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クソゲーオブザイヤーはなぜ廃れたか?

 かつて、クソゲーオブザイヤーっていうイベントが存在していました。2chで行われていて、昔は結構な人気を誇っていました。「ジャンライン」「プロゴルファー猿」「メジャーWii」「四八(仮)」など、聞いたことある人もいるんじゃないでしょうか。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm25252930

 ニコニコ動画では、190万再生されている事を見てもわかると思います。

 このクソゲーオブザイヤーは、「コンテンツの一生」というコピペの通りの運命を辿って、少し前になくなりました。

・面白い人が面白いことをする
面白いから凡人が集まってくる
住み着いた凡人が居場所を守るために主張し始める
面白い人が見切りをつけて居なくなる
残った凡人が面白くないことをする
面白くないので皆居なくなる

コミュニティの一生

 Automatonの記事はこちら。ブロガーの人が、結構詳細を語っています。まあ、その内容も、コンテンツの一生と同じようなことが書かれていると思います。
「人が減った」ことを衰退・終了の理由としていますが、なんで人が減ったのか、ということにはあまり語られていない。もちろんいつか人は減るものだし、2chなんて著しく人が減っているから、そういう評価になるのも仕方ない。

・最初は2chの内輪ノリの、悪趣味なイベントだった
→面白い人が面白いことをする
・人気になって、人が集まってくるようになった
→面白いから凡人が集まってくる
・揉めるので、ルールが制定されるようになった。選評を何文字以上書かなければいけないなどがそれ
→住み着いた凡人が居場所を守るために主張し始める
・面倒で参加者が減る
→面白い人が見切りをつけて居なくなる
・惰性で続く
→残った凡人が面白くないことをする

 まあ流れとしてはこういう感じではあるけれど。
 あまり語られていない、決定的な衰退の理由となった年と作品があって、それが語られないのもどうかな、と思いましたので、今書こうと思う。
 衰退した本当の原因は、「党派性」である。
 それは、2012年に出た「シェルノサージュ」というゲームである。
 オフィシャルサイトと、Wikipediaを貼っておくか。

 このゲームは、バグが多く、オンラインゲームでもあったため、ゲームが進まないとか、本来アップデートで更新されていく予定が、バグのおかげでロードマップが大幅に変更になったとか、いろんな伝説がある。CEDECでは、「While文は無限ループなどバグの温床になるので使わないようにしましょう」などといった講演がなされた、恐ろしいことだ(そのレベルが)。
 先述のWikiを見ても(携帯版の方も)わかるが、2012年もまあまあのレベルのクソゲーが出ていたので、あまり今は語られなくなっているが。本当に、シェルノサージュスレは盛り上がっていたのだ。連日連夜、バグの報告が上がり、遊べないという怨嗟の声で埋め尽くされていた。それに、発売前から結構大々的に広告を打っていたので、そのギャップもすごかった。例年の水準で言えば、間違いなく大賞のレベルだったはずだった。

 しかし、実際にはKOTYに選ばれることはなかった。いや、KOTYのスレにも何度もシェルノサージュを挙げる書き込みはあったのだ。しかしそれは潰されることになった。原文を言うのは憚られる内容なので、柔らかい表現にすると、「プレイステーションのゲームを大賞にするな」という強い声があったのだ。ご存知の人も多いだろうが、プレイステーション(ソニー)と任天堂はライバル関係にあり、ファン層が少し違っているということもある。プレイステーション派の人が、「シェルノサージュに投稿するやつは任天堂派であり、プレイステーションを貶めようとしている。だから無効だ」という論理をかざし始めた。それが事実かどうかは知らん。所詮匿名掲示板の話だ。追ったところでどうにもならない。
 結局、その声が通って、シェルノサージュは大賞どころか、次点などにも挙げられることはなかった。

 これ以後、KOTYのスレは萎縮していくことになる。プレイステーションのゲームを挙げることがあからさまに減っていったし、挙げられても叩かれることが多くなった。それと、バグの扱いが少し変わった。バグさえなければ面白いのだからKOTYには適さない、という声も上がるようになった。だから、気の抜けたような内容になっていった。強烈なバグで遊べないとか、そういうのは省かれるようになった。また、大々的に売り出しておきながらガッカリゲーだった、というものにも投票されなくなった。結局どうなったかというと、誰もしらないような、本当に無味無臭のゲームが大賞や次点に選ばれることになった。この受賞リストを見てもわかるだろう。

 そうなると、誰も知らないゲームが挙がるのだから、必然的にKOTY自体の注目度も下がることになる。内輪の盛り上がりに対して、党派性で統制をかけてくるやつが現れた結果、まともな言論など無くなっていった。だから衰退した。

 もちろんゲームメディア(先述のAutomatonなど)でこんな内容が語られるわけはない。でも、実際はこんな話なのだ。

 ところで、Wikiを見ると、2024年は開催されるようなのだ。2023年の休止を経て。スレを追っているわけではないので、現状をよく知らないが、今年ってそんなに有名なクソゲーって出ていない印象がある。

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榛名/haruna
堕落する準備はOK?