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さくらさく
かたい蕾は自身が咲くことをわかっているのでしょうか。
桜が咲き、そして散ることを私たち誰もが予感するはずです。
でも、それを桜は知っているのでしょうか。
潔さに心動かす風流人の勝手の世界を桜は知らないかも知れません。
悲劇も喜劇もその中に押し込めた無邪気な桜がそこにはいるのかも知れません。
一年ずっとじっとして、力のかぎり咲き誇るのは誰のためでもないでしょう。
精一杯自身のために咲くのです。
今年も桜は咲くことでしょう。
その桜と挨拶を交わし、別れる友と酒を酌み交わし、明日からの互いの健闘と先の互いの健康を確認しあい、じゃあまたな。
と別れるのでしょう。
私はそんな春がとても好きです。