知らない町で過ごすクリスマス・イブ
時間が経つのは本当に早いもので、今年も両手で数えられるくらいしか
残っていないことに唖然とする。一年間、色々と嬉しいことも楽しいことも、辛いこともあった。やり残したことも沢山あるけれど、年末に近付く度に何かワクワクする気持ちが止まらないのは何故だろうか?
そんなことを毎年考えながら、過ごしやっと最近になって分かったのがクリスマスと大晦日から正月三が日に掛けてのイベントが連続し、街はお祭りムードに満たされるから、寒さとか物悲しさよりも名状しがたいワクワク感の方が競り勝つこと。
クリスマスにかけて街では至る所でイルミネーションが光り輝き、赤や緑の装飾が目を引く。サンタさんを信じていた時期は等に過ぎ、恋人の季節とも縁遠い生活をしているが、それでも街の賑わいはなんとなく心を温める。
休日の巡りが幸いしたあるクリスマスイブの日、私は地元から離れた知らない街に降り立っていた。駅前にはツリーやらなにかのオブジェクトがキラキラと眩いばかりにイルミネーションで照らされている。そしてカメラでこの一瞬を切り取らんとする若者たちの集団の嬌声。誰も知っている人は居ないし、地図で表示された地名くらいしか知らない街で一人佇む私は周りから見れば寂しそうな旅人なのかもしれない。それでも私の胸はどこか満たされた気持ちでいっぱいだった。沢山の人の楽しく幸せな気持ちで街が満たされているような気がしたから、そして普段の生活では逃れられない色々なしがらみから離れて、純真な心でその幸せに飛び込むことが出来そうだったから。
駅前のコンビニで小さなチキンを買い、街の灯を見ながら一人で齧りつく。そんなお一人様の小さな幸せを見つけたクリスマス・イブ。
今年のクリスマス・イブは幸い、あのときと同じく休日。
いつもとは違う場所で、ハレの日を楽しめたらと思いながら地図と時刻表を見つめている冬至の夜である。