雨の午後
雨の午後、時間があって部屋でラジオを聞いていた。
子どもの頃からテレビよりラジオの方が好きである。
昔で言う『ながら族』であった。
自分の部屋はいつもラジオから音楽やらアナウンサーの声が流れていた。
その頃は何をやっていてもラジオから出てくる音楽や声は私の頭に入ってきた。
しかし、今ではそれは出来なくなっている。
これも老化なのであろう。
でも音楽は頭に響いてくる。
忌野清志郎の「ぼくの好きな先生」が流れ、しばらく手を止めてそちらに耳を傾けた。
小中学時代は障害を持つ兄とともに通学した。
今考えると子どもだから許せるいじめがずいぶんあった。
今考えても許せない先生からのいじめもあった。
大嫌いな先生ばかりの中この歌の先生によく似た美術の先生がいた。
中学の美術室の準備室でいつも一人でタバコを吸っていた。
兄のことを聞いてくれた。
それだけでよかったのである。
安心した。
心が落ち着いた。
そんな先生は先にも後にも一人だけであった。
もうこの世にはいないだろう。
でももう一度会いたい先生である。
まだしばらく会えそうにないがその時には酒でも飲みながら思い出話をしたいものである。
私はその先生に憧れて中学三年の夏休みから『ハイライト』を吸い始めた。
少し前の菊地正夫さんの記事を読んでこの先生のことを思い出していたので不思議です。
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