カレーを食べてかんがえる

カレーを嫌いだと言う人に出会ったことがない。

飲み屋をやっていた時にカレーのルーを置いていたがカレーのルーを酒のアテに喜ぶ酒飲みは少なくない。

歳のせいか最近私は辛いカレーは苦手である。
旨味の濃いカレーがいい。

スライサーで薄くフライパン山盛りに玉ねぎを切り、飴色になるまで炒めた玉ねぎの甘味がいい。
同時進行で肉はクミンシードと炒め、少量のお湯とともに強火で煮続ける。
最近はヘルシーに鶏むねが多い。
繊維を残すようにぶつ切りにし、煮崩れるまで煮る。
お湯を足して飴色の玉ねぎとニンジンを合流させる。
しばらく煮てジャガイモと形を残すための玉ねぎを入れしばらく火を通せば野菜とむね肉から甘く旨いダシが出てくる。
あとは好みのカレールーを入れて出来上がりである。
私は必ずジャワカレーの中辛を入れ、何か違うルーを加える。

その晩はカレーを食い、酒を飲み、翌日の朝にはカレートーストを食べて昼はカレースパゲティかカレードリアとなる。

生きるために食べる、飲む。

味覚を失ったり、口から食べる事が出来なくなるなんて事を自身の身に想定する人はあまりいないだろう。
私の先輩にはそんな方がいらっしゃる。
先輩は意思の強い方、違う事に精力を注ぎそちらで新しい花を咲かせている。
でも、世の中そんな強い人間ばかりではない。

母が食べる事に興味を失った時に先は長くないと思った。
しかし、その後は長かった。
私には惰性で生きているようにしか見えなかった。
幸せには見えなかったのである。

食べて美味いと思えること、そしてそれを意思表示出来る当たり前が無くなってしまってまで私は生きたくはない。

美味いモノを作り、食べて美味いと感じたい。
残りの人生を考えればその回数は知れている。
だからその一回一回を適当にしたくはないと最近よく思うようになった。