これを青春と呼ぶならば

2025年1月17日 22:28

真夜中のランプを聴いたあと　ピエロの店
午前2時細い階段を登ってく　さっちゃんの隠れ家
一輪車という白い壁のスナックで　
ブラッディマリー　どっちが早く飲み切るか
なんて遊び　知らないおじさんと
そして3階の店に移動して太っ腹なママと　
呑みなおす　

川のほとりの階段で　一緒に街を出ようと口説いた
あの子とふたり　風もない夕暮れに水の音
空に投げた小石を流れる水に託して
ふたりで苦笑いしてたね
ここにいてもなんもないけどさ、なんて言って
あまりに無力なわたしたちだった

一人で走って　走って　強くなりたくて　　
放課後の校舎　毎日毎日　
下校するみんなすり抜けてく
負けたのが悔しかった　試合じゃない
一対一の勝負　止められなかったから
ほぼ真正面　ぶつかって　倒れたのはわたし
走り抜けたのは相手　悔しかったんだすごく

そして誰もいなくなったと　泣いた夜も
何度も裏切りを感じた日々も　終わるんだね
今思えばどうってことない　何にでも理由がある　
すべて許せる時は来る　時間がそうさせてくれる

郊外の小さな駅　スナックはビルの2階
マスターとママと静かな時間
忘れないよ　何も起こらない時間だって人生の一部　

暗いトンネル　急カーブをスピード通過
トラックの助手席　流れるライトなぞる
俺と一緒に新潟まで行かないか　聞こえないふり

コンビニカウンター　お弁当と缶コーヒー
いつもだいたい同じお客さん　おはようっす
入ってくる前からガラス越しに見える白衣
毎日煙草を2カートン　かっこいいねお姉さん
金髪のあの子は　午後のミルクティーしか飲まない

似合わない制服　駅から離れたファミレス
「ようこそアイホップへ」　
パフェの生クリーム　ホイップガン放つよ

真夜中の音楽スタジオ　
ライブ終わりに楽器置かせてもらって
お兄ちゃんに教わる太鼓　左利きのまま
ボーカルのJOEはいつも知らぬ間に消える

細い階段を降りて　カウンターの定位置につく
ボランティアじゃねんだよ　ゴミ箱差し出して
失神して泡を吹くお嬢　わーこりゃ起きないね

はい喜んで！　え？足首離してよ、ねえ
注文通せないよ、ねえ　酔いどれ動物園

無言でもいいけど一応いらっしゃい
延滞料溜まってるけどまぁ電話でないよね

久しぶりの大学　何しに来たの？　
同じクラスのロン毛の男　坂の途中
友達に会いに… 相変わらずだな　じゃあな

駅ビルのアパレル　正月はニットひたすらたたむ
店長と2人　気が合うね　1日8枚切4枚だって

マルボロライトの女　名前知ってる？
赤はベース　金はドラム　よろしくね

教授は変態プレイで　家はお取り込み中
卒論はビートジェネレーション　駆け回る古本屋

卒業式は日本酒の試飲会
プラスチックお猪口持って記念写真

何も持っていないからこそ見えた世界　　
チグハグで　滑稽だね　幸せってさ

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