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友達。

あれは高校1年の頃だ。
彼女は後ろの席だった。長いおさげ髪の明るく元気な子。違うグループに所属していた。彼女は私が愛読している小説の話をしていた。私は振り向き、話に入った。それがきっかけだったのだろう。

2年になりクラス替えをした。同じクラスから上がってきた女子は、私と彼女だけだった。3年はクラス替えがなかったのでまた一緒だった。

昼ごはんは別々で食べていたが、彼女は食事が済むと私を呼びに来た。私たちは図書室に行き、ベルサイユのばらを読んだ。
委員会を一緒にやった。2年は図書委員、3年は文化委員だっただろうか。
彼女は心臓が弱かった。心音に雑音があるそうだ。救心を飲んでいると言っていた。なのにマラソンは早かった。最初は、2人で並んで話しながら走っているのだが、すぐに私は疲れて会話もできなくなり、走りも遅くなり、彼女は私を置いてぐんぐん、ぐんぐん、前を行く。

学校で散々話しているのに、夕方に電話をかけてくることがあった。また2人で話し続けた。彼女の家にお泊りもした。ハンバーグを作った。自分と同じ母子家庭だった。彼女は声優や俳優を目指していた。幼稚園教諭資格を取るため進学した。

あの頃も、今日に至るまで、私は自分のことしか考えていなかった。一人でいたくないから。話し相手が欲しいから。2人しかいないクラスだったから、彼女は私を利用してくれた。私もそれを受け入れた。そんな関係だったのではないか。彼女は今どうしているだろう。

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