第3回カレリア語【リッヴィ方言】 独学記録 - 人称代名詞・指示代名詞とolla動詞
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カレリア語のうち、リッヴィ方言(オロネツ方言)を学ぶページです。
方言分類に関してはこちらの記事をご参照ください。
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PERSOONAPRONOMINIT/人称代名詞
カレリア語リッヴィ方言の人称代名詞は以下の通り。
ここに挙げた人称代名詞の形は「主格」と呼ばれ、辞書の見出し語になる基本的な形です。そのままの形で文の主語として使うこともできます。
フィンランド語、カレリア語ヴィエナ方言と同じく、3人称には男女の区別はありません。
DEMONSTRATIIVIPRONOMINIT/指示代名詞
指示代名詞と呼ぶものは、日本語の「これ、あれ、それ」にほぼ一致します。指示代名詞は単独で使われる以外に、名詞の前について「この、あの、その」という意味で形容詞的に使うこともできます。
tämä kaži (この猫)
tai kirju (あの本)
se kirikkö / neče kirikkö (その教会)
リッヴィ方言では、「それ」に相当する語が2つあり、どちらも良く使います。
OLLA-VERVIN TAIVUTUS/olla動詞の人称変化
olla動詞は、英語でいうbe動詞のようなもので、「~です;~いる, ある」という意味を持ちます。
ollaは不定詞と呼ばれる形で、辞書に掲載される形でもあるので辞書形とも呼ばれます。
カレリア語では、動詞が主語によって6つの形に変化します。
人称代名詞、指示代名詞に呼応する動詞ollaの変化は以下の通りです。
「主語に応じて動詞の形が異なる」ということは「動詞を見れば主語が判別できる」ことにもなるので、1人称と2人称の主語(mie, šie, myö, työ)は省略することが可能です(3人称は省略不可)。
変化の仕方には規則がありますが、ollaに関しては不規則なところもあるのでそのまま覚えてしまった方がよいでしょう。
これで「私は~です」「これは~です」という「A=B」を示す表現が出来るようになりました。
例文
Minä olen Mikko. 私はミッコです。
Minä olen karjalaine. 私はカレリア人です。
Sinä olet Emma. あなたはエンマです。
Sinä olet naine. あなたは女性です。
Häi on Heikki. 彼はヘイッキです。
Häi on mies. 彼は男性です。
Myö olemma Karjalas. 私たちはカレリアにいます。
Työ oletta Ven'al. あなたたちはロシアにいます。
Hyö ollah Suomes. 彼らはフィンランドにいます。
Tämä on kirju. これは本です。
Tai on piirdin. あれはペンです。
Se on sumku. / Neče on sumku. それはカバンです。
応用
- Terveh! Minä olen Anni. Olen karjalaine. Ken sinä olet?
- Minä olen Heikki. Olen suomelaine.
[日本語訳]
- こんにちは!私はアンニです。私はカレリア人です。あなたは誰ですか?
- 私はヘイッキです。私はフィンランド人です。
Minä olen Hanako. Olen japounielaine. Olen naine.
Olen nygöi Japounies. Olen sekretari.
[日本語訳]
私は花子です。私は日本人です。私は女性です。
私は今日本にいます。私は秘書です。
学習後のつぶやき
リッヴィ方言の文法も進めていく、といつぞや書いておきながら放置状態でした。リッヴィ方言でのこされた民話ももっと読みたいですし、今度こそ進めていくことをここに誓います。
といっても文法説明の文章は、ヴィエナ方言と大体同じです(コピペの場合もあり)。音韻変化や語彙に違いはあれど、文法事項としては同じカレリア語、ほとんど同じですからね。
とはいえ、「フィンランド語≒カレリア語」と思いこんで大きな勘違いをすることが幾度かあったので、方言による差も慎重に見ていきたいと思います。