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ダークマターの正体が『三体X』に書かれてました。
ネタバレなしです。
ぜひリンク先も見てみてください。
より詳しい情報源(外部)に飛びます。当記事では、私の方で個人を特定できるリンクを一切使っていません。これらリンク(下線付き文字)は不当・過剰に情報収集をしていません。また、本などのリンクをウィジェット表示をせず、本文の可読性を重視しています。ご安心してリンクをクリックしてください。
劉慈欣『三体』の激烈ファン宝樹による『三体X 観想之宙』を読みました。
『三体』や『三体X』については、ココnote.comでも多く書かれていますので、感想等はそちらに譲ります。(下線部リンクはGoogleサイト内検索でnote.comしたもの)
驚いたのは、ダークマター・ダークエネルギーの正体についての考察。
これかも、と本気で頷いてしまった。
ダークマターの地図は、すばる望遠鏡などによる実観測で、すでにできあがっています。それがつぎの図。スケールは約 10 億光年 × 2.5 億光年、「奥行きはどれ?」はともかくとして、数億光年と超巨大スケールなのは確かです。数字は、おそらく、赤経×赤緯、もしくは赤緯×赤経の長さを指しているのでしょう。ぜひ読んで、仰天してほしいです。
ただ、わたしの『三体X』の評価は60点(/100満点)です。流し読みで済ましてしまった。
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『三体』では、現代物理学の謎への考察がいくつも描かれていました。SFの醍醐味ですよね。たとえば、「この宇宙はなぜ$${3+1}$$次元であるのか」が、衝撃な事実として提示されました。もともとは宇宙は$${11}$$次元だったのけれど、あることによって、$${11-4=7}$$次元が観測不可能なほどにミクロに丸まったしまった、と。『三体III 死神永生 下』は、このような多次元・超大・久遠なスケールでストーリーが目まぐるしく展開されます。とりわけ、4次元空間での活動、そして次元消滅の描写は、小説家・劉慈欣の筆致が唸る、『三体』でも屈指の読みどころです。その記述は、数学者や物理学者にも十分に耐えうる、というより、学者でも参考になります。
※ 深谷賢治先生(現代幾何学の権威)が「現代幾何学に詳しくなっても、多次元は見えないものだ」ようなことをおっしゃっていたような。
まさしく「多次元を見たければ、『三体』を読め。」です。
物理学科4年次の一般相対論を学び始めて、多次元が見えないとお困りの人は読みましょう。『三体Ⅲ』で該当の箇所になったとき、つぎの本と読み合わせると、理論物理学の学び(相対論やゲージ理論、Super Stringsなど)が楽になります。
ところで、ダークマター・ダークエネルギーと言われるけれど、物理での実際の計算でいうと、次の問が存在性の1つ根拠になっています。
問題4.2
かみのけ座銀河団のサイズは2Mpcぐらいで,銀河の速度分散は1000km/s ほどである。ビリアル定理から銀河団の質量を求めよ。
計算したことありますでしょうか。わたしは、したことがなかったです。
宇宙論といえば、
に見られる、宇宙の始まりと終わり、極限現象の代表格
インフレーション
ブラックホール
に興味を引かれてしまうもの。わたしもそうでした。
宇宙論を学ぶには、最新の、最強の、物理学の理論を知らないといけない。
逆に、宇宙の成り立ちが分かれば、物理学理論も完成する。
これは正しいのですが、このモチベーションを完遂するには、
などの分野を手にする必要が出てきます。こちらで立ち読みができるので、ぜひ見てください。
ものすごく難しい。
4年生やM1では手に負えません。稀に、優秀な方だとM1〜2で習得できるかもしれません。通常は、M2でもドクターでも難しいかもしれない。
一般相対論は宇宙論に必要なのか?
宇宙では、ほとんどの現象が、マクロスケールで起こっています。
つまり、古典物理学の領域です。
宇宙論は、(大学での)力学と電磁気学、流体力学さえ修めていれば、学ぶことができます。
いつかどこかで、宇宙論には一般相対論が必須、と催眠術にかかってしまうのです。
"一般相対論を必要とせず宇宙論を解説する"主張で書かれた書籍が、
です。上記の問4.2はこの本から抜粋しています。この本では一般相対論を前提にしていません。この本には、宇宙で起こる現象を理解する、妥当な方法と解釈が記述されています。読み物ではなく、物理学の書籍として、丁寧に展開されています。大学では、宇宙専門の学科でないと、この本の内容を学ぶことはないでしょう。つまり、学生のときに手にしなければ、知る機会が極小します。
「大学で何を知りたかったのだろう」
「あれ?ウチの大学で宇宙って学べないんだ」
という方は、この本を見てみてください。いま大学生ならばゼッタイに。
2~4年次に、少しずつ読み進めると、この本は人生の宝になってくれます。
宇宙論の教科書には、たとえば、次があります。
いずれも"一般相対論的宇宙論"です。宇宙論で一般相対論を使うと、視点が一般相対論寄りになってしまいます。それはそれで正しいのだけれど。何も吸収できないままに、相対論のテンソル・計量の計算に明け暮れて、終始してしまう危険性を孕みます。
木を見て森を見ず、いや、式を見て宇宙を見ず、と。
それに一般相対論的宇宙論は、理論物理学でも比較的人気のある分野です。上記のように類書は多くあります。洋書を含めると、さらに多くの書籍があります。対して『宇宙流体力学の基礎 』は類書はほぼありません。最新見解を集めたこの本は、英訳されてもおかしくありません。もっと知られてほしい本です。
今回の内容は「学生のときに教えてほしかった」を書いてみました。
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