知っていると、聴こえてくる。
家で仕事をするようになって、1年になる。
いつか自宅で仕事するようになったら、と夢想したとき(それは独立して働くという設定での空想だったが)コーヒーメーカーを購入し、作業中の音楽を自分だけの気分で替えられることに少なからず喜びを感じた。
コーヒーメーカーはまだ買っていない(午後3時にハンドドリップするだけで足りる事と、ドリッパーを洗うだけの手軽さが良かった)が、音楽はradikoやSpotifyとともにPodcastをジクザク縫うように聴くようになった。自宅で仕事する人が増えて、音声コンテンツが豊富になってたので、同意してくれる人も多いと思う。
仕事しながらだと「しっかり聴いていない事が結構多い」ので、Podcastでの会話を流していると同じ部屋でなにやら話している人が居るよね、といった感覚に近くなる。カフェの隣の席での会話の単語だけが飛び込んでくる、程度のやつだ。それはそれで、意外とやりやすかったのだが。
先月、本屋B&Bのイベントで佐久間祐美子さんと斎藤幸平がお話しされているのを見て(2時間くらいか)本を読んだ後に、Podcast(Spotify経由)のマイリストに佐久間さんの番組が入っている事に気がついた。
聴いたことあったのに、聴けていなかったんだなぁ。この佐久間さんは、あの佐久間さんだったのか。
で、改めて聞き直してみると、一度とはいえそこそこの時間イベント映像を見ていたせいもあって、Podcastの会話が「単語」から「言葉」になっていく。佐久間さんの背後にセカンドハウスから見える林が見える気がする。
Podcastは、プロの喋り手がプロの機材で録って編集したものから、そうでないものまで幅が広い。「そうでないもの」の、ましてやバックボーンを知らない人の話は聞きにくい。でも顔を知っていると、喋っている姿を見る経験をすると、声だけの情報に自動的に肉付けをしてしまう。Podcastの番組がもっと面白くなってくる。実際「こんにちは未来」は本とも連動しているので、より面白い。
Podcastにも番組によってはトレーラーが用意されていて、雰囲気をつかめるようになっているけれど、収録風景も見えたらいいのかなと思う。動画がベストだけれどそれでは作成側の敷居が高くなってしまうので、収録している場所の画像とか。本棚とか。手元とか。ほんの少しのパーソナル。それはきっとTwitterではなくて、画像/映像が良いだろう。
まあ、バックグラウンドを知らずに(調べないままに)聴くと、後でびっくりすることがあってそれはそれで面白いかもしれない。
いんよう! も良く聴く番組。医学や科学やアニメといった専門領域の話題が中心なので、すべてに疎いワタシには彼らの発言たちは「単語」として空中をさ迷いつつ、その熱量で「言葉」になっていく感じがして面白い。(まちカドかがく発売おめでとうございます。買うよ!)