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秋へのいりぐち
金曜日の夕、合気道の稽古の時間であった。
先週この道を歩いた時には、たしかまだ明るさは残っていた。
夜道を歩く寂しさに、ため息が一つ出た。
五年間歩いてきた道、五回の四季を享受してきた。
いろんなことを考えながら歩いて来たこの道は多くの私のつぶやきを憶えているだろう。
合気道が私の人生ではないが、合気道とともに歩いてきた私の人生がある。
もう二年も前の春、稽古の帰りに皆で寄った公園で、誰かが言い出して花見をした。
冬には近くの中華屋でささやかな忘年会。
どれも今は出来なくなっている。
酒を飲むことと稽古はセットではないが、道場で関わる以上、多少の人生に関わってしまう。
それでいいんだと思っている。
合気道の『道』にはそんな部分も含まれているのだと思っている。
そんなことを教えてくれた故市橋紀彦先生が逝去された年齢を越えようとしている。
この二十年はあっという間のようであったが本当にいろんなことがあった。
それらを今反芻すると本当は長かったことがじわじわと沁みてくるのである。
あと二十年、過ぎ去った過去を振り返り、納得する人生が送れそうな気がしている。
陽は早く落ち、私の心をセンシティブにさせる。
そのうち訪れる本当の秋の乾いた空気がもっとそのセンシティブを色濃くしていくことと思う。
こんな秋の入り口が好きなのである。