沖ツラ 勝手に番外編 組踊 『二童敵討』
「沖縄も10月となると朝と夜は涼しくなってきたなぁ〜」
沖縄に引っ越してきた、てーるーこと中村照秋が、ボーッと海を見ながら独り言を呟く。
「あい!てーるー、とるばってからに。ぬーそーが?」
「てーるーこんにちは、ボーっとして何してるの?ってよ」
沖縄方言を話す女の子は照秋が恋心を抱く喜屋武ひな、通訳しているのはひなの親友で照秋に恋心を抱く比嘉夏菜。
「あ!喜屋武さん、比嘉さん、いや〜沖縄も涼しくなってきたなぁ〜って思ってさ。」
「だっからよ〜。やがて今年も終わりんど〜。あい、てーるー、くんちちぬ文化祭ちゃーするー?」
「そうだね。もう少しで今年も終わっちゃうね。今月の文化祭どうする?って」
「そうだ!今月、文化祭だね。なにしようか?みんなでソーラン節でも踊る?(笑)」
「あいえーなー、てーるー大賛成!やしがてー踊るならエイサーどぉ」
踊り始めるひーなー
「びっくり、踊りをするのは賛成だけど、踊るならエイサーだよ」
つられてかーなーも踊りだす。
「あはは、そっか沖縄だもんね、そー言えば沖縄に歌舞伎や能みたいな演劇はあるのかなぁ〜」
「文化の日にテレビでやるさー、あれよ〜組踊さー」
「組踊っていって、沖縄の歌舞劇だよ」
「へぇーそうなんだ、面白いの?」
「全て方言だから、慣れないと良くわからないかも、私でもちょっと分からない所多いよ」
「興味あるなぁ〜。うあ!!」
足を滑らせて、転んだ拍子に頭を打った。
「てーるぅ!!大丈夫!てーるう…、てー…」
喜屋武さんと比嘉さんが泣きそうな顔を照秋の顔を覗きこむ中、静かに意識は落ちていった…
沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる。 勝手に番外編
組踊 『二童敵討』
…
……
………
『出様ちやる物や、
屋良のあまんぎやな、
勝蓮のあまおへ。』
「我こそは10代目勝蓮城主 阿麻和利である。」
「天の雨や風が止もうとも…人の欲望が絶えないのがこの世の習わし」
「もはや首里城を滅ぼせば琉球は私のものだ、思い通りに振る舞いこの世よを暮らそう。」
「邪魔であった、護佐丸と言う家臣も首里城へ行き、嘘偽りをいい告げ口を言いって殺し、その子供達も根絶やしにした。」
「これで、気がかりなどはない。邪魔物もいない。吉き日を選び勝る日を選んで首里城を攻める戦いをしよう。那覇の戦いをしよう。」
「今月の二十日と三十日は吉日なので願掛けのために宴会をしよう、家来どもよ!宴会の準備だ!気がかりなどない!支障はない!我が天下はもうすぐだ!!」
…
……
………
『節々がなれば、
木草だいん知ゆり、
人に生れたうて、
我親知らぬ。』
(季節季節になると)
(木や草でも知っている)
(人間に生まれて)
(親を知らないでよいものであろうか)』
(てーるー!起きろー!)
サガリバナの匂いと、どこかで聞いた事がある声で照秋は目が覚めた。
「みー…夢?ん?恐い殿様が悪さをして宴会をするとか…?」
「っ…痛ってぇー。まさかあんな所で転ぶとは思わなかったな、喜屋武さん比嘉さん心配かけてごめ…」
「あれ!?、ここドコ?喜屋武さん?比嘉さん?どこにいったの?」
「またまた(笑)秋のドッキリショーかな?もー勘弁してよ〜。」
…
…
…
…
「ん?」
「マジ?ちょ!喜屋武さーん!比嘉さーん!やめてよー!」
泣きそうになってると後ろから声をかけられた。
「えー!イキガー!」
「はひぃ!」
びっくりして、振り向くと、そこに喜屋武さんと比嘉さんがいた。
「なーんだ、2人ともいるならいるって言ってよ〜。それにどうしたのその格好?」
「やーや!阿麻和利ヌシンカーなぁ!」
「え、なに?めっちゃ怒ってる??」
「えーっと比嘉さん、喜屋武さんなんて言ってるのかな?」
「…」
比嘉さんは答えてくれない。
「えー!どうしたの⁈ごめんよ、心配させて、でもそんな、怒らなくても」
「ぬーあびとーしが!たっくりさりんどー!」
「えー!!どうしよう!めっちゃ怒ってるけど、なんて言ってるかわからない〜!」
パニックになるてーるー。
(てーるー落ちついて、ゆっくり聞いたらわかるよ…)
頭の中で声がした。
「お前!阿麻和利の仲間かと聞いてるんだ!正直にいわないと痛い目にあうぞ!」
「え、あ、喜屋武さんの言葉がわかる!ち、ちがうよ。阿麻和利なんて知らないし。それにオレだよ?中村照秋!」
「お前みたいな奴は知らん!」
「…鶴松、行こう。この人は阿麻和利の仲間じゃないみたいだよ。」
今まで黙っていた比嘉さん?が口を開いた。
「亀千代がいうなら…。そこのお前!こんな所でなにをしている。ここは勝蓮城当主阿麻和利の領地だ、見つかったら殺されるぞ!」
「えっ?殺さ??ちょっとまって喜屋武さん、オレ目が覚めたらここにいて、そしたら喜屋武さん達に声かけられて、」
「なんだ、お前。こんな昼間から酔っ払っているのか?それとも気がおかしくなったか?」
「えー!わけわかんないよ!喜屋武さんどう言うこと?」
「えぇい!男がめそめそするな!それに私は喜屋武ではない、鶴松という名だ!」
「喜屋武さんじゃない…じゃ比嘉さんは??」
「あそこにいるのは亀千代、私の妹だ。」
「喜屋武さんだけど、喜屋武じゃない…。比嘉さんだけど、比嘉さんじゃない…。もしかして、今流行りのなろう系⁈オレ、転生したの?」
「なにをブツブツ言ってるんだ。我々は大事な用がある。見つからないように、早くくここから立ち去れ。さらばだ!」
「ちょっと、喜屋武〜じゃなくて鶴松さん、俺、自分でも分からないけど迷子なんだ。一緒に連れて行ってくれないかな?」
「断る!どこの馬のものか知らないヤツを一緒に連れていけるか!」
「えぇー!お願いします!俺、こんな所一人でいたら殺されるよー!」
「男が泣くな!みっともない!」
「鶴松、かわいそうだよ。この人ににも親がいるはず、私たちみたいに悲しい思いをさせたくない。」
「むうぅ、亀千代がそこまで言うなら仕方ない。お前、名前は?」
「あぁ〜ありがとう!鶴松さん、比嘉さんじゃなくて亀千代さん!俺は中村照秋です。よろしくお願いします。」
「照秋?ここらでは聞かないな…、まぁいい。てーるーいくぞ!」
「はい!ってどこに?」
「母の所だ!」
…
……
………
3人鶴松と亀千代の母の家に向かう道中。
「鶴松さん、さっき亀千代さんが私達みたいに悲し思いをさせたくないって言うのは…」
てーるーが何気なく口にした瞬間。
冷たくドス黒い雰囲気がながれた。
先程まで、優しかった鶴松の顔が一瞬鬼のような顔をした。
「…聞くな、その事は黙っていろ…」
「すみません…」
「もう少しで母の家だ、少し休憩しよう。てーるーと亀千代はここで待っててくれ、水を汲んでくる。」
鶴松は湧水へ向かった。
…
「てーるー、さっきは鶴松がごめんね。」
おとなしい亀千代が話しだした。
「私たちはこの地域の領主、阿麻和利に父と家族。親戚にいたるまで虐殺されたの。琉球王国を我が物にするため、家臣であった私達の父、護佐丸を王国に嘘をついて…」
「私たちは、赤子だったから国吉の比屋って人に情けをかけられ、母に育てられたの。今日は阿麻和利が宴会をすると聞いて、その隙を狙ってヤツに父の復讐を果たす。その事を母に報告にいくの」
「あの…復讐とか分からないけど。もしその阿麻和利って奴をやっつけても、二人がやられてしまったらどうするの?」
『親の敵とやり、
縦令死ぢ後も、
国ある迄や、
沙汰ど残る。』
(親の敵を討てば)
(たとえ二人が死んでも)
(国がある限り)
(名声は残る)
「亀千代!、まったく…話さなくてもいい!」
「ごめん、鶴松…」
…
…
…
「着いたぞ」
「母上、鶴松、亀千代ただ今戻りましたた。」
「おかえりなさい。鶴松、亀千代よく戻りました。そちらの殿方は?」
「はい!護佐丸の領地にて迷子になっていたので、こちらで保護しました。てーるー母上にご挨拶を!」
「はい!僕は中村照秋といいます。自分でも良くわかってないんですが迷子になってしまって…」
(めちゃめちゃ綺麗な人だ…)
「そうなんですね、なにかわかるまでここに居てもいいですよ。」
「はい、ありがとうございます!」
「それで…鶴松、この母になにか話があるのでしょう…」
『すだし母親も
聞きとめて迷子給うれ。
朝夕さも
寝ても忘れらぬ
親のかたき
今日列れて互に
討たんしゆもの。』
(敬愛する母親も)
(お聞きください)
(朝な夕な)
(寝ても忘れられない)
(親の敵仇を)
(今日こそ連れ立って)
(討とうて思う)
『親の敵とゆる
義理立てよやれば、
かなしふやかれも
すらななゆめ。』
(親の敵を討つ)
(義理立てのことならば)
(悲しい別れも)
(しなければならない)
「…わかりました。愛しい我が子を連れて私もいきたいけれど…女に生まれてきたことをこんなにも恨んだことはありません。」
「父、護佐丸が身につけていた、この守り刀をあなた達に託します。」
「いつかこんな日がくると思っていました。でも本当は渡したくなかった…。母の思いを胸に、決して油断してはいけませんよ。」
涙が頬を流れて落ちる。
「亀千代、親の敵討ちができるのは嬉しいことなのに、敬愛する母上とわかれるとおもうと…」
『このからがゆら、
また拝むことも、
けふの出立や
さだめぐれしや。』
(このまま、永遠の別れとなるのか)
(再びお目にかかることがあろうか)
(今日の別れは)
(予想がつかない)
…
「…ねぇ亀千代、母上の涙を忘れることなく、大事な敵討ちを今日こそ果たそう…」
静かな部屋に涙が溢れる。
「…母上泣かないでください…母上が泣いてていると、亀千代まで涙が止まりません…」
「あなた達がここを出るだけでこんなにも母は胸が苦しいのです…。本当なら行って欲しくありません…どうか無事で帰ってきてください。」
「私の大切な大変な子供達…母はあなた達を愛しています。」
「お母さん…」
緊張の糸が切れたかのように3人は声をあげて泣いた。
…
……
………
出発の時間
「母上、行ってまいります。」
「どうか無事で、それに照秋君も一緒に行ってくれるのですか?」
「はい、力になれるか分かりませんが…なにか僕にできる事があれば!」
「ありがとう、どうか二人をよろしくお願いします。」
そっと、てーるーを抱きしめた。
「こら!てーるー!母上から離れろ!切るぞ!」
「ずるい、私だって母上と抱っこしたいのに…」
母はにっこり笑うと、三人を抱きしめた。
「どうが無事で生きて帰ってきてください。これは母からのお願いです。」
一同
「はい!」
…
「それにしても、どうやって阿麻和利をやっつけようか…」
鶴松が考えだした。
「そうだ、亀千代、阿麻和利が宴会で浮かれている間に踊り子になって近づくのはどうだろう?」
「鶴松、それはいい考えだね。でもやましい心を持つと顔にでる。阿麻和利に見抜かされないように気をつけよう。」
「オレはどうしたらいいかな?」
割って入るてーるー。
「てーるーは舞踊はできる?」
「ソーラン節なら得意だよ!ソーラン、ソーラン!どっこいしょ!どっこいしょ!」
鶴松、亀千代
「ふざけてるなら帰って」
…
……
………
阿麻和利一行は、宴会を始ようとしていた。
「今日は波の音もしない、その吹く風も心地いい。宴だ!酒だ酒をもってこい!家来達よお前達も歌え騒げ!」
『散りて根にかへる
花も春くれば、
またも色まさる
ことの嬉しや』
(散って根の土に還る)
(花も春が来ると)
(また色美しく)
(咲くことが嬉しい)
…
「おぉ!あそこに可愛い女子達が二人して踊っておる。あの娘達を呼んてこい!」
「は!」
「そこの女子達、勝蓮の主、阿麻和利様がお呼びだ。殿の前で踊ってみせろ」
家来が二人の前にきて命令する。鶴松は答える。
「大変、恐縮ですが、私達は踊り子ではありません。春の陽気に誘われてて、花を見て遊んでいただけなんです。」
「娘ども、まだ若いのに。主君、阿麻和利さまの命令をきかないとに命を落とすぞ」
「命のためなら喜んで踊ります」
…
……
………
少し離れた所で二人の様子を伺うてーるー
「大丈夫かなぁ〜二人、心配だなぁ〜。」
「てーるーは万が一の時にこのドラを鳴らして、敵の注意を引きつけて!私たちはその隙に逃げるから」
「あ、二人が阿麻和利の前に行った。がんばれーバレるなよー」
…
……
………
「このような場にご招待頂いき、本当に嬉しいです。あの盟主と名高い阿麻和利様の前で踊りを披露できるとは感無量です。」
鶴松と亀千代は見事な踊りを披露した。
「おお!美しい!これを取らせよう!」
阿麻和利は手に持っていた扇子と羽織り家来に渡した。
「楽しいの!酒を飲もう!酒を注げ!」
「阿麻和利様、恐れ多いことですが、私にお酌させてください」
鶴松が阿麻和利に近づく
「おうおう、立派だ。美しいそなたが注ぐ酒までも香ばしい…普段はそんなに飲まない私だが、今日は楽しいな!さぁ!もっと酒をつげ!」
花の匂いに誘われ、お酒の量がすすむ。
家臣のもの達まで甘い香りに酔っていった。
「おい家臣よ、もっと娘達を踊らせよ」
…
『莟で居る花に
近づきゆるはべる
いつの夜の露に
咲ち吸ゆが。』
(莟んでいる花に)
(近づく蝶)
(いつの夜の露に)
(花をさかせて添うのか)
…
「美しい!実に美しい!この刀も取らそう!」
「もっと踊ってみせてくれ」
刀を受け取った鶴松と亀千代は心の中で叫んだ。
(やったぞ!刀を手放した…!)
「阿麻和利さまは、やっぱり名高い盟主様、背丈も容姿も素敵で一般の人とは違って立派な方です。ご一緒に踊りましょう」
「ほうほう、家臣のものよ席を外せ。」
「楽しいのー!、楽しいのー!」
…
…
…
阿麻和利が油断したその瞬間!
鶴松が叫ぶ!
「阿麻和利!覚悟!貴様が殺した護佐丸の子どもだ!」
「貴様ら!騙したな!卑怯な!えぇぇい!誰かおらぬか!護佐丸の子どもを殺せ!」
鶴亀が呆れるた言葉で
「卑怯?どの口が言う!貴様はここで終わりだ!!」
鶴松と亀千代が阿麻和利に斬りかかる!
「こんな小娘どもにやられてたまるか!こね阿麻和利をなめるなよ!」
二人の刀をかわし、走りだした!
「逃げるな!阿麻和利!亀千代追うよ!」
「鶴松、気をつけて!アイツの事だからなにかあるよ!」
暗くなった宴会場に罵声が響く!
「賊だ!護佐丸の小娘どもが襲ってきた、殺せ!!ちくしょう!あの時に根絶やしにしたはずなのに!」
阿麻和利を追う二人
「どこへ行った…阿麻和利…」
「家臣は酔っ払いって寝てるからすぐには来ないはず…」
…
「ふふふ、詰めが甘いのは父親譲りだな、これで父親の所へ行かせてる」
阿麻和利が離れた崖の上から二人を弓で狙う。
それに気がついたてーるー
「やばい!やばい!やばい!二人が狙われてる!二人に知らせないと!」
(てーるー落ちついて、私が阿麻和利の気を惹きつけるから、ドラを鳴らしてあの娘達に知らせて)
「(みーこさん⁈)」
「うぉー!!鶴亀!亀千代!阿麻和利は崖の上だー!狙われてるぞーー!!!」
力いっぱいドラを鳴らした!
鶴亀、亀千代が目を合わせる!
「亀千代!」
「うん!」
なにかを感じたように崖にむかう!!
阿麻和利が弓を引く
「今更、遅いわ…死ねえ!」
くっ⁉︎
阿麻和利の顔になにかがかかる。
「ええぃ!なんだ?ええいわずらしい!邪魔だ!」
振り払った手には金色の髪がついていた。
「くそぅ!どいつもこいつもワシの邪魔をしよって!」
「ワシはこの琉球の王になる男だ!こんな所で終わるものではない!」
鶴亀と亀千代が阿麻和利を追い詰める!!
「覚悟!阿麻和利!父のカタキだ!」
二人が阿麻和利に斬りかかる!!
「なめて腐れるな!小娘が!刀がなくとも捻り潰してやる!!」
二人の斬撃それを避けた瞬間!
阿麻和利の足が滑り、崖から落ちる!!
…
「な、に…」
…
「こんな所で、こんな所で!こんな所で!!ワシは!琉球を統べるものだぞ!」
「ちくしょぉおおー!!ふざけるなーあぁぁぁぁぁぁ………!!」
…
……
………
「終わった…。亀千代、終わったよ…。」
「鶴松…夢の中でもみた父の敵討ち…夢じゃないよね。」
『かたき討ちとたる
けふの嬉しさや
過し父親も
知ゆらと思ば。
やあ亀千代、
刀や鞘に納め、
踊て戻らうや。』
(仇を討ちとった)
(今日の嬉しさを)
(亡き父親も)
(きっと知ることでしょう)
(ねえ、亀千代)
(刀は鞘に納め)
(踊って帰ろう)
…
「鶴松…帰ろう!母上の元に!」
「てーるーも一緒に!」
二人がてーるーの元に駆け寄る。
鶴亀がてーるーに抱きつく
「ありがとう。てーるー、命の恩人だよ。てーるーがドラで知らせてくれなかったら…私たち…」
涙する亀千代
「本当にありがとう。てーるーのおかげて父の敵討ちをできたよ。」
「そんな…オレは全然、ただオロオロしてただけで…そう言えば、髪が金色の女の子みなかった?その人に声かけてもらったから…」
不思議顔の二人
「そんな人はいなかったよ?てーるー大丈夫?」
「うん…(助けてもらったんだ…)」
「追ってが来る前に帰ろう!」
突然、てーるーの身体が光だした!
「てーるー体が光ってる!大丈夫?」
「多分大丈夫!心配しないで!元の世界に帰るんだと思う!」
鶴亀が泣き出す
「てーるー、行っちゃうのか?せっかく友達になれると思ったのに…」
顔が涙でぐちゃぐちゃになった亀千代
「てーるーありがとう。本当にありがとう。一生忘れないから…またどこかで会えるの信じてる…。」
「うん、ありがとう。鶴亀、亀千代、またどこかで会えるよ!お母さんにもよろしくね。身体に気をつけて!」
また会お…う…
…
「行っちゃったね…」
「私たちも帰ろう、お母さんの所へ!」
…
……
………
「てー…るー…てー…るー。てーるー!」
「てーるー!」
はっ!っと目が覚めた!てーるー、目の前には喜屋武さんと比嘉さん。
「あ!鶴亀!亀千代!」
キョトンとする喜屋武さんと比嘉さん
「鶴松?てーるー大丈夫?」
「あ、喜屋武さん、それに比嘉さん。帰ってきたんだ…」
「転んで頭打って、意識なくしたから。心配で、今、救急車を呼んだ所だよ」
泣きそうになってる比嘉さん。
「本当に大丈夫だから。どのくらい、気をつ失ってた?」
「2分ぐらいかな…」
「めっちゃ長い2分だった(笑)」
???な二人
「ううん、大丈夫。それより文化祭の公演、いいのを思いついたんだ。父親の敵討ちをする二人の話」
「てーるー、それって二童敵討って言う沖縄では有名な組踊の演舞だよ」
「えぇーーー!!本当にあったお話なの⁈」
「あい、てーるー、また転んでチブルーガッパイするよー!」
「てーるー、また転んで頭打つよーってよー!」
『けふのほこやしやゞ
なをにぎやな譬てる、
莟で居る花の
露きやたごと。』
今日の喜びは
何にたとえることができましょう。
それはまるで花のつぼみが朝露をうけて、
パッと花開くような心のようです。
終わり。
長文、お読みいただきありがとうございました。
沖縄の組踊、『二童敵討』を沖ツラ番外編でアレンジしたものです。
YouTubeでも本家がみれるので、興味がある方はご覧になってみてください。
参考資料
9時間かかりました(笑)
楽しかったです。
ありがとうございました😊
いつの日か漫画にしてもらえる日を楽しみにしてます。
映画化もできたらいいなぁ〜(笑)
絵師さん、漫画にしてもらえませんか〜?