電車の中のカレーパン
ひっそりと電車の端っこで、スパイスの効いたカレーパンにかぶりつく。
誰とも目を合わせないようにすると、不思議と誰にも見られてないような気になる。
急いで駅中のパン屋さんを出て、改札を潜って、コーヒーを買いたくなって、再び改札を潜って、アイスコーヒーのカップを買って、ホットコーヒーのボタンを押した。
間違ったボタンを押したことには、押した後に気が付いた。
氷はあっという間に溶けた。
普段より味は薄めで、少し酸味が効いていた。氷は瞬く間に消えて、温度はなんだかちょうど良かった。
アイスとホットの抽出内容の差は、味の濃さだけだと思っていた。温度の調節もされていたらしい。
ボタンを押し間違えていなかったら、知らないまま生きていたことだろう。
かばんにパンを3つも詰め込み、片手には水滴のついたホットのアイスコーヒー。
電車には人がいっぱいで、『ゆっくりパンを食べるひとときが過ごせるだろう』というのは安易な考えだったことに気付く。
いつものように座れると思ったのに...
そうか、いつもと電車を使う時間が違う。今は16時半。帰宅ラッシュか。
そう考えてるうちにも、焼きたてのアップルパイはずっと私を呼んでいる。
財布をしまった時に触れたぬくもりが、手の甲からなかなか離れてくれない。
マスクをつけてないやつだと思われないように、片耳に引っ掛けたまま、さくさくのアップルパイを頬張った。美味しかった。
ありがとうアップルパイ。
お待たせアップルパイ。
胸の辺りにはパイの破片がちらばっていた。
爪痕を残さずとも、また食べてあげるから。大丈夫だよ。
前日、ピカチュウのイラストの描かれたカスタードアップルパイをマックで買ったのは内緒にしとこう。
どっちも美味しかったよ。どっちも好きだよ。
昨日の夜中に食べすぎたお腹をさすりながら、Instagramで見つけた音楽をイヤホンから流す。
子供のままで居たいよ
まだふとした時に涙は出ちゃうし
過去を断ち切る強さも持ってないから
大人にはなれないし、なりたくない
こんな歌詞が頭に溶け込んでいく。
大人でも
ふとした時に涙は出ちゃうし、
過去を断ち切る強さを持ち合わせるのは難しいよな、と思う。
だけど、
大人になったらきっと泣き虫の自分から解放されて、
過去を笑ってネタにできる自分になれるんだろうなって、期待してるんだろうな。
残念だけど大人になっても、キミはキミのままだよ。
どう?嬉しいかい、?
このことに気付くのはいつになるだろうか。
気付いた時が、キミが大人になった証かもな。
"小人"と"大人"を分けるのは、料金設定のときくらいにしといて欲しい。
マンゴーラッシーのパン。
想像以上に美味しかったから、また買おう。
でもきっと、
どんなパンでも"ただいま焼きたて"には勝てないんだろうな。ずるいよな。
6月24日のエッセイ。
もも
いただいたサポートで美味しいメロンパンを買いたいと思います。(^^)