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初夢をみる前にみた夢のはなし
正月、特にすることもなく、眠けりゃ寝るのもありというのはありがたいものである。
そう、元日に昼から夢をみていた。
ちょっと眠いなと思い、自室のベッドで横になった。
もうずいぶん前から慢性疲労の慢性睡眠不足で、横になればたいてい十も数えることなく眠っている。
しかし、夢を憶えていることはまずない。
なのに先ほどみていた夢は鮮明に憶えているのだ。
地下にある穴を匍匐前進していた。
暑くもなく冷たくもなく体を土で汚すこともなく進んでいた。
いくつもの岐路も迷うことなく、いくつもの上下をひたすら進んでいた。
初めて通る暗い穴なのに行かねばならぬ先が分かっているようであった。
そして、明るい出口がある。
その先に目的地がありやっとの思いで這い出ると、そこには青い青い空と待つべき人が笑顔で待っていてくれた。
ただそれだけの話である。
前の日、大晦日にBSで『ショーシャンクの空に』を観ていた。スティーブン・キングの小説はほとんど読んでいるのになぜかこれだけは読んでおらず、映画も観る機会はなかった。
キングの心理描写にはいつも心打たれる。
子どものころ読んだ『地底旅行』は今でも時々思い出し憧れる。
土の底の移動にはこの頃から思いがあるようだ。
ベトナム戦争でベトナム兵たちがその小さな体を縮めて動き回った地下通路には驚いた。
驚愕の事実だった。
『大脱走』のスティーブ・マックィーンは格好良かった。
ただただ憧れた。
頭上に広がる星のまたたく宇宙に夢を感じるが、私が宇宙に旅立つ日が来ることは無さそうであり、『地底旅行』の方が実現する可能性としては高いような気がする。
春の夜灰となったその後は人のいない山中に出来れば桜の足元に私の骸は撒いてくれそっとそっと撒いてくれ
春雨は私を地底旅行に誘ってくれるだろうから。