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2022年 焼鳥屋への旅

なんともスケールの小さなタイトルである。
なかなか思うように体調が戻らない。
尋常でない暑さが続く毎日ゆえ、仕方ないと言われれば仕方ない。
中途半端に元気の出てきた今、個人的には梅田のガード下あたりの混沌とした飲み屋街に身をゆだね、脂のしたたる焼き鳥を片手に熱い日本酒でも飲めば、この一週間のすべてをリセット出来る自信がないこともない。
しかし時期的には自殺行為にも等しいので自信だけで終わらせる。

年齢とともに食の好みは肉から魚に、焼き肉から焼き鳥へ移行していった。
私は焼き肉屋へ一人で行くことはない。お一人様向けの焼き肉屋も流行っているようであるが私はこの先も行くことはないであろう。複数人で行ってわいわい話しながら食べるのが焼肉だと頭の中で定義している。
そこへ行くと焼き鳥屋は複数人ででも、単独でもいい。
今はカウンターに一人で腰掛けたい。
少しばかり辛抱して焼き場のそばに腰掛けたい。
忙しそうな無口の親父の手元を見ながら串と酒を交互に口に運ぶ。

まずは皮と砂肝、ぼんじりを塩焼きで。
続いてはタレだ。
ねぎま、肝、タレ焼きのぼんじりも食べたい。
そしてつくねである。
こんなのが二本ずつあれば満足である。

バーに一人カウンターに向かう客で本を開く人間を見かけたことが何度かある。
バーで本を読む姿はあまりパッとしないような気がする。
第一、店内が暗いから目を悪くする。
それと比較すると焼鳥屋の店内の方が明るく本を流し読むのに向くように思う。
ま、勝手な私の思いではあるが、、

美味い焼き鳥が食いたい。
それの出来ない今、鳥肝を煮てみた。
甘辛く、ショウガもきかせた肝煮である。
肝さえ新鮮でよく水洗いして血抜きさえ出来れば、誰でも美味しく簡単に炊ける。

酒も飲まず、鳥肝を突きながら焼鳥屋への彷徨いを夢見る。
余計な気遣いの無いなかで痛飲できる日はやって来るのであろうか。
誰が良いとか悪いとかではない。
以前はそこにあった常識と良識で保たれた秩序を再び取り戻して欲しいだけである。

全ての飲食店舗の経営者のために、そして常識と良識の中を生きて来た全ての酒飲みのために。

そんな日が来ることを切に祈っている。

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