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風邪ひいたとき思い出す

パンパンのレジ袋

 もう2年も前の春のこと。風邪をひいて寝込んでたとき、「今玄関開けれる?」ってLINEの通知で目が覚めた。少し怠いなぁと思いつつ玄関のドアを開けると、パンパンのレジ袋を渡された。「何これ?」「好きそうなやつ。お見舞い。」不愛想で口下手な元彼がくれた袋の中身は、私の好きな物でいっぱいだった。
 とても嬉しかったのに、なぜか不安になった。私は元彼の好きな物をそんなにたくさん知らなかった。不愛想で口下手だったから、そんなに思ってくれてることすら知らなかった。私ばっかり好きだと思ってたのに、実際は同じだけの好きを返せていないのかもしれないと思った。

追われるより追いたい?

 GWが終わって、程なくして元彼と別れた。なんで別れたのかを聞かれても、未だにうまく答えられない。私の尺度ではちゃんと好きだったから。
 最近になって思うのは、恋愛において自分がいかにガキンチョかってことだ。大人になるにつれ、結婚を意識するにつれ、人は安定を求める。一方で私は、安定を退屈に感じてしまうらしい。追われる恋の方が女は幸せと言うけれど、いつまでも恋焦がれていたいのだ。きっと、みんなもつまらない単調な恋物語より、刺激的な愛憎劇の方が聴いてて面白いに決まってる。
 退屈のない日々をくれる誰かに出会うまで、今はひたすら追いかけて傷付いて立ち上がっては歌にする。明日死ぬかもわからない毎日に安定なんていらないからね!


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