゃんはタツミ先輩とは半年くらいで別れたらしい。ヨウタとは卒業するまでその話はしなかったそうだ。
俺は街を出て県外の大学へ進学してそのまま商社に就職した、ヨウタは製菓の専門学を卒業してパティシエを目指すためにスイスに留学してスイーツ職人になって、今地元で店を出してる。1番人気はホワイトデーのプレゼント用、涙の塩クッキーだそうだ。アイツらしくて笑える。
カナコちゃんとも学校を卒業した時は連絡を取っていたけど、お互いに生活が変わって次第に疎遠になっていった。
久しぶりに地元に帰ったきた。懐かしい匂いがする。
「19年ぶりか…カナちゃんとも会うのも。」
…
カナちゃん、
俺、ずっと言えなかったけど。
カナちゃんの事…
…
「ずっと、好きだったんたぜ…」
終わり。
ヨウタ役 池田さん
カナコ役 クミさん
ゴウ役 金城みーこ
スペシャルゲスト お読み頂いた全ての方
ここまで読んで頂きありがとうございました。
春ですね。恋してみませんか?
フィクションです!(私のは)
池田さん、クミさん。
書いてとても楽しかったです。参加させて頂き本当にありがとうございました!
スペシャル(* •͈ᴗ•͈)◞ᵗʱᵃᵑᵏઽ*♡
前編↓
オリジナルのお話↓↓