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Nikon Df/D4という魔物

そもそももう使ってないという人が多いNikon Df。発売日は2013年11月28日です。10年以上前のカメラですが、レフ機が使えるのもあと数年だろうなと思って、特に血眼になって探してもなかったのですがシャッター回数極小ほぼ新品という出物がでていて、購入したのが2~3年前です。昔憧れてた機種というだけで購入してしまいました。

この時代のNikonは黄色に映るという話は聞いていたのですが、僕の印象としては全部ビビットに映る(RAW時点で)という印象でした。確かに他のカメラに比べると色が違うのですが、JPGで見るとかなり自然に見えます。

問題なのがRAWファイル。

カメラが書き出すJPGは問題ないのですが、RAWファイルの色味が僕の中では非常にコントロールしにくいものでした。

具体的には、特に緑と黄が強く出すぎてホワイトバランスをどうこう、彩度を少し落としてってこ小細工ではどうにもならないような不思議な色味なんですよね。色んなカメラを触ってきましたが、ここまで現像しにくいカメラはDfが初めてです。

で、まぁバカなんですが悔しくて同じセンサーのD4を購入して今に至ります。

ポートレート撮影を何度も被写体さんにお願いして、あれも違うこれも違うで試行錯誤してきました。あるときは、同じ悩みの人がいないかなーと探してみるも、もう10年たったカメラを誰も現像の色味レベルで悩んでる人もいるわけもないわけです。

またある時は、#nikondfでInstagramで検索して他の人の写真を見てみたりもしましたが、本音でこの写真の色味好きだなーと思うことが一度もなく。どちらかといえば撮って出しで使っている人が多くいるような状態。

とはいえ、ポートレートは一人で作るものではないので被写体さんが当たり前にいます。その被写体さんに対して変な写真を送りつけるわけにもいかず必要最低限以上のクオリティは必須。そこで導き出されたのが。

極端に写真を壊す。

RAW現像はIT畑の自分としては、撮った時点のRAWファイルが100で現像をするとデータとしては+になることはないという認識です。そういう意味での壊すなんですが、壊していた時代のものが以下。

粒子多め

個人的にはフィルムライクが好きなので、この写真も見返せばいいやんという気持ちもなくはないですが、繊細とはほど遠い写真であることは違いない。感覚的には、壊してしまって粗をわからなくさせようとしたアプローチです。

次のアプローチが、ホワイトバランスが暴れがちなDfはもう部屋撮影専門の機器にしてしまおうかという考えで、先の壊す方向ではなく自分の好きな要素を表現可能な限りしてみようという。あくまで写真を現像してたら普通の考えです。

もっと粒子多め

この写真幸いにも好きだと言ってくださる方が結構いて、ここから最近ぐらいまでは、もうこれでいいかなー。。。と思っていました。現像して感じるのは、「DfやD4は黒の出し方はかなり良い、ハイライトは弱く中間層も強くないし変な色が乗っている」です。じゃぁ黒は、そのまま活かして中間層は変な色の逆を探して乗せる、ハイライトは殺すかある程度無視と割り切ったのが上の現像です。富士フィルムのシャドウに無駄に青が乗ってるのを補正したりするあの感じです。

ここまでの2つに共通するのは、クリアなトーンではないということですかね。

嫌いじゃないですし、自分の好きが一応表現できている写真にはなっているのです。ということで自分を長時間騙して撮影してきてました。

その期間中にフィルムをまた撮ってみたり、メインカメラ(GFX)で撮影をしたりで、騙しつつ出番をあえて無くしてたDfというカメラ。でも、最近になってふと思ったんですよね。

これ売っちまおう。

でもね、やっぱり勿体ないおばけというか、今まで現像を人一倍考えてやってきて、どうしても納得できないと次の日からちょこちょこ過去の写真を再現像して行く日々が続きました。

Lightroomでやってみたり、Capture oneでやってみたり、オープンソース、Luminarといろいろ試した結果は全敗。どうしても特に中間層が自分の中で納得いくできにならない。そしてまた、寝かしてる日々が続いていきました。

2024年10月に入って転機が訪れました。Capture oneに「ルックの再現」というリファレンス画像を用意すれば他の写真から色味やある程度の質感をパクってこれるという悪魔的な機能。これがあれば、好きなあの写真家さんの色パクってこれる。AIぱない。

これは使うっきゃない!ということで。

まずは自分のフィルム写真をリファレンスに!

駄目!ぜんぜん違う!

次は、好きな写真家さんのあの写真!

No!マンマミーヤ!

であれば、多少寄せてから適用すれば!

クソが!

という期待して使ってみたんですが、Dfだけうまくいかないという事件。他カメラのRAWファイルは50%ぐらいは再現するんですが、Dfは20%も再現しない。途中で、新しいレイヤーを作るにしてもともと調整したものをルックを再現を実行することで、より精度が上がると気づいてもまだ全然だめでした。

もうこうなったら、売るか死ぬまで現像するかの2択です。

ここまでやったことでいうと
・有名なプリセットを購入、当てる
→ゴミ色になる、破綻する
・Capture oneのスマート調整
→めっちゃいい機能だけど、目的と違う
・OPFフィルターなどでもともとのRAWの色味を変える
→ちょっと効果ありだったけど納得できない
・室内専用にする
→あり
・ルックの再現に頼る
→Dfは色味において無敵 No!

しいていうならDfを使っている人のプリセットを購入できるとほぼトレースできるので一番いいんですが、10年前のカメラのプリセットなんて販売されているわけもなく・・・

じゃぁもう仕方ないということで「死ぬまで現像する」を脳死で選んで毎日ちょっとづつコツコツ現像していたわけです。個人的な見解ですが、LightroomのエンジンとDfのRAWは相性は良くないと感じたので、C1でコツコツです。

あ、僕の最終ゴールはプリセット化です。プリセットなんて状況が違えば使えないなんて話もありますが、僕の考えでは「環境光が入った場合は使いにくい」というだけで、フィルムもそうですがそもそも基準の色が環境に作用されるのなんて当たり前なんで、90点いつでもでますよというものが作れたらOKなんです。

そいで、苦節数年やっとのことで、満足のいく成果が出たのが以下の写真。

いい笑顔

グダグダやってたんですが、一番キーになったのは「Capture oneのスマート調整」でした。すでに試してホワイトバランスをあわせるときにしか使えないなこの子と思ってたんですが、自分のGFXの写真をリファレンスにしてそこから開拓していきました。ぶっちゃけホワイトバランスを色味の修正ではなく調整に使うことは好きではないんですけど、うまくいったからしかたないね。

Dfは低画素機とレンズが古いものが使えるいうこともあって、結構甘い描写を成立させるのが得意なのかな?と思っています。低画素関係ないかもだけど。

それなりに現像には詳しいつもり(オープンソースの現像ソフトのソースとか見てPythonで軽い処理の個人用ソフト作ったりしてたので現像のプログラム的なプロセスがわかっていたはず)だったのですが、RAW現像は奥が深すぎて深淵をぷくぷくしている気分でした。

僕のDfとD4の現像は一旦ここで終了となりますが、また大手を振ってこの子達で撮影できる日々が来たので、大満足です。実はDfはプレゼントしてもらったモノで、実際は「一生売れないカメラ」だったんですよね。その方はもう亡くなってしまったので、Dfのシャッター回数が伸びるのが嫌でD4を買ったというのが裏話でした。

もし、Dfに限らず現像に困っている方がいましたら色々試行錯誤したらなんとかなるかもよというお話でした。

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