骨髄ドナー#1 ドナー候補者に選ばれた通知が届いた

携帯電話のSMSに3件通知が来ていた。
SMSなんて職場の連絡か迷惑メールくらいで、あまり来ることがない。
なんだろうと思って見てみると、骨髄バンクからだった。
患者さんのHLA型と私のHLA型が一致して、ドナーの候補者として選ばれたのだそうだ。

骨髄バンクに登録したのは何年も前だった。
高校の時に献血をして以来、けっこう献血には行っていた。
献血会場で「ドナー登録も、この場ですぐにできます。」と呼びかけをしている人がいた。

ドナー登録自体は、Angel Beats!というアニメだったりドナーソングというボカロ曲があったりして、なんとなく元々興味はあったし、自分の中では献血の延長という感覚で、何か力になれるのならと登録した覚えがある。

ただその通知メッセージにはリンクがあって、リンク先の持病などのアンケート、候補に選ばれた人たちに向けた動画、ガイドブックのようなものを見ていくうちに「これは結構おおごとなのかもしれない」と思い始めた。

そもそもHLA型というのをよく知らなかったが、これは白血球の型のようなものらしい。そして、これが一致していないと骨髄移植を受けられないのだそうだが、兄弟姉妹間でも一致する確率は1/4で、親族を除いた他人どうしで一致する確率は数百から数万分の1なのだという。

そんな骨髄移植が必要な病気ってなんだ?と調べると「白血病」と出てきた。その時キーワードに「リブ・フォー・ライフ美奈子基金」というのが出てきて、これは本田美奈子さんという白血病で亡くなった方の生前の思いから作られた基金らしい。
そういえばお名前は聞いたことがあると思い、簡単にYoutubeで検索をかけてみて、歌声を聴いて驚いた。画面越しでも心臓を掴まれるほどの迫力だ。ぜひとも生で声を聴いてみたかったが、白血病が奪った命は二度と戻らない。

そういえば昔見た「セカチュー」も、時代背景がまだ骨髄バンクができる前でヒロインがかかったのが白血病だったなと思い出した。

そんなこんなで骨髄移植に対する知識を深めたところで、アンケートに答えて送信ボタンを押した。健康診断の資料もちょうど手元にあったので、郵送で後から送ることにした。

一つ想定外だったのは、この話を実家の母親に電話でしたら猛反対をされたということだ。
自分の親は献血も何度も行くしお人よしなのであまり反対されることもないように思ったが、やはり献血とは全く感覚が違うらしい。
反対の理由としては「もし何かあって元気に働けなくなったら、これから結婚でもした時に大変」「重大な後遺症が残るかもしれない」というリスク面を考えると、家族ならまだしも見ず知らずの他人のためにそこまで命を張れないという主旨だった。
でもその意見にある「重大な後遺症」というのは自分が見た動画ではこれまでに無いと話されていたし、骨髄バンクを介しての提供では国内の死亡例もないし、リスク面については一般的理解と骨髄バンクの説明の間にかなり乖離があるように感じた。
とはいえ、失敗率が0%ではないんでしょ?と言われたらそれはそうなので、反論するのも難しい。身近にやったことのある人もいないし。
自分の気持ちとしては、「もし自分が白血病にかかった時。見ず知らずの人は自分のためにリスクなんて冒せないよな。諦めよう。」なんて思いたくない。助かる希望を持ちたい。困ったときは助け合いたい。自分が少し頑張るだけで、救える命があるなら救いたい。それに、こういった経験は人生の大きな糧にもなるはずだ。
こういう気持ちを持っていて、それは親に伝えた。それでも、断固反対だと言われた。
これからコーディネーターの人から連絡が来るのだろう。その時に、この反対されている話も相談しようと思う。リスクの説明をしっかりできれば納得してもらえそうな気もするが、骨髄提供はあくまで家族の同意が必要不可欠であるから、どうしても納得してもらえなかったらその時は諦めようと思う。
また、患者の方は並行して複数のドナー候補者を検討しているらしいので、もしかしたら今後自分よりも適したドナーを見つけるかもしれない。
今はまだ候補者であって、ドナーに選ばれたわけではないのだ。
私の骨髄提供をめぐるお話。提供せずに途中で終わる可能性もありますが、進展をこうして公開していこうと思います。

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