マカロニサラダ再炎
自宅にいつも置いてある食料品に乾麺各種、パスタ類、そして缶詰がある。
非常用という意味合いもあるのだが、好きだから置いている。
缶詰はサバの水煮、サンマの蒲焼き、こんなのはいつもある。
スーパーで安売りを目ざとく捕獲し自宅に連れ帰っている。
子どもの頃から食べているので飽きそうなものであるが切らしたことが無い。
このシンプルな味付けがいいのだろう。
何十年と途切れることなくスーパーに並ぶのにはやはり理由があるのであろうと思っている。
そして焼鳥缶が時々ある。
これが世に出た時には宣伝するテレビコマーシャルに目が釘づけになった。
調べると、1970年(昭和45年)に登場している。
私はこの時小学四年生、焼鳥というものを食べたことがなく鶏肉に串を刺して焼いた焼鳥が食べてみたくて仕方なかった。
しかしながら、この頃に食料品店の惣菜コーナーにあったのか分からないが、母にねだって買ってもらった記憶は無い。
もちろん焼鳥屋に連れて行け、となど言ったことは無い。
この缶詰を初めて食べたのはそれから10年後、大学生となり、大学近くの酒屋の角打ちに合気道部の先輩に連れて行かれ、好きな物をなんでも頼めと言われ、怖いもの知らずの私は店の陳列棚ーで一番高価な『カニみそ』とこの『やきとり』の缶詰を頼んだのである。
でも不覚にも調子に乗って頼んでしまった『カニみそ』の美味さが強烈で、この焼鳥缶のことを憶えていない。
そして、このあと稽古が待っており、この『カニみそ』を吐き出してしまうほど投げられ続けたのである。
この焼鳥缶を酒のアテにもするが料理の材料にすることが多い。
スプーンかフォークの背でつぶしてパスタと和えて食べたりする。
マカロニサラダにするのもいい、さらし玉ネギとゆで玉子、潰した焼鳥缶を入れれば『親子マカロニサラダ』が出来上がる。
すこしゆで過ぎのマカロニサラダ、焼鳥缶のたれの甘さとマヨネーズがちょうどいい。
粗挽き胡椒で少しグレードが上がるような気がする。
こんなC級に近いようなB級の味が好きである。
たくさん作るから、作れば一晩冷蔵庫に残ることになる。
冷えて少し硬くなった『親子マカサラ』をつまみながら夜中に一人缶ビールを飲むのは乙なものである。