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さるかに合戦のみらい

『猿蟹合戦』、子どもの頃、誰もが読んだ定番の昔話であろう。

私が通う障がい者支援施設がある大阪府内、JR京都線の沿線であるが、まさか大阪府下のJR 駅のすぐ近くで、サワガニが見れるなんて思いもしなかった。
大雨のあと、流れる清流は用水の停滞していた水を一気に入れ替える。
その後には私の予想通りにたくさんのサワガニが現れた。

この近所の子どもたちは幸せだなぁ、と思うのだが一度も遊ぶ子どもたちに出会ったことはない。
この異常な暑さの中、子どもを外に遊びに出すのはそれこそ虐待と呼ばれ得る現代なのかも知れない。
時代は変わってしまった。

そして気候も変わってしまった。

猿と蟹が会話をするのに不思議さを感じ、登場人物は栗に蜂、昆布に臼まで出てきた。
何でもありだなぁ、とひねくれた子どもの私は思っていた。

この変わってしまった気候、そのうち大阪にヤシの木を生やすかも知れない。
そうしたらこの昔話、一部登場人物は変わるであろう。
サルにヤドカリと変更となるであろう。
柿はヤシの実に変更となる。
そうしたら、ヤドカリはサルにヤシの実を投げつけられてもその殻でビクともしないだろうし、俊足のヤドカリは急いでヤシの木に登りいきなりサルの首を強力なハサミでチョキンと切ってしまうだろう。

これでは栗も蜂も昆布も臼も出番がない。

そのためにもなるべく温帯の日本でいて欲しい。
四季のある日本でいつまでもいて欲しい。
心からそう思うのである。


終戦の日の昨日、朝からサワガニを見てそんなことを考えていた。

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