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歳を感じたはなし
年齢のことを口にすると、先輩方に叱咤されるのでなるべく口にしないようにしているのだが、最近『アッ、』と思うことがあった。
東海道線でのこと、新大阪で京都方面行きの普通電車に乗り込むと、どこから見ても運動部の真っ黒に日焼けした高校生らしき女の子が座席に座っていた。いつも立つ同じ場所なので、何も考えずにその女の子の前に立った。すると、私の不意を突くように『どうぞ』と立ち上がった。あまりのタイミングの良さに『ありがとう』と言い私はそこに座っていた。
まだ、新大阪に停車中、自分の降車駅と気づいて立ったのかと思いきや降り口でスマホに目を落としながら立っている。
私に席を譲ってくれたのであった。
その女の子は次の駅で降りたものの、私を見て席を譲るべき相手と判断したのであろう。
鏡を持ち歩いていないからその時の自分の顔を確認してはいないが、寝不足で疲れた顔をしていたのかも知れない。それがなくとも白髪頭の私は誰が見ても老齢の部類に入っているのであろう。
でも、生まれて初めて席を譲られたある意味記念日でもあり、感慨深いものがあった。
もう一つ、息子と行った回転寿司でタッチパネルが反応しなかった。我が両の手を見てみれば、シワが増え、若かりし頃のみずみずしさは無い。息子の手とは違う。笑われ、代わりにタッチしてもらった。
当然と言ってしまえばそれまでである。
ここでも自分の歳を感じた。
テレビドラマや映画で膝にのせた猫を撫でる老人を見て自分とはまったく無縁の世界のことと思っていたが、そうでもないなと気づく最近である。