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[カレリア民話]糸車のお話(KUOŠALISTARINA)

糸車のお話

昔、おじいさんとおばあさんがいました。彼らには3人の娘がいました。おじいさんは薪を切りに行きました。一番年上の娘が糸車を作るようにお願いしました。おじいさんは作りました。森にクマがやって来て、おじいさんに言いました。
- 娘を俺様に渡さないなら、馬を食ってやる。

 おじいさんは約束しました。おじいさんは娘に取りに来させるために、糸車を薪を積んだ山の上にのこしました。おじいさんが森から帰ると、娘が尋ねました。
- どうして糸車を持って来なかったの?
おじいさんは言いました。
- 森に忘れてしまったんだよ。

 翌朝、おじいさんは(森に)出かけました。真ん中の娘が、洗濯板を作るようにお願いしました。ふたたびクマがやって来ました。クマは馬を食べてしまうと言ったので、おじいさんはまたしても娘をやると約束しました。おじいさんは(洗濯板を森に)のこしていきました。娘が洗濯板のことを尋ねました。
- 森に忘れてしまったんだよ。

3日目の朝、おじいさんは出かけました。一番年下の娘が(パンを焼くときの)めん棒を作るようにお願いしました。ふたたびクマがやって来ました。クマが馬を食べてしまうと言ったので、おじいさんはまたしても娘をやると約束しました。おじいさんは、明日になったら3人ともやって来るので、そしたら連れていけ、と言いました。おじいさんは、娘たちを(森に)連れていくつもりです。(おじいさんが)馬にソリをつけている間に、おばあさんが娘たちの代わりに丸太をソリに置きました。

 おじいさんは(森に)出発しました。おばあさんは、家の屋根に上がりました。娘たちは貯蔵用の穴に座っていました。おじいさんは言いました。
- ソリに何が乗っているか確認する必要があるな。
おばあさんは叫びました。
- 私は上にいて、下のものをすべて見ていますよ!

 そのため、おじいさんは(ソリの中を)見ずに、先へと進んで行きました。ふたたび、(ソリを)確認しようとしましたが、おばあさんがまたしても同じように叫びました。そのため、おじいさんは確認しませんでした。クマがおじいさんを待っていました。ソリをはずし始めるとすぐに、彼らはソリが丸太でいっぱいなことに気づきました。クマはおじいさんから馬を(取り上げ)食べてしまいました。おじいさんが薪を積んだ山へ向かう間に、おばあさんは屋根に臼を置きました。怒っていたおじいさんは、おばあさんが屋根の上にいるのを見ると、屋根に上がろうとしました。地面に落ちてきた臼が耳にあたり、後を追うようにおじいさんも落ちて、死んでしまいました。
 娘たちは(無事に)残り、おばあさんと暮らしました。

単語

kuošali [名] 糸車
halko [名] 薪
käskie [動] 頼む, 命じる
luatie [動] 作る,働く
pino [名] (積み上げられた)薪の山
tiijustua [動] 尋ねる
mintäh [疑] なぜ
lauta [名] 板
pešulauta [名] 洗濯板
piiruanpualikka [名] (練り粉をのばす)めん棒
val'l'astua [動] 馬具をつける, ソリをつける
pölkky [名] 丸太
karsina [名] 地下,(貯蔵用の)穴蔵
karjuo [動] 叫ぶ, 大声を出す
ylähänä [副] 上に, 上方で
alahuata [副] 下から, 下方で
nähä [動] 見る
šuorita [動] ~しようとする
purkua [動] 取り壊す, はずす, 支度をする
čurkka [名] (木などの)切れ端
šini [副] ~する時までは、~しないうちは
suorittua [動] 果たす, 実行する, 着せる,見に着ける
huuhmar/huhmar [名] 臼
siäntyö [動] 怒る
šuomaltoa [動] 打ちつける
korva [名] 耳
jälkeh [副] (~の)すぐ後を追って、続いて

出典

所蔵:ロシア科学アカデミー カレリア学術研究所(KarRC RAS)
採取地:ロウヒ地区のカルカヤルヴィ(ボヤルスカヤ)
採取年:1957年
AT 311

類似話はフィンランド、ロシア、他北欧でも見られます。クマではなく、その地の妖怪(カレリアやフィンランドではヒーシ)の場合もあります。

日本語出版物

確かいくつか類似話があったと思うので、確認後、再度更新します。

>> KARJALAN RAHVAHAN SUARNAT(カレリア民話)- もくじ

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