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卒業アルバムにいない私たち

生徒会役員って、なんかすごそうな印象あるじゃないですか。
全然すごくないんですよ。

そりゃまあ当然、行事の前には企画会議もするし、一般生徒の取りまとめもするし、行事の後片付けまでずっと何かしら働いてはいますけど。

4月に新入生向けの部活紹介とか、6月に文化祭とか、9月に体育祭とか、3月に球技大会とか。
なんだかんだ年間通して生徒会主催行事あるような気もしますけどね、時間があるときは生徒会室でお茶してる日もあるんですよ。

そういえば、なぜか書類棚にトランプが置いてあったり、なぜかx-アプリがPCにインストールされてたりもしました。


実際、働くべきときには缶詰で働く場所なので、小汚くて古びた校舎の端の生徒会室も、それなりに快適にしてもらえてるんですよ。
クーラー設置されてたり、冬には石油ストーブが貸し出されたり。

ただ、生徒会役員といえど、中身はただの高校生。先生たちもそれをわかっていて、仕事片付けたあととか、手が空いてるときとか、息抜きしてても、正直笑って許してもらえていました。


時間があるのは大抵冬の時期で、体育祭の片付けが終わって、球技大会の企画をするまででした。
生徒会室には石油ストーブがあって、なぜか薬缶もあって、どこから持ってきたのかわからないのに綺麗に保たれたマグカップもあった。

誰かが球技大会のルールブックを作っている後ろで、残りが急に詰め将棋始めたり、大富豪をはじめたり。一瞬オセロブームもあったな。


第2回青春短歌甲子園で引いてもらった短歌は、その頃の歌でした。

ハートの5出したらきみは飛ばされてあと1ターン私のとなり / 南 美桜

選評記事はこちら
【選評】第2回青春短歌甲子園
https://note.com/seisyun_tanka/n/nd91220dbeb2c



生徒会室で当時やってた大富豪、たぶんローカルルール全種盛りだったんですよ。
5とばし、7渡し、8切り、11バックがあって、マークしばりもあったはず。そのうえ、ローカルルールと2(革命時は3)での上がり禁止もあったんじゃないかな。
謎のハードモード。笑

それで、やたら特殊札を持っていた先輩が、わざわざ1枚ずつ5とばし出して、8切りも混ぜつつ、隣の子の順番が永遠に来ない みたいなことがあったんですよ。
それが元ネタ。


そういう楽しい日って、普通の日だから、写真には残ってないんですよね。
アルバム用の写真を撮ってくれるカメラマンさんはいるけど、それは行事のときの話で、普通の日にはいない。

一方で、生徒会役員は、行事のときなんて本部テントとか生徒会室にいるか、校内走り回ってるかのどちらか。
行事を楽しんでる一般生徒の方が圧倒的に数も多いし、腕章着けた役員の写真なんて撮られないんですよ。

進学後に同級生が、卒業アルバムの行事のページにいないのが誇りだって言ってたんですよね。
生徒会なんてやろうとも思わない人たちには、物好きだねって言われてたけど。私たちは、それが楽しかった。


でもね、確か1枚だけ載ってるはずなんです。
部活動のページじゃなくて、ちゃんと行事のページ。
修学旅行のページに。

クラスも違うのに、なんでかディズニーの日だけは生徒会のみんなで遊び回ってて。もう日もくれた頃だったと思う。
カメラマンさんが見つけてくれたんだったか、私たちが撮って欲しいと強請ったんだったかは覚えてないけど。
楽しかったことだけ、たぶんずっと忘れないんでしょうね。

そういう、他人には切り取られない普通の日のことを、短歌で、小説で、表現できる人間になりたいのです。

以上、私の青春の話。

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